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「武士の家計簿」
会計処理の専門家、御算用者として代々加賀藩の財政に携わってきた猪山家八代目の
直之(堺雅人)。
江戸時代後期、加賀百万石とうたわれた藩も財政状況は厳しく、加えて武家社会には
身分が高くなるにつれ出費も増えるという構造的な問題があった。
直之は、家財道具を処分し借金の返済にあてることを決断し、猪山家の人々は一丸となって
倹約生活を実行していく。
観たい観たいと思っていて結局年を越してしまいました。
えぇ、そんな作品がやまほどな私です。
うーん、何とも大人な映画でございました。
幕末チョイ前の微妙な時代をそろばんバカとして生き、家族を守ろうとした男の話で。
まわりがちょっと引いてしまうくらい頑固?で、融通が利かなさすぎると言えてしまうほどのまじめっぷいり。
勤勉って言葉でも足りないくらいであぁこの人の肩こりが心配、とあほなことを考える始末。
親が反面教師になったのではないかと思えるほど、ひたむきで日々真剣に生きている。
なんせ親が息子のまじめさに窮屈を覚えそうになるくらい。
それでもふとしたきっかけで知り合ったお駒に心惹かれたと思われる場面はなんだかほんわかしていて
よかった。
堅くまじめな中に、やわらかくて暖かい光を見た、そんな感じでした。
その女性が実はお見合い相手でめでたく結婚。
初めて共に過ごす時間であってもそろばんをはじき、結婚式の費用をきちんと記す。
さすがにまずいかなぁと思ったのか、新妻に問いかけるあたりはくすぐったい気分になりましたよ。
その後無事に息子が生れ成長とともに、お披露目を兼ねた祝いの席を設けなければならなくなる。
で、実は我が家が貧窮している事に気づき苦肉の策に打って出る。
うーん、この時代にしてはきっと思い切った判断だったんだろうなぁ。
体面とか家柄を今以上に重んじる時代であっただろうから、お披露目にはやはり分不相応でも
それなりの支度をすべきとだれもが思ったんだろうと。
そこを自分の考えを貫き、嫁にも納得させその家なりのお祝いの席にすることには
かなりの勇気が必要だったんじゃないかな。
だって、鯛を絵に書いて食事にしちゃうんだから。
周りの戸惑いも大きかっただろうし、その戸惑いをしっかり受け止めつつ納得してもらおうとする忍耐は
計り知れないものだったんだろうなぁ。
私の誕生日が21日で父親のお給料日が25日。
もちろんがっつり1960年代に生まれている私の実家もめっちゃお金持ちー!とは
お世辞にも言えなく。
よく母親に「お前の誕生日はめざしの誕生日」とからかわれたものです。
それでも誕生日に悲しい思い出がないのはやはり両親が色々倹約して楽しい思いをさせてくれた
お陰だと今更ながらに感謝の気持ちを抱かずにはいられない。
っと、話がずれましたね。
息子の晴々しいお祝いの席に絵にかいた鯛を出すと言う苦渋の決断をした両親の心を知ってか
息子は「鯛じゃ鯛じゃ」と大喜び。
あー、そうだよ親の気持ちって意外ときちんと子供に伝わってる物なんだよなぁとホッとした気持ちにしてくれました。
その後、家の存続の為に家具や衣類などを売り離し極貧と言える生活に入る猪山家。
ここはコミカルでありちょっとシュールでもありましたね。
家の存続がかかっているというのに今までの暮らしが捨て切れていない両親を諭し、
ぜいたく品を手放させようとする息子にどうにかこれだけは、と懇願する父母。
おいおい、こりゃ息子が苦労するはずだぜ―と思いながらもその滑稽ともとれる姿に
くすりとさせられたり。
ようやく極貧生活に慣れ落着きを取り戻した頃に直之は息子直吉へ今後の生きる糧となる
算盤を教え始める。
これが厳しいんだわ―。
作中で直吉もいうんだけれど情けなしですからね。
落してちらばってしまったお金を拾い集めたものの足りず、入り払い帳の過不足を指摘される直吉。
祖母たちから借りられないかと知恵を絞るんだけれども、父はそれを許さない。
後日つじつまのあっている帳面を見てどうしたのかと尋ねられ川で拾ったと告白すると
それを返してこいと言われてしまう始末。
くぅ・・・これはねぇ現代を生きる私たちにとっては何もそこまで〜と思えてならない場面でもありますが
反面、そうだよね、お金を扱うことを生業としている家系なのであれば厳しくて当たり前なんだなと。
そう思うんだけれどもやはり夜中に川へお金を戻しにやられる場面は切なかったですね。
母親にしてみたらこの程度の事で一生残る傷をつけられたらたまったもんじゃないでしょうし。
子供としても心にかなり重く残るんじゃないだろうか。
その後も優しかった祖父が亡くなった時も自分の父親は算盤をはじくことをやめない。
身内が亡くなった時でもそうあらねばならないのか、子供心に感じる悲しい疑問を
思わず父親へぶつけるあの場面も悲しかった。
時は流れおばばさまも祖母も亡くなり、たくましく成長した成之はやはり父親の生き方に
反発する。
けれども激動の時代が訪れ江戸から明治へと大きな世の中の変化に巻き込まれていく成之を救ったのは
やはり算盤。
このくだりは皮肉と言えば皮肉だけれども見方を変えればとても幸せなことなんだなぁと思う私がいました。
親が時に心を鬼にして教え込んでくれたものが自分の命や人生、そして家族を守る。
こんなに幸せで心強いものはないだろうなと羨ましささえ覚えた。
明治の世を迎え、明らかに年を重ねた直之を初めておぶって故郷を歩く成之。
自分も父親におぶってもらった記憶がないと告げるのだがそれは間違いで。
覚えていないだけだと力なく諭す父親とそれにうなずく母親の姿はいとおしくそして
物悲しいものでした。
ただ前半はかなり丁寧に色んな部分を描かれていたのに対し、後半はちょっと駆け足になっちゃった
感じを受けましたねぇ。
それまでの時間の流れを一気に消化しちゃおうか、って勢いで。
失速っていうのでもないんだけれど。
あれよあれよあれよ・・・って感じ。←わからんがな。
星は
★★★☆☆
ってところでしょうか。
年明け1本目にこの作品を選んでよかったなと思います。
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倹約は美徳なり。今年は目指せ、100万円貯金をw
2011/1/11(火) 午後 7:38
イヤー!!!これだけ克明にあらすじを書けるとはしっかり見入っちゃいましたね。
自分は観てもここまで書けないでしょう。
素晴らしい、素晴らしい!!!
2011/1/11(火) 午後 8:49 [ こまっちゃん。 ]
ひかりさん>いやいや、まだまだリハビリの時期なので油断は大敵ですが。
はい、下手に難しい作品を持ってこなくてよかったなと思います。
そうか、確かに日常の文献と思うと凄い事ですよね。
トラバありがとうございます。
2011/1/11(火) 午後 8:54
れじみさん>あぁそれは残念ですね。でもでもDVDでも見る価値あり!ですので。
はい、お戻りをお待ちしております〜☆
2011/1/11(火) 午後 8:55
もっさんさん>お・・・お〜・・・・って目指せるかな・・・。
2011/1/11(火) 午後 8:56
こまっちゃん。さん>いやいや、これは珍しく観てすぐに感想書いているのでましな方です。
今までのなんかもう・・・です。でもお誉め頂けて嬉しいです。
2011/1/11(火) 午後 8:57
前半はとても面白かったのですが、後半やはり腰砕けになっちゃったのが勿体ないですね。
原作が学術書なので、それをシナリオにするには作家性が重要です。
家族三人で観たのですが、貧乏な我が家もさっそく余分なものを処分しようかな。
ではまず、誰も弾かないピアノとギターから…。
あ、僕も正に1960年代ですから!
2011/1/11(火) 午後 10:41
私も昨年末から見たかった映画を明日やっつけて来ようと思います。『最後の忠臣蔵』と『武士の家計簿』。ある意味スゴイでしょ、この組み合わせ。。。時代劇2本だてって、いくら時代モノ好きな私もさすがにこの組み合わせはどうかなぁ〜〜、、って思ったんですけど、これがベストな時間の組み合わせなのでね、、、。
『武士の家計簿』あこまるさんの記事を読んでると、想像してたような感じの作品みたいなので安心できました。
2011/1/11(火) 午後 11:51
後半 すこし駆け足になって ふにゃふにゃしてしまいましたねぇ((+_+))でも 松坂・仲間さんのほんわかしっかりの雰囲気は 貴重なところでありました。
2011/1/12(水) 午前 8:51
新年一発目、あこまるさんの文章が冴えますね。
これを読んでまた私は見たくなるものです。
今の私には・・ぜひこのご主人が必要かもしれません。。
どこをどう削ればいいのかわかりませんが。 ちょっと来てもらいたいかなあ。
2011/1/14(金) 午後 5:05 [ anbeln ]
これは見ようと思っていたので参考になりました。ビデオになってからなのでまだ先ですが、楽しみです。
2011/1/16(日) 午後 11:01 [ みつろー ]
これを見て、倹約に目覚めた人も多いかもしれませんね(笑)
三つ子の魂百まで… 親がどう育てるか?って
とっても大事なことだな、って思いました。
2011/1/18(火) 午後 9:57 [ 花子 ]
のびたさん>ほんと後半が残念でしたね〜。
そうですね、元々が物語ベースでないものはやはり脚本が重要になりますね。
そうですか。ピアノにギター・・・ハイソなにほひがします。
2011/1/29(土) 午後 1:35
ぢゅんちゃん>個人的には好きな作品でした。でも最後の忠臣蔵の後だときつかったかも、ですな。
しかもインターバル10分…軽い拷問かしらね。
2011/1/29(土) 午後 1:35
たんたんさん>前半がよかっただけにほんと後半がもったいなかったですね。
そうそう、あの嫁姑の間柄はよかったですよね。
2011/1/29(土) 午後 1:36
anbelnさん>そんな風に仰って頂けると次もまた頑張って書いちゃおうかしらと意欲がわいてきます。
そうですよね、私もこの人の能力が欲しいです。
よくテレビで赤字やっつけ隊(なんだそのネーミング)みたいなのみると「お願いしたい・・」と思ってしまいます。
2011/1/29(土) 午後 1:38
みつろーさん>これは結構お薦めです。
ご家族でご覧になるのもいいかもです♪
2011/1/29(土) 午後 1:38
花子さん>倹約出来るって素晴らしい才能じゃないかしらと羨ましくなりました。
そうですね、親がぶれない背中を子供に見せ続けるって難しいけれども大事なことだと思いました。
2011/1/29(土) 午後 1:41
こういう時代劇でしかも実話というのが斬新でしたよね〜。
なかなか興味深かったです。
武士と言えども刀を振るだけではない武士もいたんだなと改めて気づかされました。
TBさせてください!
2011/2/14(月) 午前 7:31
かずさん>あわわわ、こちらもお返事が遅くなってすみません!!
実話というかまぁ実際にあった家計簿から作られた物語ですからね。興味深いですよね。
トラバありがとうございます。
2011/4/21(木) 午前 11:49