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千葉千波シリーズ第3弾『試験に出ないパズル』です。
今作は短編集ですが、相変わらず千波シリーズはライトでサラッと読めます。しかし、3作読んで思うのは千波クンは良い奴ですか?ってことです。何だか、イヤな奴のような気がするのですが。ぴいくんを見下してさえいるようだし、ちょこちゃんに好かれているのも迷惑そうだし。まぁ理屈っぽいのは仕方ないでしょうが…しかし何より、推理を間違っていることが多いと言う点が最も気になります。千波クンは自信満々で、結論は合っているけど過程が間違っているという話しが幾つもありました。その度、真相に気付いているのはぴいくんで、だけどぴいくんは「運も実力のうち」とか言って、彼の間違いを指摘しない。これでは千波クンが変につけあがってしまうのでは?と余計な心配をしてしまいます。もし千波クンがこのまま成長し、いつの間にやら探偵気取りで事件捜査に乗り出してしまったら、絶対にいつの日か冤罪を生むと思うのですが…杞憂であれば良いのですがね。どちらにしても私は千波クンは理系には向かないなと思います。何せ、答えさえ合っていれば思考過程に誤りがあっても良いなんて理系じゃ許されませんからね。
それと、「追伸簿」に示されている千波クンのパズルの答えにも納得いきません。
1つ目は『八丁堀図書館の秘密』で出題された「本の作る角度の問題」です。追伸簿記載の通りに従えば(持っていない方には申し訳ありません)、
PQ=AB
とのことですが、なぜそう言えるのかがさっぱり理解できません。
曲線QPR=直線QOBA
だと思いますので(∵全ページのサイズは同じ)、
PR=OB
から
PQ=QO+AB
だと思います。文中に示されているQOが破線である意味も分かりませんし。
もう1つは『もういくつ寝ると神頼み』で出題された「エスカレーターの問題」です。その回答中で
「1秒でn段、上り下りできるとすると」
とされている点です。この仮定を用いて答えを導いているわけですが、この条件はどこにも与えられておらず、勝手に導入したものです。こんな不十分な回答で満足している千波クンの将来がやはり心配です。
まぁ、森博嗣も『試験に出るパズル』も解説中で『ミステリィでいうところの「論理的」とは、「論理を力強く使用している」という意味であって、必ずしも「論理を正しく使用している」わけではない。受験生の諸君は注意が必要だ。」と指摘していますし、そういうことなんでしょうね。数学っぽく(あくまで“ぽく”)答えを示すことで、非常に“論理的”な“論理パズル”の様相を呈させているということなんでしょうね。
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