この夏、奇妙なカメラを手に入れた。
6×17のパノラマである。
といっても、アートトミヤマとかリンホフとかの純正品ではない。
とても奇妙な手作りカメラである。
当然のことながら、家族には罵倒された。
ぼろぼろの前枠、多分メイドインUSAのスピグラっぽいのだが、ボロっちすぎて正体不明。
これにマミヤプレスの改造ホルダーが付いている。
マミヤプレスはもともと6×9だが、これをどうやったのか6×17にくり抜き、ちゃんと617の圧板を付けているのだ。
きっと金属加工に詳しい人が作ったのだろう。
ただ、30年は放置してあったであろうこのカメラ、前枠もボディもガタガタのボロボロだった。
それで塗装は自分で行った。
せっかくなので色は明るい緑色にする。
とても恥ずかしい色に仕上がった。フィールドに出すと人々が避けそうな色。
ホルダー部は、当初はヴィトンの生地を張っていくつもりだった。
ところが生地屋がとても怪しく(そもそもヴィトン生地はちゃんとしたところでは売っていない) 結局手を付けずに「後で適当な生地があったらそれでいいや」と放置。
後日光線引きの問題が分かったから、結局生地を張らなくて正解だった。
レンズはスーパーアンギュロンXL90がついていた。
SA90は、良品だと中古でも結構いいお値段するのだが、この奇妙なカメラには誰もが引いてしまったらしく、「ウソッ」というお値段だった。このレンズがバッチリ性能を発揮してくれたら、4×5で使おうかと思っている。
さて、これを引っ張り出してテスト撮影したのがようやく10月になってからだった。
大体これがメインになるはずもなく、時たま遊ぼうかな〜ぐらいのお遊びカメラ。
ブローニー4カットは、近所で遊ぶ分にはお手頃かもしれない。
そう思ったのだが私の住んでいるところはパノラマで撮れるところがとても少なく、駅前とかでこれを構えると職務質問されそうなので、ずぅうっと離れた場所までこっそりと行ってみた。
幸い人も少なく、皆周りには無関心なので、誰にも見とがめられることなく、無事にカメラを構えることができる。
カメラをセットし、フィルムをホルダーに入れる。
ところがこのフィルムホルダー、スタート位置が分からない。
ホルダー内にスタートの矢印が書いてあるのだが、もともとが6×9のホルダーなので、スタートの位置がずれるはずなのだ。この加減が良く分からない。
キコキコとフィルムを回していき、「だいたいこんなもんだろう」というところで回すのをやめる。この辺のところは家できちんと練習をしたのだが、実地で生フィルムを入れると「本当に大丈夫かな」と不安になる。
で、露出を測って、1カット・・・。シャッターを切ってから、フィルムを巻き上げる。
この巻き上げも実に問題だらけで、巻き上げ部の引っ掛かりは6×9のまんまなのだ。
つまり、そのまま巻き上げて次のシャッターをセットしてしまうと、9センチ丸々が多重露光になってしまうというお粗末な出来具合。
仕方ないので、巻き上げを6×9の2カット分と一目盛やってみる。もうこの辺になるとヤマカンとしか言いようが無くなってくる。
構図決定も問題だ。
上掲写真ではそれっぽいファインダーが付いているが、これが全く機能していない代物で、そもそも水平が合っていない。水準器を使って自分で水平を出さなければならない。しかしまさかそんなだとは思わず、水準器は家に置いてきてしまった。
建築用の水準器、もう2,3個買わないと・・・・。
ファインダーが全くあてにならないので、大体のカンを頼りに撮ってみる。
あとで自作のファインダーというか構図紙を製作しよう。
こんな感じでハス畑のなれの果てを楽しく撮影。
と言っても2カット切っただけだったが。
617の場合は、ブローニーで4カットでおしまいになる。
その4カットを「どうやって撮ろうかな〜」と悩みながら撮るのが楽しいのである。
真逆光で撮ってレンズのゴースト耐性を調べてみたりする。
しかし先日の現像上がりでは、レンズ側からの光線引きも疑わなければならなくなってしまった。このカメラ、もう前も後もパーマセルだらけになってしまう。
ダメだな、前枠からホルダー部から全部考え直しかな。
まだ山は冬山になっていないようだし、とりあえず次のテストは今度の3連休か。
このようにして写らないカメラを楽しんでいる。
ちゃんと写っちゃうカメラは自分の性には合っていないようだ。
写らないパノラマ、次はちゃんと撮れるだろうか?