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今年の最大の収穫は、スーパーフライか。「恋する瞳は美しい」や「ALRIGHT」の爆発力はすばらしい。
その歌唱力は昨年から注目していたが、和製ジャニス・ジョップリンがいまどきの若者にウケるとは思わなかった。でも昨年の夏に「愛をこめて花束を」などを聞いていたら、若い娘にビックリされた。彼女の好みでもあったらしい。ビックリするのはこっちの方だと思ったが、その歌唱力は若者も惹きつけるようだ。
考えてみれば、スーパーフライ(越智志帆)本人も若いわけで、それなのに60〜70年代のロックミュージックに感化されている。時代は巡るという要素もあるが、エネルギッシュなロック歌唱は、本来は若者たちのものだ。越智のような歌手を受け入れる素地は、いつの時代にもあるのだろう。
ただ、60〜70年代の洋楽ロックは楽曲としては単純だ。その要素を取り入れたスーパーフライの曲がコンスタントに売れるとは思わなかった。マニア向けの小さなブームに終わる可能性も高かった。だから去年、その娘には、「これからも売れ続けるかどうかは曲次第だ」なんてコメントしてしまった。
今年になってその予想は裏切られる。CMにも多く採用され、またたくまにメジャー歌手となった。
聞くところによると、アメリカでのウッドストック40周年フェスにも出演したらしい。ジャニス・ジョップリンを歌い、あちらでも大ウケだったらしい。
去年注目したといえば、多和田えみもその一人だったが、今年はヒット曲に恵まれなかった。消えていくのかなと思っていたら、年末に来て素敵な曲が届いた。「涙ノ音」はいいバラードだ。歌詞の切なさも上出来で、「いろんな日が重なるから虹色になる」なんて沁みる。
カラオケで歌おうかと思ったが、まだなかった。(12月上旬)
こちらの曲作りは今風で複雑だ。歌うつもりで聴き込んでいたら、Aメロですでに予想を裏切る展開をする。カラオケで人に聞かせるように歌うのは難しいかもしれない。(私の歌唱力はそれ以前の問題だが)
昨年ブレークした「いきものがかり」は、昨年以上の楽曲はなかったように思う。「YELL」はそれなりによいが、曲調自体は「帰りたくなったよ」の哀愁と重なる。まぁ「YELL」は、そうした「いきものがかり」らしさに期待したコンセプト曲だったから仕方ないが。
コンセプト曲といえば、熊木杏里の「春の風」はよい。「君の名前」ではじめて熊木を知って、他の曲を聴いていたら、この曲にハマった。(「春の風」は映画「バッテリー」の主題歌で、2年前の曲だが)
まぁ、愛らしい歌声に惹かれたわけで、きわめてオジサン的な聴き方なわけだが、そのうち歌詞にも魅力を感じるようになる。リズム感や韻を踏むなどのテクニックはあまりないが、「春の風」の次の一説は、まるで人生訓のように心に突き刺さる。(ちょっと大げさか)
♪言葉では届かないもの、君は届けてくれた
♪あきらめる理由を人は語りたがるものだから
「君の名前」の次の表現も心に沁みる。
♪君の名前は私にとって優しさと同じ
歌声の愛らしさと言えば、大塚愛もかなりのものだと発見した。CMで流れていた「愛」は、控えめな伴奏で歌声が際立つ作りだが、繊細でありながら情感が込められたその歌声にシビれた。これもかなりオジサン的な聴き方であるが、歌唱は二の次のシンガーソングライターぐらいにしか思っていなかったから衝撃的だった。
いまさらと言われそうだが、その後に出た、これまたCMソングの「Is」にもハマってしまった。こちらは軽快さが特徴の曲だが、「さくらんぼ」当時と比べれば、歌は格段にうまくなっているのではないか。(「Is」はある洋楽の盗作だなんて言う人もいるが)
軽快さで思い出すのは、高橋瞳&BEAT-CRUSADERSの「ウイアイニー」。BEAT-CRUSADERSの遊び心あふれる歌も、女性ヴォーカルだとこんなに魅力的になるのかと感心した。
女性ヴォーカルばかりを取り上げてしまった。男性でいうと、フランプールあたりが今年の大型新人なのだろう。いい曲もある。だが、第二のミスチルは無理だろう。(いまのところは)
さかいゆうも、魅力的な歌声を持つが、歌詞が下手くそだ。
一方、ベテランの福山雅治は2曲のシングルを出した。一年で2曲は久しぶりらしいが、いずれも作曲能力の衰えを感じさせる。片や昭和歌謡のような出だしのバラード、片やサザンの桑田がかつて作っていたようなアップテンポサウンド。ミュージシャンとしては終焉が近づいているのかもしれない。
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