2011.5.5 12:00
まもなく発生から2カ月の東日本大震災。この間、ニッポン未曾有の天災と人災を報じ続けた海外メディアの目は、東北人の忍耐への称賛と、フクシマ原発事故への日本の無力ぶりに集中した。菅直人政権の初動力、決断力、技術力への失望、そして“日本神話の崩壊”−東京発で世界に発信されたこうしたニュースに日本国民はイラ立ち、また奮い立った。東京支局から発信してきたフランス、韓国、ロシアの東京特派員に、率直な所感を聞いた。(久保田るり子)
■ 窮地にこそ必要な「日本外交」…
海外メディアの関心の大方は、長期化する福島原発処理の不透明さ、日本経済の行方に移った。その一方で、発災直後に「その冷静さ、我慢強さ」が称賛の対象になった日本人への海外の温かい視線は、計画避難や仮設住宅への対処でいまだに混乱している日本政府の統治能力に向いている。
「日本の国家機能は働いていない」(韓国、ロシア)と東京特派員は厳しく直言した。
AFP通信(フランス通信)のプぺ・カリン特派員は来日9年目で自ら「日本が大好き」と話す親日派だけに、「これほどの地震、津波、原発事故が同時に起きれば、どんな国も混乱する」と少し擁護した。しかし原発対応についてシニカルにこう付け加えた。
「政府はウソは言っていない。ただ事実の一部しか言ってこなかった。数字は多いが分析はない。レベル7というが、チェルノブイリとは異なるではないか。このことについての説明がない。矛盾が多い。つまり、信頼感が持てないのです。だからわれわれは、フクシマについてフランスの専門家に聞いている」
「旧ソ連的、共産党的だ」
ロシアの通信社、イタル・タスのバシリー・ゴロヴニン東京支局長は、歯に衣を着せず辛辣(しんらつ)だ。
「ロボットはどこ? 日本といえばロボットだったのに1カ月以上出てこなかったのはなぜ? 原発対応の作業は肉体労働ばかりで、先進国のイメージはなく、事故処理の技術レベルも発想もネガティブ(否定的)だった。この日本の安全・技術神話が崩れた影響は大きいと思う」
ロシアの関心事をゴロヴニン氏は(1)東京電力が示した工程表の実現性(2)日本経済の行方−の2点とした。
「危機は再出発のチャンスでもある。だが、日本の政治システムは袋小路に入っていて老人のようにみえる。政策決定過程の複雑さは旧ソ連的、旧共産党的だ。内向きで独善的で。脱するのは大変だ。いまのロシアがそうであるように」
こうも付け加えた。
「ロシアは日本への天然ガス(LNG)供給を始めた。売りたいロシア、エネルギー確保が必要な日本。日露関係にとっては好機が到来した。ただし日本にそういう発想があるならば」
各様の視点や利害から、世界は日本に戦後最大の関心を注ぐ。その容赦ない批判に耐えうる復興を、彼ら東京特派員に書かせたい。
産経ニュース