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第213話 政府の<農林漁業再生基本方針>は絵に描いた餅
23年10月20日に公表された政府(食と農林漁業の再生実現会議)の「我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画」(以下<農林漁業再生基本方針>)は、絵に描いた餅というほかはありません。
「高いレベルの経済連携と両立しうる持続可能な農林漁業の実現」という触れ込みで、作られた<農林漁業再生基本方針>ですが、とても、これでTPPに参加しょうと、参加すまいと、いずれにせよ、農林漁業の再生はおぼつかない<作文>です。
以下基本方針の要旨を紹介します。
(Ⅱ)目指すべき姿と基本的な考え方
1、目指すべき姿
(1) 人と人の絆を大切に、互いの価値を認め合い、持続的に繁栄する社会の構築
(2)活気ある農林漁業、安心して生業に従事
(3)高いレベルの経済連携と両立しうる持続可能な農林漁業
2、基本的考え方
(1)美味、安全、環境の持ち味を再構築。六次産業化、付加価値をつける。
(2)後継者確保。平坦地域平均20〜30ヘクタール、中山間地域10〜20ヘクタールの経営体の育成。担い手、農地、関連組織の見直し。※但し書き①現場の主体的な判断を尊重、選択肢で誘導
②意欲ある全ての農業者の環境整備
(3)成長産業化
(4)セーフテイネットを提供、多面的機能の維持
Ⅲ 農林漁業再生のための7つの戦略
戦略1、競争力、体質強化〜持続的な力強い農業の実現、新規就農増、人材確保、大規模経営体育成。
(1)新規就農支援
経営安定支援、法人雇用支援、リーダー育成、六次産業化、女性活用、経営複合化、法人化、機械技術最適化。経営の客観的評価の指標作成。
(2)農地集積支援推進
中心となる経営体(個人法人集落営農)への農地集積支援。圃場大区画化(畦畔除去)平地20〜30ヘクタール、山間地10〜20ヘクタール
(3)関連組織関連産業のあり方
農協、農業委員会
戦略Ⅱ
(1)競争力体質強化〜高付加価値化、六次産業化、流通効率化
①高付加価値化(生産技術、経営、マーケテイグの六次産業プランナー育成) ②ファンド支援 ③環境保全型農業(農業生産土壌管理(GAP)など品質評価できる仕組み)④先進的技術開発、技術指導
(独法、大学、民間、都道府県の連携)
(2)消費者との絆の強化
市民農園、グリーンツーリズム、学校給食、地産地消、社会福祉事業連携
(3)国産農水産物食品の輸出強化
(4)流通合理化
合理化ビジョン作成
戦略Ⅲ エネルギー生産への資源(土地、水、風、熱、生物資源など)の活用
戦略Ⅳ 森林林業再生
木材自給率50%を目指し、「森林林業再生プラン推進」(H21)「森林林業基本計画(H23閣議決定)
戦略Ⅴ 水産業再生
近代的資源管理で魅力的な水産業構築
高性能漁船、協業化、船団合理化、共同利用漁船、高度品質管理
戦略Ⅵ 震災に強い農林漁業インフラ
戦略Ⅶ 原子力災害対策
Ⅳ 速やかにとりくむべき重要課題
(1)震災被災地の復旧最優先。全国のモデル化。
(2)5年間で集中展開。競争力、体質強化、地域振興をはかる。
(3)略
(4)略
Ⅴ 行動計画(今後六年間の工程表)
戦略Ⅰ 競争力、体質強化
(1)青年就農者の経営安定支援、法人雇用促進
農業経営客観的評価の指標作成(H23〜24)
農業経営者教育、女性優先枠の設定
(2)個別所得補償制度の適切な推進
(3)農協系統組織販売力強化
戦略Ⅱ 競争力、体質強化
(1)ファンド組成の検討結論(H23)六次産業化プランナー育成
先進的農林漁業者技術支援、技術開発実用化支援普及推進
環境保全型農業のGAP.HACCP等の展開
(2)市民農園グリーンツーリズムの活用、地産地消、社会福祉事業との連携、ジャパンブランド再構築
(3)輸出戦略の策定(H23)食文化無形文化遺産登録(H23)
食品産業将来ビジョン策定(H23)
戦略Ⅲ エネルギー生産への農山漁村の資源の活用
再生可能エネルギー生産促進制度について検討、結論(H23)
戦略Ⅳ 森林林業再生
森林整備施業集約化共同化協業化推進。人材育成、木材利用拡大、安定供給。木質バイオマスエネルギー利用。
戦略Ⅴ 水産業再生
水産基本計画、漁港魚場整備長期計画の見直し(H23)
戦略Ⅵ 震災に強い農林水産インフラ構築
土地改良長期計画の見直し(H23)
戦略Ⅶ 原子力対策
放射性物質濃度調査、除染対策工事確立(H23)
<農林漁業再生基本方針>を、絵に描いた餅と評したワケは、おわかりでしょう。
確かに、こまかい部分では、幅広く目配りされています。
小規模農家、兼業農家、有機農業などにも配慮されています。
市民農園、グリーンツーリズムなども位置付けされています。
今注目されている六次産業化には、重点的な期待が示されています。
しかし、最も肝心の、政策の目玉である、平坦地20〜30ヘクタール、山間地10〜20ヘクタールの経営体(農家、法人、集落営農)の育成については、具体化の方法論が非現実的なのです。
大規模化についての地形的な困難さは言うに及ばず、農業者の意思を一方的に<高齢化=離農>と決め付け、机上のプランを提案しているのです。
兼業農家、零細農家が果たしている役割、今後も期待できる役割についての考察がありません。
これらのことについて、既に多くの識者、団体、農業者から批判が寄せられていますので、ここではこれ以上触れません。
皆さん方が、政府の<農林漁業再生基本方針>を読まれて感じられることで十分だと思います。
TPPの問題点は、農業外の分野にも多くの指摘がされています。これらについては多くの意見表明が新聞、パンフレット、雑誌、書物などでなされています。私も同感です。
<TPPー進むも地獄>なのです
また私は、このブログ表題(第212話)で<TPPー退くも地獄>と言っています。次回は、このことについて私見を述べたいと思います。
追記1、水田の生産調整(減反)について、言及されていません。「所得補償政策の適正な推進」という表現からは、生産調整は今後も農業者団体(JA)による自主的な取り組みとして、継続されると思われます。しかし、耕作面積20ヘクタール〜30ヘクタールの農業者が4割もの転作するのは容易ではありません。また東北地方は米作専業農家が多いと思いますが、九州では畜産、果樹、野菜との複合経営が主ですので、20ヘクタール以上の経営は、とてもできることではありません。
追記2、外資の自由化について、留意すべきことがあります。TPPに参加することで、環境基準、安全基準などは、参加各国共通の基準として運用されることとなります(内国民待遇)。従って企業や自治体が独自により厳しい基準を外資に対して定めた場合、「国際仲裁委員会」に、損害賠償訴訟が起こされる懸念が指摘されています。
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