作家・土居豊の映画/音楽一刀両断!

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映画『20世紀少年/最終章/ぼくらの旗』

http://mainichi.jp/enta/photo/news/20090831mog00m200042000c.html

この映画3部作は、「わかっちゃいるけど〜」の典型的な例だ。
過去の2作で、かなり幻滅を味わいながらも、やっぱり最後が気になって、観てしまった。
それにしても、映画らしからぬ映画である。
映画が終わって、エンドロールが流れたあと、さらに十数分の続きがある。
観客が、エンドロールで出てしまわないように、わざわざ、チケット売り場で売り子さんが注意してくれた。同じ注意を書いた大きなポスターも貼ってあった。
そんなことするぐらいなら、最初から、エンドロールの前に、結末まで描けばいいのに。
さて、内容だが、ここから先は、ある程度のネタバレなしには書けない。だから、ネタを知りたくない人は、この先を読まないでください。


















映画3部作を見終わって、一番感じたのは、原作の見事さだった。
最初、この原作を読んだとき、最後の数巻のまとまりのなさに、いわゆる連載疲れを感じたのだった。けれど、映画を観たあと、再読してみると、謎はきちんと解決されていて、余韻の残るラストだと感じた。
それというのも、映画版のラストが、あまりにいただけなかったからだ。
映画版の、原作との落差。
主要人物たちの、ちょっとしたこだわりの強さが、積み重なって、強力なパワーとなるところ。そういうのが、映画ではすっかり弱まっている。
たとえば、ケンジがさいご、あの歌を歌わない、とか。
はるさんが、フェスティバルに演歌歌手としては出ない、とか。
「源氏」よしつねの頑固さと、「氷の女王」カンナの頑固さの衝突、とか。
そして、なにより、小泉響子のボーリング場面をカットしたのは、残念至極。映画では、響子はまったく添え物でしかなかった。

そして、最も疑問に感じたのは、ラストのバーチャル場面。一度エンドロールを出してから、無理矢理種明かしする必要はない。しかも、あんなふうに、過去をうまく変えてしまうのは反則だ。なぜなら、同じようにラストでバーチャル体験を描いた原作と違って、映画版では、ケンジのバーチャル体験だということがいつの間にか忘れられ、現実が変わったかのように錯覚を起こすからだ。

今にして思えば、映画版第1章は、まだその先への期待感があって、わくわくできた。第1章で描かれる近過去の東京とスクリーンの中の惨劇は、現実の日本との、不気味な共鳴があって、インパクトを感じた。
第2章での、未来の東京、第3章での再現された過去の東京の町は、やはり書き割りにしかみえない。まるで、映画村で撮影されたかのような、立体感のなさ。

けれど、公開直前に放映されたテレビ版でみると、映像に違和感がないのは、不思議なことだった。テレビの画面の中では、荒唐無稽なマンガの世界が、けっこうしっくりはまっていた。
おそらくは、この作品は、長編テレビドラマとして作った方が、しっくりきたはずだ。
映画、というには、あまりにドラマが拡散しすぎていて、ストーリーが都合よすぎだからだ。

以上、あれこれ批判めいたことを書いた。
それでもなお、この3部作を通してみると、信念の大切さに打たれる。
そして、平凡な日常がいかに大事か、ということを実感する。
ケンジが歌う歌にある、カレーのにおいや、コロッケの味。この映画を観たあとは、無性に家に帰りたくなった。家族の顔を見たくなった。
そこに、堤監督の狙いがあったとすれば、この映画は実に見事な作りだったといえる。

閉じる コメント(4)

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20世紀少年 最終章、エキストラで行きました(笑)たくさんの方が出演してて面白いですよね!(笑)

2009/9/2(水) 午後 5:40 [ - ]

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ゲスト様
そうなんですか!面白い体験ですね。諸星壇の殺害シーンですね?
自分が参加するなら、音楽祭の聴衆をやりたいです。

2009/9/2(水) 午後 10:14 [ aki*a*raz*mi ]

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なるほど〜と思いました。行き届いたレビューですね。テレビで観ると違和感がないというお話,おもしろいですね。私は1作目を映画館で,2作目をDVDで観て,今回はまた映画館に行きました。テレビ放映版は劇場版とは違ってしましたけど,基本的に2作目までは高評価でした。もしかすると,2作目のときに劇場に行かなかったというのが微妙に影響しているのかもしれません。

とりあえず「ボブ・レノン」について記事を書きましたので,トラックバックさせて下さい。

2009/9/4(金) 午前 8:06 NONAJUN

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NONAJUN様
コメントありがとうございます。
たぶん、DVD版の場合とは、印象がかなり異なりそうですね。
個人的には、テレビ局だからといって、映画作品とTVドラマとDVDと、すべてバージョンが違う、などというのは反則だと感じます。
金にまかせて何でもありか?という印象です。

2009/9/4(金) 午後 0:21 [ aki*a*raz*mi ]

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