おぴにおん0号

反論、質問受け付けますが、何せ思いつくままなので

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別に興味はなかったけれど、誘いに応じてクリムト展を見に行った。

『三世代』などの代表作はたしかにユニークだ。エクスタシーの表情を金箔で囲むというあの作品も、表現として画期的。性愛を大胆に取り入れたことが、評価につながったように思う。しかし、私にはその良さが分からない。

ただ、ジャポニズムの影響を受けていることを知る。金箔や抽象的な図柄は、日本近世の屛風絵などに触発されて多用するようになったと思われる。

初期の肖像画は真っ当なものが多い。中でも『ヘレーネ』は魅力的だ。今展示会で私が唯一、もう少し眺めていたいと思った作品である。真横からとらえた表情だけで、こんなに愛らしい少女に仕上げた手腕に感服。

私にとって、専門家の評価などどうでもよいことだ。絵画鑑賞は、単に、もう少し眺めていたい作品を探しているだけである。

もちろん、ピエール・ブルデューが示唆するように。我々が芸術鑑賞するに際し、純粋に感動するということはない。歴史的な評価方法を意識しながら、優れた作品であると感じているに過ぎない。私も作品の評判などを念頭に置きつつ、自分の評価を下しているはずだ。

しかしながら、自分の価値観を放棄するつもりはない。好きだった作品が見飽きてしまったり、自分が見慣れていない表現というだけで刺激を受け、高い評価を与えてしまうこともある。価値観は変転するし、新たに得た知識が評価の仕方を変質させることもある。そんな流動的な自分を受け入れつつ、自分なりの価値観があるという状態が継続している。

一方、美術鑑賞をしたがるくせに、自分の価値観を持つ気がない人たちがいる。今回誘ってくれた知り合いもその一人だ。そうした人が選択する鑑賞対象は、有名な作品や有名な作家の作品がメインとなる。

ビックネームなら何でも見てやるという気持ちは分からないでもない。私にも、歴史的評価の下った作品はできる限り鑑賞したいと貪欲だった時期がある。しかし、鑑賞を続けていれば自分の好みは固まってくる。キュレーターの紹介文にも影響されるが、基本的には「本物が見たい!」という欲求に従って展示会に足を運ぶ。

ビックネームならなんでも見てやる派の人たちは、そんな私の欲求を無視する。いや、想像できない。そうした欲求を持つことを認めないとでもいうが如く、強引に誘ってくる。
その知り合いは、東京都美術館ならば並ばずに無料で入場できる権利を保持している。付き添い一人もタダだ。それもあって、ビックイベントに連れてってあげるよ、みたい感じで誘ってくる。ほとんど恩着せである。

私は今回、別の展示会の方に興味があった。アウトサイダーの作品展である。提案したら、「なにそれ?」みたいな反応を返された。あたかも、そんなわけのわからないものより、見る価値があるのはクリムト展でしょ!と言わんばかりであった。

見る価値がある作品とは、みんなが知る作品、みんなが評価する作品、みんなが注目する作品――そんな観念に支配されている。それ以外の価値観を認めないぐらいの強固さを持つ。

実はその知り合いには恩義がある。数年前の若冲展(動植綵絵全30作一挙展示!)の際、6時間待ちの列を横目にすんなり入場できたのは彼のおかげだ。それ以来、頭が上がらず、誘いにはなるべく応じることにしてきた。

誘いに応じる中ではっきりしたのが、先の価値観である。ビックネームの展示会とはすなわちビックイベント。彼らはビックイベントに参加する喜びに浸る。だから作品鑑賞より、作家の偉大さを示す解説を読みたがる。要するに、イメージを食べているだけだ。

面白いのが、展示室の出口にあるグッズ売り場での彼の挙動。彼は「実用的なものを選ばないと…」とTシャツなどを物色し始める。「クリアファイルなんかをよく買ったけど、結局、余るんだよね〜」とつぶやく。
つまり彼にとって、そこは土産物売り場。ビッグイベント参加の記念となるグッズを買う場所。記念品は持ち帰っても無駄になることが多い。それを学習した人が考えるのが「実用的な記念品」。

私もグッズをよく買う。絵葉書や展示作品の印刷物だ。動機は「もう少し眺めていたい」しかないが、彼には理解できない。「なぜ買うの?」と真顔で尋ねる。部屋に飾ったり、出窓に立て掛けるのだけど…

展示会場を出てから、彼とお茶した。そのときの話題は日本の社会福祉の行く末だったりする。絵画展の感想ではなく…

彼と別れた後、西武渋谷店に寄り、『ヨシダナギ展』を見た。逆光なのに極彩色の衣装を鮮明に映し出す技術は見事だ。ただグッズコーナーで買ったのは、ヨシダ本人を映す写真集である「日めくりカレンダー」。作者の個性が面白いという鑑賞の仕方もある。

追記
愚痴ることがまだあった。
連休明けのことだが、別の友人から「リッキー・リー・ジョーンズのコンサートに行きませんか?」と誘われた。私はファンでもなければ、話題にしたこともない。
彼もビックネームが大好きだ。いつからか往年のスターのベスト盤などを好むようになる。もう若くないこともあるが、ビックネームというだけで有りがたがる傾向が強い。数年前に誘われたジャズプレーヤーも、年齢的に来日は最後になるだろうから行かなくては!だった。そして、私に同調を求める。そして、私が提案する若手ジャズプレーヤーには反応しない。
楽曲への思い入れも「たまに聴きたくなるんだよね〜」程度。好きな曲は?と質問しても答えは返ってこない。当然、彼とは音楽談議に花が咲くことはない。

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