法律メモ

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〜その1からのつづき〜

(5)責任財産の保全

 責任財産の保全に関する改正は,下記の2つの項目(括弧内は中間試案の項目番号)
 i)債権者代位権(第14)
 ii)詐害行為取消権(第15)

 i)債権者代位権の改正ポイント
 ・本来型と転用型の規律を分ける
 ・裁判上の代位の制度(423条2項)を廃止
 ・代位行使ができない権利を整理
  -一身専属の権利
  -差押禁止の権利
  -強制執行による実現不可能な権利
 ・代位行使の範囲を,被保全債権の範囲を超えたとしても,被代位権利の全部とする
 ・代位行使の方法として,代位債権者に対する直接の引渡しを認める。しかし,代位債権者による相殺を認めない
 ・代位債権者の善管注意義務の明文化
 ・代位権行使の費用償還請求権は,共益費用の一般先取特権を有する
 ・第三債務者が被代位債権についてのすべての抗弁を主張できる旨を明文化
 ・代位権が行使された後も,債務者は被代位債権を行使できる
 ・訴え提起による代位権行使の場合,債権者は債務者に対して訴訟告知しなければならない
 ・転用型として,登記請求権を明示し,その他の転用型の一般的要件を明示

 ii)詐害行為取消権の改正ポイント
 ・詐害行為取消権の判例法理の整理
 ・取消対象を「法律行為」から単に「行為」とする。弁済,債務承認などを含む
 ・被告を債務者及び受益者とし,固有必要的共同訴訟とする
 ・相当価格処分行為の詐害行為取消権の要件を破産法161条1項と同様とする
 ・偏頗行為に対する詐害行為取消権の要件を,〇拱不能後,かつ⊆益者との通謀詐害意図とし,破産法162条1項1号の要件を加重する
 ・偏頗行為に対する詐害行為取消権につき,その他の規定を破産法162条と同旨とする
 ・過大な代物弁済等の詐害行為取消権の要件を破産法160条2項と同旨とする
 ・転得者への詐害行為取消権の行使要件に「二重の悪意(=前者の悪意についての転得者の悪意)」を要求しない。破産法170条1項1号よりも要件を緩和している
 ・相当価格処分行為の詐害行為取消権の行使要件には「二重の悪意」を要求する
 ・偏頗行為の詐害行為取消権の行使要件には「二重の悪意」を要求する
 ・詐害行為取消しにかかる確定判決はすべての債権者に及ぶ旨を明示
 ・詐害行為取消しの範囲を,被保全債権の範囲を超えたとしても,詐害行為全部の取り消しとする
 ・逸出財産の返還方法は下記のとおり
  -登記財産:登記抹消又は債務者への移転登記
  -債権:
   *譲渡通知のある場合:債権が債務者に移転した旨の通知
   *譲渡登記のある場合:抹消登記又は債務者への移転登記
  -金銭その他の動産:債務者又は自己への引渡し
 ・現物返還困難な場合の価額償還を認める
 ・逸出金銭その他の動産の債権者への引渡し又は価額償還金の債権者への支払いを認めるが,債権者による受領後の,債権者による債務者に対する債権との相殺を認めない
 ・詐害行為取消権の行使に必要な費用償還請求権は共益費用に関する一般の先取特権を有する
 ・債務消滅行為の取消しの場合の受益者の債権の回復を明示(破産法169条と同旨)
 ・受益者による反対給付の返還請求又はこれが困難なときの価額償還請求の明示。当該請求について,債務者に返還した財産に対する特別の先取特権を認める
 ・詐害行為取消権の行使期間を,2年-20年(426条)から,2年-10年とする

(6)多数当事者関係

 多数当事者関係に関する改正は,下記の6つの項目(括弧内は中間試案の項目番号)
 i)多数当事者の債権及び債務(第16)
 ii)保証債務(第17)
 iii)債権譲渡(第18)
 iv)有価証券(第19)
 v)債務引受(第20)
 vi)契約上の地位の移転(第21)

 i)多数当事者の債権及び債務の改正ポイント
 ・債権の性質によって分割債務と不可分債務を分類
 ・分割債務は法令又は法律行為の定めによって連帯債務となる
 ・当事者の意思によって分割債務が不可分債務となる制度(428条)は廃止
 ・連帯債務の絶対効・相対効につき下記の改正
  -履行の請求は相対効
  -更改,免除,混同,時効の完成は相対効
  -他の連帯債務者の有する自働債権による自己の負担部分についての相殺(436条2項)は認めず,履行拒絶のみ認める
 ・連帯債務者間の求償につき下記の改正
  -連帯債務者は自己の負担部分を超える出えんをして初めて他の連帯債務者に求償できる
  -代物弁済又は更改後の債務の履行の場合には,出えんした額のうちの自己の負担部分を超える部分につき求償できる
  -求償制限を受けないための通知につき,事前の通知(443条1項)を不要とし,事後の通知(443条2項)をのみ必要とする
  -債権者による連帯の免除の場合に,その他の連帯債務者の無資力の危険を債権者が負担するとの規定(445条)を削除
 ・債権者が複数の場合に,分割債権,不可分債権,連帯債権の分類を,債務者が複数の場合と同様とする
  -分割債権:性質上可分
  -不可分債権:性質上不可分
  -連帯債権:法令又は法律行為にて連帯

 ii)保証債務の改正ポイント
 ・主たる債務の目的又は態様が限縮された場合は保証債務も限縮される旨を明示
 ・主たる債務の目的又は態様が加重された場合であったも保証債務は加重されない旨を明示
 ・保証人は主たる債務の抗弁を援用できる
 ・保証人は主債務者の相殺権,取消権,解除権を行使するのではなく,その限度で履行拒絶ができる
 ・保証人が債務消滅行為をする際の主たる債務者に対する事前の通知義務を廃止
 ・連帯保証人に対する履行請求は主たる債務者に効力を生じない
 ・貸金等根保証契約にのみ適用のある465条の2(極度額)及び465条の4(元本確定事由)を,個人による根保証契約一般に適用する
 ・事業者たる債権者による,個人たる保証人に対する説明義務及び情報提供義務

 iii)債権譲渡の改正ポイント
 ・譲渡制限特約の効力を限定
  原則:譲渡制限特約は譲受人に対抗不可
  例外:悪意・重過失の譲受人
  修正:〆通骸圓砲茲訃渡承認
 ∈通骸圓陵行遅滞+催告
     譲渡人の破産,再生,更生
     ぞ渡人の債権者による差押え
 ・第三者対抗要件について2案ある
  甲案:特例法上のものと民法上のものを一元化し,登記又は確定日付ある譲渡書面とする
  乙案:特例法上のものと民法上のものの併存を認めつつ,債務者の承諾を第三者対抗要件としない
 ・債務者は,譲受人が権利行使要件(譲渡通知)を具備する前に生じた原因に基づいて取得した債権を自働債権として相殺可能
 ・将来債権の譲渡の場合は,債務者は,当該将来債権を発生させる契約と同一の契約から生じた自働債権によって相殺可能
 ・将来債権の譲渡可能性を明示

 iv)有価証券の改正ポイント
 ・譲渡の方式について
  〇愎涵攘堯裏書及び交付を譲渡の対抗要件(469条)ではなく効力要件とする
  記名式所持人払証券,無記名証券:交付を譲渡の効力要件とする
  ゝ擇哭以外の記名証券:債権譲渡の方式による

 v)債務引受の改正ポイント
 ・併存的債務引受の一般的理解及び判例法理を明文化
 ・免責的債務引受の一般的理解を明文化
 ・免責的債務引受の引受人は債務者に対して求償権を取得しない
 ・債権者は免責的債務引受の場合に,引受前の債務のための担保権及び保証人を,引受後の債務に移転できる

 vi)契約上の地位の移転の改正ポイント
 ・契約上の地位の移転の要件・効果を定める
 ・相手方の承諾を要するのが原則
 ・但し,例外として,相手方が承諾を拒絶することに利益を有しない場合には承諾不要とするか否か,議論がある

〜その3につづく〜

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