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[聞く]男女共同参画社会 アバンセ館長・広岡守穂さん53 (読売・佐賀版 2005/06/29朝刊)
◆高い割合で意識普及 実践面にはもっと力を
男性も女性も多様なライフスタイルを選択できる社会を――。県の男女共同参画基本計画がつくられて5年目。県民の共同参画意識は大きく変わり、今後の課題も具体的に見えてきたようだ。男女共同参画に詳しく、今年度から佐賀市にあるアバンセ(県立女性、生涯学習センター)新館長になった広岡守穂・中央大教授に県の現状や課題を聞いた。
――男女共同参画社会とはどんな社会ですか。
男は働き、女は家事や育児をするという旧来の役割論にとらわれず、ともに個性や能力を発揮できる社会です。地域社会のつながりが薄まり、育児ストレスが発散できずに児童虐待をする主婦が増えたり、男性の家庭内暴力が後を絶たなかったりする背景から、国は1999年に男女共同参画基本法を制定。県も2001年に基本計画をつくり、普及に努めています。
――県での進み具合は。
人口、予算規模を考えると効果的に意識の普及が進んでいると思います。昨年行ったアンケートでは、「男は仕事、妻は家庭」という考え方に否定的な人は男性が約6割、女性が約7割で、7年前の調査に比べて肯定的な人と否定的な人の割合が逆転しました。全国平均が約5割なので、高い割合。これだけ短期間での変化は、他県に例がなく、県民の意識の高まりに驚きました。
佐賀に昔からある女性団体が考え方をきちんと理解して活動してくれていることや、女性団体結成への積極的な支援が形になったことが大きな力になっていると思います。
――現状での課題は。
一方で調査では、「男性の方が優遇されている」と感じる女性の割合が増えています。意識改革が進み、これまで気付かなかった現実の矛盾に目を向けるようになったのでしょう。
――今後求められる取り組みは。
実践面での取り組みにもっと力を入れなければなりません。子育て中に見つけた趣味や関心事を仕事につなげたい、自分育てと職業を一致させたい、と考える女性が多いので、そうしたニーズを満たす再就職や起業支援が求められます。
また、働くだけが社会参画ではありません。NPO活動も社会参画です。女性が積極的に社会にかかわるには、男性の協力も不可欠です。男性は育児休暇が取りにくい雰囲気があるので、職場の理解を深めていく努力も必要です。
――どのような形で進めていくのですか。
7月から、女性を対象に「ルポライター育成講座」を開いて文章の書き方や取材の仕方を学んでもらい、起業やNPO法人設立のためのブックレットなどを作ってもらおうと思っています。需要の高い情報技術(IT)セミナーや起業者の成功例を紹介するなど、「学び」を「実践」に移す取り組みに力を入れます。男性向けには、企業などへの出前講座も積極的に行っていきます。男女で仕事も子育てもし「生まれてきて良かった」と思える社会づくりをしていきたいですね。
◇
広岡教授が学生に聞いたところ、そのほとんどが「男は仕事、女は家庭」という考え方に否定的だったという。私も否定的だったはずだが、なかなか片付かない自宅の惨状に、つい「妻がいれば……」などと思ってしまい、反省した。無意識に刷り込まれている根深い問題なだけに、焦らず、継続的な取り組みが必要だろう。(後藤敬人)
写真=広岡守穂さん
「夫は仕事 妻は家庭」否定的意見、男女とも増 県民意識調査 (読売・佐賀版 2005/06/29朝刊)
◆前回比 肯定派との割合逆転 家事、実際は女性が主
県が実施した男女共同参画社会に関する県民意識調査の結果で、「夫は仕事、妻は家庭」という考え方に対し、男女とも否定的な意見を持つ人が多いことが分かった。1997年の前回調査に比べ男女とも大幅に増加した。しかし、一方で、炊事や掃除などの家事は依然として女性が主に行っており、意識の変化と現実には隔たりがあることが浮き彫りとなった。
より良い男女共同参画を推進する基礎資料とするために、昨年11〜12月に行った。県内の満20歳以上の男女各600人が対象で、有効回答数は970人(男性451人、女性519人、回答率80・8%)だった。
「夫は仕事、妻は家庭」という考え方に対し、前回は「そうは思わない」「どちらかといえばそうは思わない」と答えた人が女性は38・6%、男性は28・6%だったが、今回は女性は72・4%、男性は59・9%と、肯定派との割合が逆転した。
反面、男性が家事に参加することが増えたものの、掃除・洗濯、食事の支度・後片づけなどは、女性が8割以上を担当しているとの実情も明らかになった。また、社会通念や慣習、しきたりの項目で男女が「平等」と答えた人は全体の7・6%にとどまり、前回より4・2ポイント減った。「男性が優遇」「どちらかといえば男性が優遇」と答えた人は75・5%に上り、前回より3・1ポイント増えた。
アバンセ(佐賀県立女性センター・佐賀県立生涯学習センター)
http://www.pref.saga.lg.jp/manabinetsaga/avance/
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