チュン チュン… チュン チュン
小鳥のさえずりが聞こえてきた。
優しい風がふわりと頬をなでる。
カーテンの隙間からチラチラと光が差しこんでなんだかまぶしい。
ふと、となりに寝ていた彼が私の頬におはようのキスをする。
それは甘く、でもとても優しく…
チュッーーーと…
そしてペロペロッーーーと…?!
ペロペロッ??
パチッーーー
目を開けるととなりには「彼」ではなく猫の「プアン」がいた。
「なんだ…プアンかぁ」
彼なんているはずもない。
「はぁ〜」
思わずため息。
そしていつものように朝食をすませ、白いシャツにさっと腕を通し、グレーのスーツをはおり、安ブランドの鞄を手に取り電車へ向かう。
ホームはいつもと同じ学生やサラリーマンたちが眠そうに突っ立っている。
今日も変わらぬ光景。
平凡な1日が始まる。
カチッーー
ホームの時計は午前6時を指した。
「あれ?おかしいなぁ」
てっきり7時だと思っていたのにまだ6時だった。
「とうとうボケが始まったかぁ?」
独り言をぶつぶつと言いながら腕時計を見ると、私の時計はちゃっかり午前7時をさしていた。
どうやら自分の時計が1時間ずれていたようだ。
「はぁ〜」
またもため息。
電車が来るまではあと1時間もある。
ここから家に帰っても往復1時間なので、帰るわけにもいかない。
(そういえば、ここの駅何もなかったよなぁー…)
そう思いながらも階段を降りてみた。
カッカッカッーー
朝だからだろうか、やたらとハイヒールの音が響いた。
(あれ?あそこに何かある)
奥のほうに小さな店が見えた。
白と黒の縦じまの布がカーテンのようにくくりつけてある。
(まるでお葬式みたい…)
明るいとはいいがたい陰気な店だ。
(まぁ、ヒマだし入ってみるか)
カサッ
布をめくってみると店内は真っ暗だった。
(もしかして、まだ開店してなかった?!)
私はあわてて出ようとすると中からしゃがれたおばあさんの声がした。
「お客さんかい?」
「あ、はい…。でも、まだ開店してないんなら…」
「もう開店してますよ」
さっき奥のほうで聞こえた声が今度は耳元で聞こえた。
(び、びっくりした…)
するとカーテンの隙間から入った光でおばあさんの顔がチラリと見えた。
70歳くらいだろうか?顔中しわだらけで、目は、つんととんがっていて、魔女のような大きな帽子をすっぽりとかぶっている。
「あ、あのここって何を売っているお店ですか??」
とにかく真っ暗で何もわからない。
本当は早く出たかったが、おばあさんが出口の前にたっているので出ようにでられない。
「ここは、レンタル店」
レンタルかぁ。
私は一瞬ほっとした。
変な石やらなんやら売りつけられなくてよかった。
でも、本当にレンタル店?
こんな暗闇でいったい何を貸してくれるの?
ー続くー
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