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「最後の忠臣蔵」
忠臣蔵として有名な赤穂浪士の吉良邸討ち入りでは46人が主君に殉じ切腹するが、二人の男が生き残った。
討ち入り前日に逃亡した瀬尾孫左衛門(役所広司)と、討ち入りを後世に伝えるため逃がされた
寺坂吉右衛門(佐藤浩市)。
正反対の運命を背負う二人が16年ぶりに再会。瀬尾はなぜ討ち入りから逃げたのか、寺坂は元同志が
抱えてきた秘密を知る。
あー、もうこのもどかしさ、切なさ。
どうしてくれましょう。
これぞ時代劇!という作品に出会ってしまいました。
その時代に生き、自分の命を賭してまで守り抜かなくてはならないものの為に最後まで犠牲になる事を厭わない。
どうにも辛くて美しい物語でございました。
孫左右衛門は大石内蔵助の隠し子である可音を守り、立派な女性として育てることだけを胸に日々生活している。
しかしその孫左右衛門の気持ちを知ってか知らずか、可音は孫左右衛門へ恋心を寄せている。
そう、この可音が自分の想いをちらりちらりと孫左右衛門に伝えようとする辺り、何とももどかしく切ないのですな。
だって孫左右衛門にしてみたら自分へ思いを寄せてもらうなんてのはもってのほかで、年頃になれば
しかるべくところへ嫁いでもらうことを念頭に生活しているんだから。
でも可音の気持ちもわからないてもないんですよね。
子供の頃から寝食を共にし、自分の事を誰よりも思ってくれている親ではない男性。
これは恋心が芽生えてもおかしくないですもの。
ただそれが叶うかどうかは全く別物で。
孫左右衛門と可音の決して交わることのないお互いを思いやる気持ちが観ている側にもひしひしと伝わってきます。
2人で出掛けた芝居で可音が見初められ、少しずつ穏やかだった生活に変化が訪れる。
そこへ討ち入り後、同じように内蔵助の使命により生きることを選択した吉右衛門が彼らの存在を知る事になる。
ここからは更に切なくなりますよ。
もうね、孫左右衛門にしてみたら可音を無事に嫁がせるまでは何を言われようがなじられようが己は生きなくては
ならないという使命に燃えてますから、悲しい位のなりふり構わぬ感に包まれています。
もう吉右衛門だけには打ち明けたっていいじゃないか!と何度心の中で叫んだ事か。
内蔵助の墓参りに行ったときでさえ、罵声を浴びせられ理不尽な暴力にも黙って耐える。
全ては可音の為だけに。
忠義ってなんだ。
ここまで1人の人間の人生を変えてしまうほど大事にしなければならないものってなんだよ、と胸の中に
ざわつきが巻き起こり見ている事が辛くなってしまう。
それだけに吉右衛門が孫左右衛門の真意を知った時はあぁよかったよ、と心底安心してしまった。
だってあのままでは孫左右衛門が辛すぎるっつーの。
可音の嫁入りが決まりその当日。
白むく姿の可音が孫左右衛門に抱きしめてほしい、そう伝える場面は心がほんわかしつつ同時に苦しさで
一杯になってしまった。
可音も忠義という言葉に人生を定められてしまった悲しい1人だったんだねぇ。
あぁ、自分の気持ちのままに生きられる現代に生れてちょっとよかったと思ってしまう私は軟弱者でございます、はい。
そしていよいよ嫁入り。
孫左右衛門ひとりだけに付き添われ、嫁ぐ可音。
この時に孫左右衛門が自分ひとりだけの付き添いなんて配慮が足りずに申し訳ない、と可音にわびる姿が
これまたこちらの涙腺を緩くしちゃう。
しかし途中、吉右衛門が現れあっという間に大行列に。
孫左右衛門の嬉しいような戸惑った様な表情と可音の今までとは全く違った毅然とした態度にこれまた涙。
婚礼の儀の合間、ふと孫左右衛門の方へ吉右衛門が目をやるとその姿はなくて。
あー、もうダメ、こっから先は見たくないぞーと思えば思うほど涙腺がまたまた緩む。
不安に駆られ馬を走らせる吉右衛門の悲しい予感は的中してしまう。
このラストはかなり前から想像できてしまっていました。
だって内蔵助に「今孫左右衛門は死にました」的な事言ってたし。
きっとあの時に孫左右衛門の魂は内蔵助と一緒に先に死んでいたのではないだろうかと思ってしまう。
可音をしっかりと育て、無事に嫁がせるまで生かしておいた自分の体。
そのお役目が終わたから魂のもとへ体も送ってやりたいと思ったのだろうか。
吉右衛門が介錯を、って言うんだけれどもそれすら断ってしまう孫左右衛門。
あぁ、それは悲しいぞ、悲しすぎるぞ。
今までの孫左右衛門の苦悩をようやく理解した吉右衛門なのにここでまた置いてきぼりにされてしまう。
せめて介錯だけでもさせてあげてくれよ、と心の中でお願いしてしまった。
自分に課せられた使命の為だけに生き、自分を愛してくれる女性の心遣いも理解しながらもやはり
死ぬ事を選択せずにはいられない。
どうしてさ、どうしてなのさと思わずにはいられないのだけれども、忠義のもとに生きそして死んでいった孫左右衛門は
あの時代としては幸せだったのかもしれない。
役者さんの真摯な演技と美しく静かな映像。
派手さなど全くないけれどそれが何よりと思える内容。
切なく哀しい物語ではありましたがとても満足して劇場を後にしました。
星は
★★★★☆
3.5ってところでしょうか。
でもやっぱり孫左右衛門にももっと生きて自分の幸せをと願ってしまう現代人の私です。
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劇場で観たかったんですけど、結局公開されませんでした^^;
凄く評判の良い作品なので、楽しみです!!
切ないんですね…。
2011/2/3(木) 午後 5:21
なかなか満足のいった作品だったようで何よりです。
私はこのかねと孫座衛門の歳の差が許せなくて・・・どうも素直に楽しめませんでした(汗)
役所さんも、佐藤さんも大好きなんですが・・・(汗)
あまり褒めてませんが、TBお願いします。
2011/2/3(木) 午後 7:26
どうしてどうして どうしてなのの 孫佐さんの最期でしたねぇ、せっかく いいひとが恋してくれていたのに〜可音さんも 孫佐さんがいなくなって はて結婚生活がうまくやっていけるんか〜と いろいろ心配になったりして〜自分のために勝手に死んじゃうのは う〜むでありました(*_*)TBを〜!(^^)!
2011/2/4(金) 午後 5:19
美しい映像でしたね。
美しい心の持ち主でしたね。
そして、泣かされました。
2011/2/4(金) 午後 8:27 [ 花子 ]
ラストについては、別の選択肢もあるのではないかとも期待しましたが、やはりこれが「最後の忠臣蔵」だから仕方がないのですね。忠義心と秘めたる想いの作品でした。
花嫁道中以降が、もう泣かされ通しでした。
本当に良い映画でした。
素晴らしいレビューに共感いたしますのポチッ。
2011/2/4(金) 午後 11:06
こういう作品を観ると、あぁ〜〜、私は日本人に生まれてシアワセ、、と思ってしまいます。誇り高い歴史を感じるじゃありませんの。。まぁ、このまま継続してたら、それはそれでとんでもない国になっているんでしょうが、、、。
心が震えましたな。。これだから時代劇はたまらんぜ。。。
2011/2/7(月) 午前 1:05
れじみさん>これは個人的にはかなり好きな作品です。
是非ともれじみさんの感想をお聞きしたいなぁ。
2011/2/17(木) 午後 9:32
ひかりさん>私には珍しくその辺にはかなり寛容になれました。
ひとつ気になっちゃうとダメな時ありますよね。
2011/2/17(木) 午後 9:33
たんたんさん>そうなんですよ、後半はどうしてどうしてどうしてなのさ〜の連続でした。
かねさんのその後も気になってしまいます。
やはり生きてほしかったなぁ。
2011/2/17(木) 午後 9:34
花子さん>はい、美しい作品でした。
そして涙涙でした。
2011/2/17(木) 午後 9:34
のびたさん>はい、私も花嫁道中から泣き通しでした。最後の選択肢、現代の私たちからみるとどうして!という思いばかりですが当時の武士にとっては最良の最期だったのでしょうね。悲しい事ですが・・・。まぁ!ポチありがとうございます!!
2011/2/17(木) 午後 9:36
ぢゅんちゃん>良質の時代劇は日本人の誇りと言ってもいいかもしれませんね。
はい、まさに心が震えましたわ。
2011/2/17(木) 午後 9:37
忠臣蔵の出来事が存在する以上、この話も実在していても不思議じゃないな〜と感じます。
それだけ、赤穂浪士の主君に対する忠誠心は素晴らしいですね。
TBさせてください!
2011/2/24(木) 午後 11:39
かずさん>お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。
いや〜、この作品は辛いけれど日本らしさに溢れてましたね。
トラバありがとうございます。
2011/4/21(木) 午前 11:44