2011.3.31 20:28
【北京=矢板明夫】中国政府は31日、国防白書を発表したが、「防衛的な国防政策を遂行している」と従来の主張を繰り返した。世界が関心を集める航空母艦の建造には言及せず、戦力の増強に邁進(まいしん)する中国人民解放軍の実態は不透明なままだ。しかし、遠洋作戦能力を含めた海軍力の強化や発展途上国に対する武器輸出が増えたことなどから、地球規模での「軍事強国」を目指す中国の意思が浮かぶ。
2009年1月に発表された前回の国防白書では、陸、海、空軍と第2砲兵(戦略ミサイル)部隊をそれぞれ独立した章で扱い、具体的な編成や装備の一部を明記したが、今回は「人民解放軍の近代化建設」という一つの章にまとめ、記述が大幅減少した。国際社会が求めている軍事力の情報開示から逆に後退したといえる。
国防費の増加については、「国内総生産に占める割合は相対的に安定し、国家財政支出総額を占める割合は低下している」と説明している。しかし、新兵器の研究・開発や外国からの兵器購入は別枠で計上しているとの見方が有力で、試験飛行で注目された空軍の次世代ステルス戦闘機「殲20」を含め、それら見解に対する言及は一切ない。
白書で、新しく打ち出した「海洋権益の保護」との戦略目標は、領有権を主張している沖縄・尖閣諸島や南シナ海の離島に限らず、インド洋進出なども視野にいれたものだ。
中国は近年、発展途上国との軍事交流を深め、影響力を拡大させている。白書では、中国が09年にナイジェリアやパキスタンへ輸出した戦闘機は34機に上り、08年の6機と比べて大幅に増えたことを明らかにした。
■中国の国防費
中国政府が2009年1月に発表した国防白書によると、1978〜87年度の国防費の伸び率は年平均3・5%だったが、88〜97年度は14・5%と急増。さらに98〜07年度は15・9%を記録。10年度の当初予算は7・5%増と22年ぶりに1桁の増加にとどまったが、11年度予算案の国防費は前年度実績比12・7%増と再び2桁となった。
全国人民代表大会の李肇星スポークスマンは「国内総生産(GDP)比で2%以下」で「他の多くの国に比べ相当低い」と強調。しかし、国防費には兵器の研究・開発費が含まれず、別枠で計上しているといわれ、国際社会から内訳が不透明と批判されている。(共同)
産経ニュース