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『はじめに』
近年の日本社会を考察する時、個人の権利が一人歩きし、公の利益が蔑ろにされる社会が見えてきます。一連の食品偽装問題も創業当初の理念を忘れ、利益追求のみを考えた経営を行った結果です。社会保険庁や市町村の職員が年金の納付金を着服するような恥知らずな行為も、公の為に働く心を強く持っていれば起こりません。今、利己主義に傾いた社会の針を一度リセットする必要があるのではないかという事です。私達青年会議所のメンバーの多くは、職場や地域社会の中で責任ある立場にあります。周りに責任を持つ者として時には自分を犠牲にし、判断の基準を自分より、周りに置く必要があります。現代社会に生きる私達一人一人が自らを磨きつつ、社会の中のバランス感覚を身につけていかなければなりません。社団法人格を持つ那須野ヶ原青年会議所もその存在意義は『明るい豊かなまちづくり』即ち公の利益の為に働くことにあります。対外事業は勿論対内事業であってもその究極の効果は社会の為になる物でなければならないのではないでしょうか。
『教育』
「教育は国家百年の大計」だと言われます。これは百年間のんびり教育事業に時間をかけられるという意味では勿論ありません。遠い未来のことまで今の教育にかかっているということで、教育の大切さを言っている言葉だと思います。国の地盤を作るのも未来を作るのも全て、子どもたちの教育にかかっています。私達もこれまで、多くの教育事業を通し地域の子どもたちの教育に携って参りました。過去にも多くの素晴しい事業を行い子どもたちの心そして身体の成長に重要な役割を果たしていると自信を持っています。今年度、私たちは地域の子どもたちに社会の中で、人として人の役に立つことの素晴らしさを伝えていきたいと考えます。古来、日本の教育は如何に公の為に働くかを徹底的に教え、五常八徳を学ぶ道徳教育に力を入れていました。それが、戦後の民主政策の中で、個人主義の台頭の中、本来軍国主義とは何の関係もない道徳教育までが忘れ去られそうになっています。大人は、子どもたちに権利を主張することばかりを教え、権利に伴う義務を教えることを置き去りにしているのではないでしょうか。もう一度、子どもたちに他人のために何かをすることの喜びを伝え、思いやり豊かな心を育むことが地域のそして日本の明るい未来に繋がるものと信じています。
『地域(社会)貢献』
「明るい豊かなまちづくり」のため、地域市民と共にまちづくり団体として積極的に社会貢献を促進していく必要があります。これまで私たちは、地域行政に市民の声を伝える手法や、社会のあり方を考える手法を学んできました。今年は、それらの手法を積極的に活用し特に市民と行政の橋渡しをする活動を通して社会貢献を実現していきます。
平成19年5月憲法改正への手続法である国民投票法が成立しました。これにより、制度上、制定以来一度も改訂されることが無かった日本国憲法の改正が可能となりました。この法律には3年間は施行されないという条件がついていますので、平成22年までは国民投票が行われることはありません。しかし、私たち国民にとっては、憲法について深く考える時期が来ているのだと思います。2007年度には、LOM内で、各団体が出している憲法草案や護憲を訴える団体の主張を学びました。メンバーのこの問題に対する関心はここ数年でとても高くなっています。これからは、地域住民の皆さんと共に国の最高法規である日本国憲法について考えて行くため憲法問題を提起していきます。国民が理解していないのに国民投票なんて実施できるわけがないのですから。
行政に市民の声を伝える手法として、ここ数年JCでは、ドイツ生まれの「市民討議会」を取り入れてきました。無作為に選んだ市民に有償で参加頂き討議会を開きその結果を市民の声として行政に伝えるというものです。この手法は、他地域の青年会議所でも取り入れられ、素晴らしい成果を挙げています。2008年度はこの「市民討議会」の開催を目指しエリア内の市民に声をかけ実験的に模擬討議会を開催しました。今年度はさらに一歩進み本来の「市民討議会」を開催することにより、引き続き市民と行政の橋渡しを通し、社会貢献を果たしていきます。
本年、私たちのエリアである、那須塩原市において、市長の任期満了を向かえます。選挙になるかどうかはまだ分かりませんが、市長を目指す方の政策や理念を市民に伝えるお手伝いをし、市民に適切な選択をして頂くことが必要です。私たちは、前回の那須塩原市の市長選挙の際、公開討論会を開催し立候補予定者の考えを多くの市民に伝え、市民に立候補者の政策を理解した上での投票に寄与致しました。今年も、選挙の際には市民の自主的な選択を促し、より良いまちづくりを目指すため公開討論会の開催を目指します。
『修身』
「修身・斉家・治国・平天下」という言葉が「大学」という書物の中にあります。天下を治めるには、まず自分の行いを正しくし、次に家庭をととのえ、次に国家を治め、そして天下を平和にすべきであるというものです。何事も先ずは、自分の身を修めることから始まるということです。子どもたちの利他の心を育むのも、市民と共にまちづくりの事を考えるのにも先ずは自らを律し、十分な知識を得、身を修める事が必要です。私たちは、JAYCEEとしてリーダーの資質を高め、地域、企業そして家庭で責任ある立場にあろうとしています。常に想像力を豊かにし、自己修練に励むことにより目的達成の第一歩としなければなりません。利他の精神を学び個と公の調和を図る為、JAYCEEとしての誇りと責任を持ち、奉仕の心を育て自らの身を修めていきます。「修身」があって始めて私たちの行う事業が活きていくという事を自覚して1年間の研修にあたります。
『社団法人日本青年会議所との連携』
普段、地域のまちづくりや教育事業に携わる我々も日本青年会議所との連携を通し、より広域な活動にも係わっています。特に今年は、栃木ブロック協議会の会員大会を主管致します。県内11のLOMをお招きし栃木ブロックと連携し那須野ヶ原ならではのおもてなしをします。
関東地区協議会には、小川典重君を情報循環推進委員会の委員長として輩出します。LOMとしても積極的に関東地区協議会の事業には参加していきます。その他、多くのメンバーに(社)日本青年会議所に出向頂き、広域に及ぶ活動を通し、より広い視野を持ってもらい、その経験を今後のJC活動に、さらには私たちの地域に還元してもらいたいと考えます。
『災害対策』
那須地域を襲った97年の那須水害より2007年8月28日で10年がたちました。災害復興に携わった多くの人たちの力で、今では私たちの住む那須地域は見事に復興いたしました。石川県の能登半島地震や新潟県の中越沖地震でもJCは積極的に災害復興に携わり私たちも募金活動や、現地での人的ボランティア活動で災害復興に協力いてまいりました。今後、各地で災害が起きてしまった時には、心をこめた災害復興支援活動を行なうことが私たちJCの使命です。
世界を見渡せば、昨年は中国四川の大地震やミャンマーのサイクロン等、世界中で異常気象や大地震等で多くの被害が出ています。私たちの住む日本でも、大きな地震や、局地的な大雨等、今まで以上に災害の恐怖を感じます。自分たちの愛する家族・地域・国そして世界中の人々の命のために心のこもった災害復興支援を目指します。今年度小川典重君が委員長として出向する関東地区協議会情報循環推進委員会はKADSネットという災害復興支援ネットワークの運用を担当する委員会です。担当委員長を輩出し、多くのメンバーがこのシステムを理解することで、実際に災害が起きてしまった時のLOM内のコーディネートを行い迅速に対応するシステムの構築に活かすチャンスでもあります。
『広域LOMとして』
私たちのLOMは、栃木県北部の二市一町に、またがる広域なエリアで活動しております。このエリアは近年の市町村合併に伴い、以前より大幅に広くなりこれまであまり活動をしていなかった地域が含まれるようになりました。新しい地域においても私たちは公益を重んじて、地域住民や行政の理解を得ながら積極的なまちづくりに取り組む必要があります。JC運動を社会に隈なく浸透させより多くの人々に私たちの活動の効果を及ぼすことがこれからの私たちの使命ではないでしょうか。
公益法人法の改正に伴い、組織としてのあり方も問われる時期でもあります。今まで社団法人格を持つ組織として責任と誇りを持った活動を行ってきました。社会の影響力となるため、そして明るい豊かなまちづくりのため、今後組織としての公益性をさらに高め公益社団法人格の取得を目指していくべきであると考えます。
那須塩原市においては、社団法人黒磯那須青年会議所とのLOMエリアの重複がある中、お互いに何が公益に繋がるのかを考えていく必要があります。行政との連携や地域住民へのアプローチにおいて、同じ志をもった二つの組織が最も効果的な活動をする道を見つけていかなければなりません。
『同志を募る』
どの様な事業を行うにも、どんな素晴らしい考えを発信するにも、より多くの仲間と行えばそれだけ大きな力となります。JCに40歳での卒業という規定がある限り新たなメンバーが入らなければ、メンバー数は減る一方です。いくら高い理念を持とうと、如何に素晴らしい効果的な事業を行おうと、人が減れば社会に対するアピールは弱くなるし、そもそも組織として継続していくことも難しくなります。今年度、私たち(社)那須野ヶ原青年会議所にとって会員拡大は最重要事項であります。ここ数年の会員減少は私たちの組織にとって致命的なダメージとなりつつあります。この事を私たち一人一人がしっかりと認識し会員の拡大に力を注がなければなりません。
会員拡大の達成のためには、担当委員会にしっかり責任を持ってもらい、その上でメンバー一人一人が手足となり組織的な会員拡大活動が必要です。自分たちが愛するJCを地域の多くの若い同志とともに守り立て、私たちの掲げる『明るい豊かなまちづくり』を行っていきましょう。
『むすびに』
今年度、(社)那須野ヶ原青年会議所は、JAYCEEとしての誇りと責任を持ち、個と公の調和を図り、利他の精神を育む事業を中心に行って行きます。組織としても、JAYCEE一人一人個人としても、社会の中に存在している事を自覚し自分たちは、地域のため国家のため何ができるのか、今やらなければいけない事は何なのかを行動の規準として活動していきます。2009年の終わりには、私たちの行う事業が社会に又、参加されたすべての人たちの心に、小さな変革をもたらす事を目指します。
〜悪事を己にむかえ、好事を他に与え、己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり〜
伝教大師 最澄
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