法律メモ

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〜その2からのつづき〜

(7)債権の消滅

 債権の消滅に関する改正は,下記の4つの項目(括弧内は中間試案の項目番号)
 i)弁済(第22)
 ii)相殺(第23)
 iii)更改(第24)
 iv)免除(第25)

 i)弁済の改正ポイント
 ・弁済が債権の消滅原因であることを明記
 ・第三者による弁済について
  -債権者の受領拒絶:
    原則:拒絶可能
    例外 Ю掬な利益を有する第三者
    例外◆Ш通骸圓両蟻を得た第三者
 ・行為制限能力者による代物弁済の場合の物の取り戻しには更に有効な弁済が必要との条文(476条)を削除
 ・「債権の準占有者」という用語を「受取権者としての外観を有するもの」とする。債権者の代理人と称する者も含む(判例同旨)
 ・代物弁済契約を要物契約ではなく諾成契約とする。代物弁済契約締結後,債権消滅前には,両債務が併存し,先後関係なし
 ・特定物の現状による引渡しの条文(483条)を削除
 ・取引時間の法令又は慣習の定め(商法520条)を民法にも適用
 ・受取証書の交付が弁済と同時履行であることを明示
 ・債権者の預金口座への振り込みの場合,当該口座への入金記帳時に弁済の効力が生じる
 ・弁済充当(488乃至419条)の整理
  -第1順位:当事者の合意
  -第2順位:指定充当(488条)
  -第3順位:法定充当(489条)
 ・元本,利息及び費用の充当についての491条を維持
 ・民事執行において合意充当を認める(判例は認めない)
 ・弁済の提供の効果を具体的に明示して,履行遅滞による損賠賠償の免責と解除できなくなるという効果を明示
 ・受領拒絶を原因とする供託の場合に弁済の提供が必要であるという判例法理を明文化。但し,債権者の受領拒絶が明らかな場合には弁済の提供は不要とする判例は維持
 ・供託物の自助売却の要件として,滅失又は損傷(497条)以外に,価格低落のおそれを認める
 ・弁済による代位の任意代位(499条)から債権者の承諾の要件を削除
 ・保証人による法定代位について事前の付記登記(501条1号及び6号)を不要とする
 ・法定代位の解釈及び判例を明文化
 ・一部弁済による代位者の単独での抵当権行使を否定(判例は肯定)
 ・一部弁済による代位者があっても,債権者は単独で抵当権を行使できる
 ・一部弁済による代位者と債権者とでは,配当においては,債権者が優先
 ・債権者の,代位者に対する担保保存義務を明示

 ii)相殺の改正ポイント
 ・相殺禁止特約の第三者保護要件を,善意(505条2項但書)から,善意無過失とする
 ・時効援用後の相殺を許す508条を改め,時効援用後の相殺を許さないこととする
 ・不法行為による損害賠償請求権を受働債権とする相殺を一律に禁止する509条を改め,下記のとおりとする
  -不法行為のみならず債務不履行による損害賠償請求権も相殺の規制対象
  -相殺禁止の要件として,「損害を与える意図」又は「生命身体の侵害」を加える
 ・差押債権を自働債権とする相殺につき無制限説(判例同旨)を取ることを明示
 ・相殺充当の順番を整理
  -第1:合意に従う
  -第2:相殺適状の順序に従う(判例同旨)
  -第3:弁済充当の規律に従う

 iii)更改の改正ポイント
 ・更改の要件として「給付の内容の変更」と「更改の意思」を要する旨を明示
 ・債務者の交替による更改を債権者と新債務者の二者(514条)ではなく,三者の契約とする
 ・債権者の交替による更改が三者の契約であることを明示
 ・更改の無効・取消の場合でも,無効・取消原因を当事者が知っていたときは旧債務が消滅するとする517条を削除し,債権者に免除の意思表示があったかという個別判断に委ねる
 ・更改における担保・保証の移転を,更改契約と同時になされた債権者の単独の意思表示によってできるとする
 ・三面更改制度の創設
  -債権者→債務者の1つの債権を,債権者→第三者→債務者の2つの債権とする更改
  -集中決済機関を介在させる取引に使用

 iv)免除の改正ポイント
 ・債権者による単独の意思表示による免除(519条)を維持しつつ,免除により債務者に損害が生じたときの債権者の損害賠償義務を規定する。債権者に受領義務が課されている場合の受領義務違反の損害賠償責任は,免除によっても免れないということ

(8)契約総論

 契約総論に関する改正は,下記の9つの項目(括弧内は中間試案の項目番号)
 i)契約に関する基本原則等(第26)
 ii)契約交渉段階(第27)
 iii)契約の成立(第28)
 iv)契約の解釈(第29)
 v)約款(第30)
 vi)第三者のためにする契約(第31)
 vii)事情変更の法理(第32)
 viii)不安の抗弁権(第33)
 ix)継続的契約(第34)

 i)契約に関する基本原則等の改正ポイント
 ・契約内容を決定する自由を明示
 ・履行請求権の限界事由(履行が物理的に不可能な事由など)が存在しても,契約は有効に成立する
 ・付随義務(相手方が意図する利益の獲得のため必要な行為をする義務)及び保護義務(相手方の生命・身体・財産その他を害しないため必要な行為をする義務)を明示
 ・消費者契約,その他情報の質及び量並びに交渉力に格差のある場合に,信義則等を適用するには当該格差を考慮する旨を明示

 ii)契約交渉段階の改正ポイント
 ・契約締結自由の原則と,例外的に契約交渉の不当破棄の責任が生じる旨の規定を設ける
 ・情報提供義務を負わない原則と,例外的に情報提供義務を負う下記の重畳的要件を明示
  -情報につき,義務者の悪意・知得可能性
  -権利者の諾否が情報に左右されることにつき,義務者の知得可能性
  -権利者自らの情報入手の期待不可
  -契約締結の不利益を権利者に負担させることが相当でないこと

 iii)契約の成立の改正ポイント
 ・申込みと承諾によって契約が成立する旨を明示
 ・承諾につき到達主義をとる
 ・承諾につき到達主義をとるので,承諾の延着の特別の規定(522条)を削除
 ・対話者間の申込みは,対話が終了するまで撤回可能であり,対話が終了するまでに承諾がない場合には効力を失う
 ・指定行為をした者が懸賞広告を知らなくても懸賞広告者は報酬支払義務を負担する

 iv)契約の解釈の改正ポイント
 ・契約の解釈の順序を明示
  -第1:当事者の共通の理解
  -第2:当事者の合理的理解(通常の意味及び一切の事情を考慮)
 ・本質的重要事項が確定できる場合には契約が成立し,第1及び第2によって確定できない事項は,当時者が合意するとすればどのようになるかという観点で補充解釈する

 v)約款の改正ポイント
 ・約款の定義条項を設ける
 ・約款の組入要件(重畳的)は下記のとおり
  -約款を用いることの合意
  -約款使用者による,事前に相手方が知り得る機会の確保
 ・組入要件にもかかわらず,不意打ち条項(合理的に予測不可能な条項)は,契約内容にならない
 ・契約締結後の約款の変更要件(検討継続)
  -変更の合理的必要性
  -すべての相手方から同意を得ることが著しく困難
  -変更内容が合理的,かつ変更の範囲及び程度が相当
  -不利益に対する適切な措置
 ・約款が組入要件を充たしたとしても,相手方に過大な不利益を与える条項(不当条項)は無効

 vi)第三者のためにする契約の改正ポイント
 ・第三者のためにする契約が,受益者が契約時に現に存在しない者(胎児又は設立中の法人)であっても成立する旨を明示(判例同旨)
 ・諾約者が受益者に対する債務を履行しない場合は,要約者は受益者の承諾を得て,契約を解除できる

 vii)事情変更の法理の改正ポイント
 ・事情変更の法理の明文化
 ・要件は下記のとおり
  -契約締結時に予見不可能,かつ当事者に帰責事由なし
  -契約目的が達成不可能,又は契約内容の維持が当事者の衡平を著しく欠く
 ・効果(解除のみ/又は改訂)は,検討継続

 viii)不安の抗弁権の改正ポイント
 ・不安の抗弁権の要件は下記のとおり
  -相手方に破産,再生又は更生申立その他があり,反対債権の履行が得られないおそれがある
  -契約後の場合:契約時に予見不可能
  -契約前の場合:契約時に正当な理由により覚知不可

 ix)継続的契約の改正ポイント
 ・継続的契約の終了につき,期間の定めがあるものと期間の定めのないものに分けて規律
 ・期間の定めのある契約は,
  -原則:期間満了により終了
  -例外:契約存続に正当な事由のあるときは,更新を擬制→期間の定めなしとなる
 ・期間の定めのない契約は,
  -原則:いつでも解約可能
  -例外:契約存続に正当な事由のあるときは,解約申入れによっては終了しない
 ・解除の遡及効がない旨を明示

〜その4につづく〜

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