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派遣法改正案の国会提出見送りという記事があったが、その記事の中にあった派遣手数料(派遣会社のマージン)の平均値をみて驚いた。厚生労働省調査によると05年度の平均マージン率はなんと31%だという。(071130)
3割もピンハネしているとは! ひでえ! 日雇い派遣会社では半分近いマージンを取る例もあるというから呆れる。
厚生労働省では、派遣元が派遣先から受け取る派遣料金の情報公開を進めるとあるが、是非とも実現して欲しいものだ。
賃金のピンハネは、労働者保護政策の中で、最も排除すべきこととしてある。戦後の混乱期などでも横行したから、民間の労働者供給事業や職業紹介事業は、厳しく規制されてきた。いまでも民間の有料職業紹介事業は、厚生労働大臣の許可を受けなければできない。
民間の許可事業は派遣法が施行される前からあったが、有料職業紹介事業では、求職者から受け取れる手数料は10.5%が上限である。しかも特定の業務にだけ許されている。
求人者(紹介先企業)からも10%程度の手数料を徴収できるから、2割ぐらいはピンハネしているに等しいと見ることもできるが、それでも2割だ。それに民間の有料職業紹介はきわめて特殊な世界である。先の特定の業務とは「芸能家、モデル、家政婦(夫)、配膳人、調理士、マネキン」と定められいる。それ以外の職種では、求職者から手数料を徴収できない。つまり、求人者からの手数料だけでやっていけということだ。
派遣法で対象となる職種=業務は、原則自由になった。その結果、一般事務程度の仕事が最大の派遣業務になった。工場などでの軽作業派遣も多く、いまでは単純労働系が大半だ。
民間の有料職業紹介事業で、求職者からの手数料徴収が認められる業務は特殊なものばかりだ。単発、短期間などの就労状況の特殊性だけでなく、業務そのものが特殊である。一方の派遣業務に特殊性はない。本来なら常用雇用できる職種ばかりである。
そんな一般的業務の派遣で、ピンハネ率が3割とは何がなんでも行き過ぎだろう。ボロ儲けといってもいい。「中間搾取」という言葉を思い出す必要がある。
なんの規制もないからこうなる。放っておくと、立場の弱い労働者は搾取されやすい。労働基準法にある、労働者供給事業や職業紹介事業の禁止規定の趣旨を、為政者たちは、いまこそ思い起こすべきだ。
労働者派遣が活況を呈するのは、この高ピンハネ率も大きな要因に違いない。だから参入が絶えない。
資本力のある商社や金融などは、自前の派遣会社を作ったりもする。派遣先は自分たちのグループ企業である。企業は、派遣社員の活用によって人件費の削減が図れる。派遣会社は中間搾取によって大きな儲けが得られる。その両者がグループ企業なわけだ。
派遣社員は、正社員であったならもらえたはずの賃金を、二重取りのような形で低く押さえ込まれているといえる。正社員よりはるかに低い派遣料金と、法外な中間マージンによって。これがグループ企業の合作によってなされては、労働者はなすすべもない。
確かに職業紹介事業よりも管理コストの項目は多い。雇用責任は派遣会社にあるから、常用労働者と同じような人事管理をし、福利厚生を与えなければならない。しかし大半を占める登録型派遣において、そこまで厳密な管理をしているかといえばそうではない。常用雇用者と比べてはるかに簡易な管理しかしていない。登録型の派遣社員に有給休暇などない。ほとんど職業紹介事業に等しいのが実態だ。
日雇い派遣などモロにそうだ。日替わり派遣だから管理コストは多大だが、やっていることはほとんど紹介業務である。にもかかわらず、派遣料金と称して労働対価は会社が受領する。そして法外なマージンを天引きする。
つまり、大きな中間搾取となっている。現状の派遣労働は、労働者を保護することが目的の労働基準法の主旨を逸脱しているといってよい。
昨日の話しではないが、派遣労働もワーキングプアの輩出に大いに貢献している。為政者たちは、そうした観点で現行の派遣法を見据えるべきであり、労働者の立場に立った改正に、すみやかに取り組むべきである。
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