“わが谷は緑なりき”〜私の映画ノート

原発のない、戦争のない世界に。そして「縮小社会」に向かう覚悟を。

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シザーハンズ

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多くの同学年の子どもたちとはかなり異質で、どこか「輪」の中からはみ出しているように見える長男のことを「世間ズレ」している、と評した友人がいました。

「世間擦れ」を広辞苑で引くと「世間にあって苦労し、悪賢くなっていること」とありますので、勿論彼女が言ったのは「世間とはズレている」という意味。

「世間ズレ」した長男には、彼同様或いはそれ以上に「世間ズレ」した友人がいました。

10年程前、まだ今ほど映画を数多く見られるような環境ではなかった頃ですが、「いい映画を見たい」という欲求は常に私の中にありました。

その息子の友人のお母さんも、かなりの映画ファンであることを、私はどういう訳か知っていました。「世間ズレ」した子どもの母親同士もやはり「世間ズレ」していましたから、色んな共通点があり、一緒にいても非常に気が楽でした。

そんな彼女に「何か面白い映画を紹介して」と言った時、貸してくれたのがこの作品だったのです。

 1990年、アメリカ映画。ティム・バートン監督。ジョニー・デップ、ウィノナ・ライダー出演。

映画の始まりに登場する家並みや、出演者の服の色はほとんどがパステルカラー。すべて単色(柄や線がない)で統一されています。そこはまるでおとぎ話の世界でした。

 
これは、その町の小高い丘にある古城で製作された人造人間と彼を取り巻く人たちの物語。
製作者の博士はその人間の「手」の部分を完成させる直前に急死、そのため残された人造人間は未完成の「ハサミ」でできた手のままで暮らすことを余儀なくされます。

そこをたまたま訪れた化粧品セールスの女性が、彼に同情し、家に連れ帰り、彼女の家族との同居生活が始まるのです。得意技の「鋏さばき」で草木の剪定やヘアーカットをするなど、町の評判にもなりますが、やはり「異端者」。ある事件をきっかけに彼はその町に暮らすことができなくなります。

ハッピーエンドとは言えないかも知れませんが、彼の心に芽生えた恋心と、それに応えたセールスレディの娘。ラブファンタジーと言える作品でした。
  
 
彼(シザーハンズ)が町で一緒に暮らすことができなかったのは、そう、「世間ズレ」していたから。
 
この映画はいつも私に、その「言葉」を思い出させます。(Jan.9th.2008)
 

閉じる コメント(15)

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映画というのは自分の身近の事象と重ね合わせることができたときには特別な意味合いをもつことがある、ということでしょうか。この作品を観ていると「世間ズレ」というのは悪い意味ではありませんね。ティム・バートンのおとぎ話の原型で、私も好きな映画です。

2009/1/9(金) 午前 5:37 ヒッチさん

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その時自分の身の回りで起こった事象と重ね合わせてファイルされている作品が私の場合、かなりあるような気がします。

私も「世間ズレ」は決して悪いことだとは思いません。

2009/1/9(金) 午後 8:44 alf s mom

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ティム・バートンはいつもひっくり返ったような世界を描いていますね。大好きな監督です。

2009/1/9(金) 午後 9:45 瀧野川日録

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こんばんは。ティム・バートンのこの映画、まだみていないんです。
今度みてみます。バートンの彼女、ヘレナ・ボナム・カーター、ジェームズ・アイヴォリー監督『眺めのいい部屋』の時から好きだったんですが、バートンと付き合うようになってから随分、演じる役柄がポップになってしまったような気がします。

2009/1/9(金) 午後 10:00 [ キュブ零 ]

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トリックスターさん、私はまだ「ティム・バートンは・・・」と言えるほどに彼の作品を見ていませんが、この作品の世界は好きでした。

2009/1/10(土) 午前 5:59 alf s mom

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キュブ零さんは、作品を越えた部分の情報もたくさんお持ちですね。お蔭で、見たい作品のリストがどんどん増えて行きます。

2009/1/10(土) 午前 6:03 alf s mom

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世間ズレは個性のひとつだと思いますよ。ティム・バートン、たしかに独特の世界観がありますね。色使いも本当に面白いです。この映画や「チャーリーとチョコレート工場」などが印象にのこる映画でした。

2009/1/11(日) 午後 2:26 [ トンチー ]

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私も「世間ズレ」は個性の一つだと思います。
ブージャンさんのコメントを読んだり、ブログをお訪ねする度に思います。「本当に映画がお好きで、たくさんの作品をご覧になっているんですね」。
これからも色々教えて下さい。

2009/1/12(月) 午前 1:05 alf s mom

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「妹の恋人」、未見です。教えて下さって有難うございました。
ジョニー・デップは色々な役がこなせる、
凄い俳優です。
彼の色々な作品を見てみたいと思っています。

本当にたくさんのコメント有難うございました。
出来れば次回は「かぎ」無しで…

2009/8/3(月) 午後 10:41 alf s mom

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ステキな記事ですね^^
このような記事に出会うと、私は記事を書くより記事を読む方が好きなのかも知れないな〜と
感じます
文章って人と成りが見えて暖かさに触れられる物ですよね☆ポチ

2010/12/19(日) 午後 5:09 [ - ]

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マカロンさん、お訪ね下さって有難うございます。

映画とは余り関係ないことまで書いてしまいましたので、
こういう記事は「鬱陶しい」と思われる方もあるのでは…
と思ったのですが、最後まで読んで頂き、嬉しく思います。

私にとっては思い出の映画、大好きなストーリーです。
ポチ、有難うございます。

2010/12/19(日) 午後 7:28 alf s mom

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alfmomさんの記事を読ませていただいて、いつも深いものを感じます。映画を観た時の自分の気持ちがその映画のイメージに重なることは理解できます。昔、自分に子供がなかなかできなくて、「釣りバカ日誌」で子供が出来て喜ぶシーンに、腹立たしさを覚えた記憶があります。感情は我儘でどうしようもないのでしょうね。

2012/12/6(木) 午後 9:23 シーラカンス

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shirakansuさん、
私の記事は、的確で簡潔なレヴューをまとめられるシーラカンスさんたちの記事からすると
余計なことが多すぎる気がしています。
が、そんな風に受け取っていただけて嬉しく思います。

私に映画の奥行きの深さと、邦画の素晴らしさを教えて下さったのは
shirakansuさん、
ヒッチさん、トリックスターさんのお三方です。
心から感謝しています。

2012/12/7(金) 午前 0:19 alf s mom

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「世間ズレ」とはキムの元カレのジムみたいな生き方だと思いました。「世間ズレ」していないとは、良識をわきまえているというよりも、世間知らずとでも言い換えた方がいいのでしょうか。
いずれにしても「世間ズレ」という言葉に、「世間からズレている」という解釈も内包されていることは知りませんでした。
TBさせてください。

2013/6/6(木) 午前 7:07 ギャラさん

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ギャラさん、
“世間ずれ(擦れ)”の正しい解釈は勿論、ギャラさんが記事の中で使われていました様に
「実社会で苦労した結果、世間の裏に通じて悪賢くなること」。

私の友人も、それが分かっていて、「擦れる」を「ズレる」の意味で使ったのです。
もう15年ほど前のことですが、今は、「ズレている」の意味だと思っている若い人たちもいるようです。

済みません、紛らわし表現になってしまって。
このファンタジックで、切ない物語、とても懐かしいです。
ツゲの木を見るたびに、この映画のことを思い出します。

TB、有難うございます。

2013/6/6(木) 午前 7:52 alf s mom

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