【北京=矢板明夫】中国各地で5年に1度の「地方議会選挙」が行われる中、前回と比べて急増した、共産党や政府系団体の支援を受けない「独立系候補」が当局から激しい選挙妨害を受け、事前の資格審査で失格していたことが1日、分かった。
選挙管理当局は1日、北京市各区の議会(8日投票)の候補者名簿を発表したが、立候補の意向を示している独立系候補の名前はそこになかった。
立ち退き問題などで当局と対立する同市の韓頴氏(37)ら13人の市民が9月に「当局の不正をただしたい」として複数の選挙区から立候補を表明し、合同で選挙活動などを行ったが、全員が失格となったという。また、韓氏と同じように合同で選挙活動を行っている別の14人のグループも全員失格した。
人権活動を行っている女性弁護士や、憲法学者の大学教授らの名前も当局の候補者名簿に載っていなかった。
中国の選挙法では、市民10人の推薦があれば、誰でも立候補できる。しかし、当局は独立系候補の推薦人とその家族を呼びつけて降りるよう圧力を加えるほか、記入した書類の筆跡が不明瞭との理由をつけて受け取りを拒否して活動を阻む。ある女性候補は地元の選挙管理委員会から「(立候補の)届け出用紙がなくなった」といわれて書類を期限までに出せずに失格した。
中国の地方選挙問題の専門家で、「世界と中国研究所」の李凡所長は独立系候補が選挙妨害を受けていることについて「選挙を通じて市民の不満を政治に反映させる貴重な機会なのに、政府がそれを自ら放棄したことは大変残念だ。これでは社会矛盾をますます深刻化させるだけだ」と語っている。
一方、今回の北京の区、県、郷、鎮の各レベルの地方議会(総定数1万4千人)選挙で、立候補する意思を示した独立系候補は前回の約10倍に当たる約3万人に上ったことから、「この数字が今後、政府にとって大きな圧力となる」との見方もある。
産経ニュース