“わが谷は緑なりき”〜私の映画ノート

原発のない、戦争のない世界に。そして「縮小社会」に向かう覚悟を。

日本映画

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山の音

艶っぽさを感じさせる原さんを見たのは本作が初めてでした。
小津映画や黒澤映画では見られなかった「原節子」を成瀬映画に見ることができました。

原作は川端康成戦後日本文学の最高峰と評され第7回野間文芸賞を受賞。川端の作家的評価を決定づけた作品として位置づけられている。老いを自覚し、ふと耳にした「山の音」を死期の告知と怖れながら、息子の嫁に淡い情を抱く主人公の様々な夢想や心境、死者の夢を基調に、復員兵の息子の頽廃、出戻りの娘など、家族間の心理的葛藤を鎌倉の美しい自然や風物と共に描いた作品。
、2002年にはノルウェー・ブック・クラブ発表の「史上最高の文学100」に、近代日本の作品として唯一選出された(wikipediaより)

上記は小説の内容。映画は「息子の妻に抱く初老の父親の淡い恋情」が軸になっていました。

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1954年。監督:成瀬巳喜男、脚色:水木洋子、原作:川端康成、撮影:玉井正夫、美術中古智、音楽:齋藤一郎。出演:山村聡、長岡輝子、上原謙、原節子、中北千枝子、杉葉子、角梨枝子、丹阿弥谷津子、金子信雄。

穏やかな郊外の住宅地。竹塀が長く続く小路を菊子(原節子)が自転車で自宅に戻る先には、勤めから帰宅中の義父(山村聰)の姿が。爽やかなオープニングシーンです。

軽やかに会話しながら家に入る二人。夫と夫の両親の4人家族の尾形家。理解があり、穏やかな心情の義父。対する菊子の夫は冷淡で、よそに愛人を持っています。そのことを菊子も義父も知っています。

優しく気働きのできる良妻がいるにもかかわらず、常に陰気で彼女に優しい言葉を掛けることなど全くない夫。それを知って気遣う義父の想いは実に細やかです。

ある日、義妹が婚家から子どもを連れて家出し、実家に戻って来ます。義妹らを優しく受け止める菊子。
義父は、妹の訴えを聞きながら、自分がなじられても静かにそれを聞きます。

義父は、息子の愛人問題にも決着をつけねばと思っていました。そして、その女性の暮らす場所を聞き出し、そこへ向かい、「穏便」にことを終わらせます。

菊子はその頃ある決断をして、それを実行していました。その結果体調を悪くした菊子は実家に戻ります。
破綻しかけた家族。それを優しく修復しようとした義父でしたが…。


私のささいないたわりが お前をかえって束縛することになった。許しておくれ。」
家族の中で一番のいたわりを示していた義父は菊子に言います。その優しさの中には、義娘菊子への秘めた恋慕の情が包み込まれていました。

別々の用向きで出かけた際、列車の中に並んで座る二人の語らい。体調不良で鼻血を出した菊子を介抱する義父、その時の菊子の眼差し。そしてラストの新宿御苑での二人が交わす言葉と二人を捉えた情景。義父の抑制された思いを、山村が見事に演じていました。

息子役の上原謙山村聰が、親子としては年齢にそれ程大きな差がないような気がしていたのですが、調べてみて驚きました。上原謙が1909年生まれ、山村聰が1910年生まれだったのです!今の時代であれば、所謂「芸能人」の年齢はすぐにTVに表示されます(何故意味なくプライバシーをさらすのか不明ですが)。ですから、この状況にはかなりの違和感を抱くと思うのですが、それがなかった時代だったからこその配役だったのでしょう。

私が子どもの頃Vで見ていた山村聰は、どっしりした貫禄と威厳を持ったおじいさん役。こんなに細身でハンサムだったのだと改めて思いました。出演時44歳。10歳も年上の役を演じておられたのですね…。


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この本はなぜだか文庫本で、手元にあり何度も読みました。高校の頃から。川端文学の美至上主義はわたしには異質の世界のものだったのに、なぜか、あの雰囲気が好きでした。映画はみていませんが、この年になり、とてもとてもひかれるものを感じます。日本映画はいいですね。いつもナイスセンス。脱帽です。
おまけ・・・ムンクの絵もゆっくりみたくなりました。記事により、思い出させていただきました。ありがとうございます。

2015/11/30(月) 午前 6:28 さきたま新聞

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プラトニックラブの深層心理のような作品です。
ある種の残酷さも見え隠れしていて川端文学らしいと思いました。

2015/11/30(月) 午前 7:15 ギャラさん

山村聡さん、良いですね〜、この映画も観たいですが、先ずすぐ手に入る原作を読もう、と思います。

日本映画も遠くに来たものだ、と思います。
この頃はがっかりすることが多く、邦画はほとんど観なくなりました。

2015/11/30(月) 午前 10:20 じゃむとまるこ

数人名前知ってます。顔と一致する人は山村さんの歳取ったころと、金子さんかな?
原さんって知らないんやけど、名前だけは知ってます。
ホントに爽やかな綺麗な人だったんだね。

2015/11/30(月) 午後 2:38 [ baldman ]

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こんばんは。
これは静かで上品で日本的な情愛の映画でした。寂しい風景のなかのラストシーンも
よかったです。今の時代にこの映画を撮るともっと生々しいものになるでしょうね。

2015/11/30(月) 午後 7:48 [ hisa24 ]

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> さきたま新聞さん
原作を読まれていたのですね。そして若い頃から川端文学に惹かれておられたのですね。
私は川端文学には学生時代あまり接したことがありませんでした。
町内で文学講座があり、「伊豆の踊子」を改めて読んで、その表現の繊細さ
日本語の美しさに感嘆の思いでした。

この映画は必ずしも原作の全てを描きつくしてはいないかもしれませんが
とても美しい映画でした。

ムンクの「病める子」は、何故か惹かれて、大学の下宿の壁に暫く貼っていました。

2015/11/30(月) 午後 11:33 alf's mom

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> ギャラさんさん
「プラトニックラブの深層心理」…確かにそうでした。
映画が描こうとしたものが台無しになると思いつつも、
ラストでは、菊子を義父に抱きしめてもらいたいという気持ちが沸き上がっていました。
そういうことがなかったから、余計に深い余韻が残りました。
本当に美しく哀しい映画でした。

2015/11/30(月) 午後 11:36 alf's mom

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> じゃむとまるこさん
本当にいい情緒の映画でした。原作も読んでみたくなりました。
「日本映画も遠くに来たものだ」…本当にそうですね。

ブログを始めて邦画の旧作を見るようになり、その質の高さに驚きました。
素晴らしい監督、脚本家、撮影者がおられたのだと思いました。

最近の邦画、洋画もそうですが、好きだと思える作品に出合うのがかなり難しくなりました。

2015/11/30(月) 午後 11:40 alf's mom

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> bald manさん
44歳の山村さん、本当に素敵でした。
古い言葉ですが、「ロマンスグレイ」とはこういう雰囲気の男性のことを言ったのだろうと思いました。

95歳で亡くなられた原さんを追悼する意味での鑑賞でした。
本当に、色々な女性を丁寧に演じて来られた方でした。

2015/11/30(月) 午後 11:42 alf's mom

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> hisa24さん
「静かで上品で日本的な情愛の映画」、
本当に仰る通りです。美しくて、哀しい映画でした。
秘めた思いを二人がとてもよく演じていました。

「生々しい」映画にならなくて良かったと思いました。

2015/11/30(月) 午後 11:45 alf's mom

mom様、お久しぶりです。ご無沙汰していました。

10代から20代のころ川端康成の小説をかなり読みました。
中でも、この「山の音」と「雪国」が好きでした。映画は見たことがありませんが、素晴らしい俳優さんが揃っていますね。チャンスがあれば、ぜひ見たいです。

2015/12/3(木) 午前 7:17 ニコリーヌ

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> ニコリーヌさん
久し振りの記事、心配しつつも、更新できる時間がおできになって
良かったと思いました。

川端文学に多く接して来られたのですね。
原作とはやや異なる脚色をされているかもしれませんが
私はこの世界にしっとりと浸ることができました。
チャンスがあれば、ご覧になって下さい。

2015/12/3(木) 午前 11:02 alf's mom


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