|
辰巳芳子さんは食を通して日本の自立を考え、自分達が食べるものは自国で賄う必要があると考えてきました。
この映画は、農と食を通して、人の命の尊厳を改めて考え直す映像の記録です。(「天のしずく」公式サイトより) 2012年。監督・脚本:河邑厚徳、総合プロデューサー:小泉修吉。キャスト:辰巳芳子。 東日本大震災から数ヵ月後のこと、鎌倉の広い自宅の庭を歩きながら、辰巳さんは語ります。 「地震や津波は何とかなる。原発(事故)は、未来が見えない。」 「過ぎてしまったことにはならない。」「先が見えないと言うこと。これからの私たちの課題」 そして咲き誇る椿を見ながら「(いつもと様子が違う)狂い咲き。植物が教えてくれている」と。 辰巳さんの料理の原点は、同じく「料理家」の草分けであった母浜子さんの料理に対する姿勢。 そして辰巳さんの料理家としての生き方がより多くの人に知られるようになったのは、嚥下障害となった病床の父親のために工夫を凝らして作り続けたスープが、TVなどを通して「いのちのスープ」として、全国の多くの人たちに知られるようになったことでした。 「季節をお椀ひとつの中から感じ取る」。そのための素材は、誠実に土と気象と風土と向き合う生産者によって育てられたものでした。そのうちのお一人、東北の農家の方は、乾田直播による稲作を行っておられました。 苗代も要らない。手間と人手を省く農法でした。農地は涵養システムを活用することにより、一年おきに水田と畑の転換が行えるようになっていました。この時、水田の横では大豆が生長していました。 辰巳さんは「自国の食糧は、自国で」と願い、米と大豆は日本で賄わねばと考えておられます。そのための行動として、「大豆百粒運動」を全国の学校に呼びかけられ、種を贈り、学校農園での栽培と収穫を託されています。 土に触れて、歓声を上げながら植え付けをする子ども達の姿、愛らしい手…未来の為にする仕事の大切さを教えられました。 「食は生と死を分かつ」。スープは赤ちゃんから、お年より、重篤な病気の方まで、年代や健康状態を超えて食することの出来る究極の料理です。時間をかけて、素材の気持ちを汲み取るがごとくに、丁寧に作り上げられていくその手順を見ながら、私は敬虔な気持ちになっていました。 昭和19年(1944年)に結婚された辰巳さん。夫は挙式して3週間後には出征し、その後南太平洋のセブ島で戦死しておられました。 「50年間ずっと(結婚の意味を)考えてきた」と辰巳さん。そして、その地をご自分で訪ねられ、南太平洋に沈む夕陽を目にした時、「ずっと守っていた」と言う夫の思いが届くのを感じられたと辰巳さんは仰いました。 映画には「いのちのスープ」を通じて緩和ケア病棟の医療者の方々、美術家、元ハンセン病患者の方など、様々な方が登場されました。 土の芸術を生み出しておられる美術家の方の収集された日本各地の600種類の土が、和紙の上に整然と並べられた作品は、圧巻でした。日本の風土の多様さを思いました。 「土が良ければ、太陽の光とで(野菜は)自然にできる」、辰巳さんの思いです。 最後に辰巳さんは、「いのちのスープ」に対するお礼状を届けられたハンセン病の元患者さんを、瀬戸内海の長島に訪ねられます。元患者さんの友人が末期癌で死期が迫っていた時、TVで見た辰巳さんのスープを作って飲ませると、友人はとても喜んでくれた…手紙に書かれていたことを、その女性は訪れた辰巳さんに語ります。 不自由な手で、相手のいのちを思い、料理を作られたであろう女性の姿を見て、「食といのち」のつながり、その中にある「愛」を感じて、私は胸がいっぱいになりました。 更に心に残ったのは、80歳を超えたお二人が、語り合いながら「80過ぎて、はじめてわかることがある。 80過ぎる今まで、生きていて良かった」と、少女に戻ったように笑い合われた場面でした。 何歳になっても、「そのとき初めて分かること」と出会うために、私たちは生かされているのだと思いました。 核心に深意を秘めたものにしましょう。 命題はいつしか、「愛することは 生きること」に修まってゆきました。 想いは自ずから仲間の胸に宿り、 製作過程の集中と合力は人間の限界に迫るかに見へました。 その故に、この作品は「ところ」を得れば 時代を超えられるのではございませんでしょうか。 終わりに、私共を信じ、支え、期待しつづけて下さった御協賛の皆様、 画面に気持ちよく登場して下さった隣人方、愛する仲間、 觀客の方々に「天のしづく−天の恵み」は 豊かにそそがれることを信じてやみません。 〜辰巳芳子さんの映画に寄せる言葉より〜 それは、私が見て感じた、この映画が伝えてくれたものとは対極にあるもののような気がしました。 |

- >
- エンターテインメント
- >
- 映画
- >
- 映画レビュー



健康脳さん、
いかに気持ちよく過ごすか、大切なことです。
辰巳さんのこと、ご存知だったのですね。
脳が元気であるよう、心がけで行こうと思います。
コメント有難うございました。
2013/7/16(火) 午後 9:25
tosboeさん、
仰るとおり、最後の二行は要りませんね。
でも、安倍さんがこの国の首相であることの情けなさが、映画が進むに連れて余計に感じられていきましたので、言葉にしてしまいました。
「当たり前のことを当たり前に感じて自由に発言され、行動されているだけ」。
確かにそうですね。
あのノンインテリの首相によって、それが当たり前でなくなってしまうのではないかと思うと
虚しくでなりません。
2013/7/16(火) 午後 10:30
bbさん、
TVでご覧になったことがおありだったのですね。
私はこの映画で辰巳さんのことを知りました。
高潔で、強い遺志を持たれた方。
自宅が、スープ教室になるというのも、凄いことだと思いました。
かなり多くの方が参加されていましたね。
正に「医食同源」を実践されているのだと思いました。
2013/7/16(火) 午後 10:39
sin-kaiさん、
以前はあった「もったいない」と言う感覚が段々薄れてきているのだと思います。
安全性は重んじられなければなりませんから、廃棄も仕方ないのかもしれませんが、
これだけ食べ物が捨てられるのは、システムのどこかに問題があるのだと思います。
日本食。今海外でブームなのですね。
長い年月をかけて育てられてきた伝統の日本食には
世界が学ぶべきものがあるのではないかと思います。
外食産業に、それが反映されているのかは疑問です。
ナイス、有難うございます。
2013/7/16(火) 午後 10:46
かなさん、
辰巳さんのこと、ご存知だったのですね。
本当に色々なことを良く知っておられますね…
「お愛想」の表情を作られない方ですね。誠実で真っ直ぐな思いを感じさせる方です。
ぐるんぱくんの代筆、有難うございます。
私の言葉、またぐるんぱくんに伝えてください。「大きくなるのはいいことです。
食べ盛りのぐるんぱくん、お料理上手の、かなさん・カナパパさんちで暮らしているのですから
丈夫に成長していくのは当然のこと。
体型のことを少し気にして食べていれば、おうちに入らなくなるなんてことは
絶対にないので、安心してください。
かなさん・カナパパさんちで、これからも時々お手伝いしながら、
仲良く幸せに暮らして行ってください。
これからも、時々『写真』で、出会えるのを楽しみにしています。」
2013/7/16(火) 午後 10:57
ひびきさん、
棚田は自然のダム機能も果たしていたのですね。
素晴らしい先人の知恵です…
季節ごとに変化を見せる棚田、
本当に美しい日本の風景だと思います。
先ほどの世論調査の結果では、安倍内閣を支持する数が50%を切っていました。
漸く人々が、まやかしに気づき始めたのだと思います。
もっと早くこの動きが始まってほしかったですが、
選挙に、好影響を及ぼせばいいなと思っています。
2013/7/16(火) 午後 11:01
alfmomさん、おはようございます。
辰巳芳子さんの事も映画の事も、そして命のスープの事も知りませんでした。記事を拝見し色々と考えさせられました。
地道に人々の為に活動をしている方がいらっしゃる反面、
こちらではいまだつくば等では乱開発が続けられ、緑の雑林や野原が無くなろうとしています。昨日、つくばの街を通って愕然としました。
2013/7/17(水) 午前 8:38
くうちゃん、
私も、この映画を見るまでは知らないことでした、
素晴らしい生き方をされている方だと思いました。
母と同い年。同じ時代を生きてこられた方ゆえに、余計に色々な感慨が湧きました。
つくば街道、そんなに変貌していたのですね…
これ以上、環境を傷つけてほしくないと、切に思います。
一度壊された自然は、そう簡単には修復できませんから…
2013/7/17(水) 午後 11:06
息子の同級生と不思議なご縁があり、アドレスを聞いてメールしたところ、彼は今の日本のおかしなことに気がつきサラリーマンを辞めて農業をしているそうです。若者に気付いて欲しい、生きる上で大事なものは何かを。
2013/7/17(水) 午後 11:11 [ ポッキー ]
二度目のコメントになりますが、実は辰己さんがご健在であるとは知りませんでした。日本にいた時たまに新聞の料理記事などでお名前を拝見することはありました。料理番組では不馴れなアシスタントを叱りとばす様な怖い方だという噂を聞いたことがあります。個人的には土井勝先生の方が親しみがあって好きでしたが、ご高齢にも関わらず今でもお元気で活躍されているのは素晴らしいことだと思います。
2013/7/17(水) 午後 11:50 [ Farida ]
ポッキーさん、
息子さんのお友達との繋がり、いいご縁ですね。
このドキュメンタリーを見ていて思ったのは、
このまま自民政権が存続すれば、「いのちのスープ」を
日本の野菜を使って、ほどほどの価格で作るのはとても難しくなるのではないかと言うことでした、
そして、食といのちが結びつかなくなるのでは…という恐れでした。
息子さんのお友達のような、若い方々の気づき。
とても大切なことだと思います。
2013/7/18(木) 午前 11:06
Faridaさん、再コメント、有難うございます。
日本におられた時から、辰巳さんのこと、ご存知だったのですね。
「不馴れなアシスタントを叱りとばす様な怖い方」。
そう言う噂もあったのですね。ドキュメンタリーの中では、そんな場面はありませんでしたが、
厳しい表情の方だとずっと思って見ていました。
でも、語られた言葉の中には、共感できるもの、
そしてご自分でも言われていますが、「『ところ』を得れば
時代を超えられるもの」が多くあると思いました。
スープ教室に参加してみたいとは思いませんでしたが、
母にも、こういうものを味わわせてやりたい…という気持ちになりました。
食がますますなおざりにされていくであろう未来を思い、
複雑な思いにさせた映画でもありました。
2013/7/18(木) 午前 11:21
「80過ぎて、はじめてわかることがある。
80過ぎる今まで、生きていて良かった」
という言葉が、とても印象的です。こちらでは上映が終わってしまい、見逃してしまい残念です。
「取り戻す」って、無理な話ですよね。時間が戻らないように、震災前には決して戻らない。別な道を、進んでいく必要があると思います。
2013/10/16(水) 午後 7:51 [ datechibu ]
datechibuさんが
コメントの最初に書いてくださった言葉、私もとても好きです。
そう長くは生きていなくてもいい、と思っていたのですが、
お二人の穏やかな会話を聞いていると、折角頂いた命、
学び続けながらまっとうするのもいいものだなという気持ちにさせられました。
安倍さんは「戦前」にしたいのだと思います。
そして「経済成長」していた頃の日本に戻したいのだと思います。
それは不可能なことです。
2013/10/17(木) 午前 3:28
まもなくNHKで放送されますね。楽しみです。
2014/1/13(月) 午後 0:46
strollさん、
コメント有難うございます。
NHKで放送されるのですね。
食は命に繋がるもの。
「生き方」として私たちが学ぶべきことが
たくさん示されていた映画でした。
2014/1/13(月) 午後 9:56
リンクさせていただきました。また、ちょくちょく寄せていただきます。
2014/1/14(火) 午後 4:28
after strollさん、
再訪頂き、有難うございます。
after strollさんの映画の書庫には、私の好きな映画がいくつか収められていましたので、
私もまたお尋ねさせていただきます。
リンクしてくださって、有難うございます。
2014/1/14(火) 午後 9:03
こちらの記事一度読ませていただいていたようです。改めて拝見しました。あの「命のスープ」の本からだけでは、見えないことがたくさん書かれていますね。
「地震や津波は何とかなる。原発(事故)は、未来が見えない。」
事故で放出された放射能は、人間が生きるのに必要な水と空気と食物を育てる大地を汚染します。
これだけでも、人間の命を脅かすものなのに、再稼働などもってのほかです。
この命のスープは実際にハンセン病の方や緩和病棟で死を待つ状態にある方の口へも届けられたのですね。スープだけでなく、その相手への思い・真心、愛も一緒に届けられたのだと思います。
スープの材料を良い物でそろえたいとなれば、反原発はもちろんのことですが、当然農業の在り方も食糧自給率も
問われることでしょう。政治家も国民も「食は命」という考え方をもっと学んでほしいです。
食べ物を粗末に考えることは結局亡国にもつながっていくように思えます。
貴重な映画のお話、いろいろ知ることができました、感謝です。
2016/2/16(火) 午後 8:08
> mimiさん
古い記事にコメント頂き有難うございます。
一年程前にナイスを頂いていました。
「事故で放出された放射能は、人間が生きるのに必要な水と空気と食物を育てる大地を汚染します」…福島の今を見れば、それがどんなに住んでいた人々を悲しませ、苦しませるものであるかを伝えているのに、政府は「忘れさせること」に最大の力を入れているように思えます。
こんなに人の「いのち」を軽んじる内閣は、戦中のときを除いて、ない気がします。
「スープの材料を良い物でそろえたいとなれば、反原発はもちろんのことですが、当然農業の在り方も食糧自給率も問われることでしょう」…「食べる」ということは、多くのことと繋がっている、生きる上で最も大事にすべきことです。
それをmimiさんの記事からも、この映画からも受け取りました。
2016/2/16(火) 午後 9:33