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最高裁は12月6日、NHKとの受信契約を義務づける放送法の規定を合憲とした。受信料制度は「国家機関などからの独立した表現の自由を支えている」ゆえ、「契約の自由」に反しない、というわけだ。
予想に反しない判決だし、放送法の主旨は理解するが、実態としては腑に落ちない点がいくつかある。
まず、一人暮らしの学生からも受信料を徴収することがおかしい。今は5割引き制度があるらしいが、私が若い頃は、どんなに貧しい学生からも正規料金を強制的に徴収していた。苦々しい思いをさせられたものだ。
同じ強制でも税金ならば考えられない。「生計が同一」であっても住まいが二か所なら受信料は二倍。もし、旦那が単身赴任で、二人の子供が学生で別居していると、4つも受信契約を結ばなければならない。生活費が割高になる別居世帯に、追い打ちをかけるように高額な受信料を請求する。そんな公共料金はない。
加えて、所得金額にかかわらず同一料金だ。資産の多い少ないも関係ない。テレビの台数も考慮しない。3世帯同居の大豪邸にテレビが10台あっても一契約分の受信料で済む。高額所得者や資産家と、一人暮らしの学生との間に区別はない。究極の逆累進性。消費税より悪質な貧乏人いじめ。
電波は垂れ流しなのにね〜。つまり、テレビの設置台数が増えてもNHKにとって追加の設備投資は発生しない。ケーブルテレビやインターネットのように家屋ごとの配線工事はないし、メンテナンスの必要もなし。
ついでに言えば、受信状態の良し悪しについてもNHKは頓着しない。ブースターをつけなければ満足に映らない場所、天候や季節によって受信状態が変わる場所がありますが、受信料は一律です。(さすがに全く電波が届かい場所は請求してないようですが…)
そんな実態を無視して「公平負担」とは笑わせる。NHKの現会長は「公共放送として、公平公正、不偏不党は譲れない」なんて台詞を吐くが、ならば受信料についても公平公正を期せ!と言いたい。
二つ目の不公平は、ワンセグ受信できる携帯電話やカーナビを一台持っているだけで、正規料金を請求されること。あんな画質の悪い放送になんで同一料金を払わなければならないのだ。テロップの文字が小さいと判読不能だし、サッカーの試合ではボールの行方を見失う。野球のボールは端から見えない。
ハイビジョン放送が当たり前になり、テレビの画面サイズは32インチ以上が一般化した。そんな今日にあって、ワンセグ放送は、画面が10インチ以上になるととてもじゃないが見られたものではない。情報量の格差がはなはだしい。セグメント数でいえば12分の一だ。
コンテンツの内容は変わらない? 情報は同じように伝わる? 災害などの緊急情報を受け取る利益にも差がない? いやいや全く同じなのは音声情報だけでしょ。ラジオから得る情報と似たようなものでしょう。
つまり、ワンセグ放送しかアクセスできない視聴者は、格段に劣った配信サービスしか受けていないわけです。にもかかわらず同一料金を請求するのは商道徳ではあり得ない。公共放送だから商道徳なんて無視ですか? その割には家計上、無視できない経済的負担を庶民に課している。
地上波のみの受信料金は、口座振込で月額1,260円。12か月前払いで13,990円。金持ちにとっては、たかだか月に千円ちょっとなのかもしれないが、貧乏学生にとっては水道代やガス代に匹敵する。
まぁ今どきの若者は、スマホ通信代に月額一万円近く使う。ガラケーおじさんには理解できないお金の使い方ですが、逆に言えば、映像コンテンツにはもう十分に支出していると言える。音楽コンテンツ代も含まれるから、CDおじさんとは考え方が違う。あとゲーム代もか。
そんな世代間の違いは置くとして、三つ目の疑問は、月額1,260円が妥当なのかどうかだ。これは、公共放送としての役目を果たすのに複数のチャンネルを持つ必要があるのか?という疑問につながる。さらに高額の制作費問題が生ずる。
公共放送ならば報道と教育だけをやっていればいいじゃないか。テレビ放送の黎明期じゃあるまいし、それ以外の番組はすべて民間放送に任せられる時代だ。にもかかわらず、映画並みの制作費をかけてドラマを作ったり、高額なスポーツ放映権を買ってみたり…。芸能タレントに頼る番組も毎日のように目にするようになった。
デジタル化もあり、民放のコンテンツは飛躍的に増えた。有料放送も充実。つまりNHKのやっていることのほとんどは民業圧迫。そうまでして1,260円という受信料を維持したいのがNHKの魂胆である。
BBCの受信料はもっと高いって? なるほどNHKはBBCにならってドキュメント番組にも力を入れる。しかしその種の番組だって民放と争っているのが現状だ。今ではインターネットでも告発調の動画を見ることができる。ルポタージュやノンフィクションを扱う文字媒体の横溢も昔の比ではない。
つまり教育番組以外において、NHKは単なる一媒体に成り下がった。報道さえもNHKが担う必然性はない。「いざという時」の緊急情報の伝達だって、国や自治体がNHKに全面的に頼る状況ではない。
子会社を使って放送技術の研究や調査活動なんかもやっているが、ルーズな金の使い方になりがちなのは役所と同じ。だから使い込みなどの不祥事が定期的に起こる。これらも民間に任せるべきでしょう。
ちなみに番組制作を下請けに任せる体質は、民放同様、NHKにもあります。NHKから制作業務を請け負うことをもっぱらとする民間会社がたくさんあります。私の知人もそんな会社に勤めています。「NHKの仕事をやっている」と誇らしげです。
ということで、民業圧迫分野をNHKから一掃して、受信料は月額500円以下にすべきと考えます。ワンセグ受信機器への請求に関しては、ユニバーサル料金として50円以下でよい。NHKの予算は国会承認が求められており、国会議員に促せば実現できます。
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