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考えが変わり始めたのは、被害に遭われたある遺族が語られた、犯人が処刑されても殺された愛する人が戻ってくる訳ではなく、刑執行の前後で何も変わりはしないという気持ち、またアーミッシュの方々の「赦し」という考えを知ってからでした。 更に考えたのは、冤罪の存在によって、死刑は取り返しのつかない罪を国が犯す可能性があるという事、そして最も強く抱いたのは、日本が人を殺すことを職業とする国家公務員を必要とする国であるという事に対するたまらない抵抗感でした。 本作はそう言う職業である刑務官と執行までの日を「待つ」死刑囚の物語。音楽もほとんどなく、とても静かな映画です。原作は吉村昭。そのルポルタージュ力の緻密さに敬服している作家です。 死刑囚を収容する拘置所に勤務する刑務官の平井(小林薫)は、死を間近に感じることを余儀無くされる閉鎖的空間で淡々とした日々を過ごしています。収監中の死刑囚金田(西島秀俊)とは形式的な伝達を除けば、会話はほとんどありません。
静かな受刑者と刑務官のやり取り。二人の俳優の演技は秀逸でした。同僚役の菅田俊もその存在感が際立っていました。
静かな二人の交流。金田の罪状は、初めにちょっと目にできる書類に書かれた文字で察することしかできません。拘置所での変化のない日常が静かに描かれて行きます。房の外に出ての運動、妹や弁護士との面会でも、金田はほとんど言葉を発しません。 独身である平井刑務官には「お見合い」の話が進行しており、結婚が決まります。相手は子どもを持つ女性(大塚寧々)。 ある日突然、刑務官らが集められ所長から金田の死刑執行日が告げられます。それは平井の結婚式を目前に控えた日。所長は、執行時、支え役(刑場の床が開き、落ちて来る死刑囚を下で支える役)には、一週間の休暇が与えられると伝えます。考え抜いた平井はその役を担うことを決め、所長に申し出ます。 新婚旅行の「休暇」取得のために、その誰もやりたがらない役目を引き受けたのかと、同僚の中にはやるせない怒りを平井にぶつける者も。 執行は、当日死刑囚には言い渡されます。マスコミにも、受刑者にも極秘に準備は進められ、刑務官には「日頃と同じ行動」が求められます。そのように行動した刑務官たちでしたが、微妙な変化を感じ取った金田は、前日房内で、荒れ狂います。そして迎えた「その日」…。 死刑の場面。刑務官は淡々と任務に当たっていました。金田も表面は冷静でした。 しかし、その仕事は精神的に余りにも過酷。そう言う状況を認めていいのか、その思いは更に強くなりました。 人一人のいのちを奪うことは、これ程に執行者の心を重く、苦しいものにする。それは一生、その任務に就いた人の心から消されることはないのだろうと思いました。 |

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そうですか、
私は、まだ半々です。
ただ、ホントに死刑にしか刑罰が考えられぬ人がなんかの恩赦などで、社会に出てくるとか、出てきてまた同じ犯罪を犯すとか、、
終身刑って、あるんですか?
死刑廃止なら、これはいるかな、、と。
税金を使う必要があるかどうか、、
も議論するとこかなあ?
2015/12/6(日) 午前 8:09 [ baldman ]
残念ながら、日本には『終身刑』はありません。私は『死刑制度』を廃止する時、同時に『終身刑』を導入するべきだと思っています。
2015/12/6(日) 午前 9:42 [ 護憲・反原発ブル/小牧&丸木寿人 ]
> 護憲・反原発ブル/小牧&丸木寿人さん
強い共感を頂き有難うございます。
ブルさんのブログの一口メッセージ「【なくせ戦争・基地・核兵器・原発・飢餓・貧困・差別・死刑を】
核・原発と人類は共存出来ない。世界は全原発停止、廃炉に進め!!。私は『良心の底から死刑に反対する全世界から死刑』を無くせ!!。」をいつも共感しながら読んでいます。
死刑制度を深く考えさせる良い映画でした。
2015/12/6(日) 午前 9:46
> mimiさん
私は「死刑廃止」を言えるようになるまで時間が必要でした。
時代が変化するにつけ、mimiさんも書かれているように
容疑者が「死刑になりたいからその道連れに…」と発言するのを聞くにつけ、
死刑には犯罪抑止力などないのだという事を思うようになりました。
>被害者の気持ちも、心から悔いて、償いをしていく気持ちや行動によって、
許しへと変化していくように思えます…時間はかかっても、そういう変化が訪れる可能性を信じたいと思っています。
2015/12/6(日) 午前 9:54
> bald manさん
半々のお気持ち、とてもよく分かります。
私も以前は、死刑制度があるのは当然だと思っていましたから。
「死刑にしか刑罰が考えられぬ人がなんかの恩赦などで、社会に出てくるとか、
出てきてまた同じ犯罪を犯すとか」…中々更生できない人はいると私も思います。
終身刑を死刑制度の代わりに導入することも考えてみては、と思っています。
刑務官の仕事が如何に過酷なものであるかを、考えさせた作品でした。
2015/12/6(日) 午前 10:13
> 護憲・反原発ブル/小牧&丸木寿人さん
再コメント、有難うございます。
死刑より、しかも死刑がああいう形で執行されることを想うと
終身刑がある方が遥かに理解できると思いました。
2015/12/6(日) 午前 10:15
こんにちは。
ご覧になりましたか。静かないい映画でしたね。この後、「殺人に関する短いフィルム」と
いうやはり死刑を扱った映画を観ました。私もレビューしていますのでTBさせてくださいね。
2015/12/6(日) 午後 1:31 [ hisa24 ]
良い作品ですよね、2008年に観ていました。原作も短編ですぐ読めました。若い時に冤罪の勉強したので死刑制度には反対です。おっしゃる通り厳罰主義になってもそれで犯罪が減るわけでも、死刑にしても被害者家族が救われる事にはならないそうです。
映画では「デッドマンウォーク」(被害者家族が観ている前で処刑)や日本では大島渚の「絞死刑」が死刑の残酷さを描いていました。
電気椅子も絞首刑もなかなか絶命出来ず苦しむといいます、これが冤罪だったら…
演劇鑑賞した「ローゼンバーク夫妻」も電気椅子の犠牲となりました
http://blogs.yahoo.co.jp/shishi5235/23993784.html
TBしたつもりが出来ていないようですいません。
いつもお心にかけてくださりありがとうございます。
金曜は初心者バレエ、昨日はザ・ニュースペーパー公演、今日は朝の抗がん気功といつもの気功教室でした。朝は起きられず8時過ぎからの参加です。元気ねえと言われますが帰宅するとクタクタ、家事は手抜き、出すぎと思いますがバレエも気功も似ていて何かいいので養生だと思い続けてます。
2015/12/6(日) 午後 3:54
皆で菅さんおろし、ひどかったですね、今回の裁判も最悪です。自分で書けない記事を有りがたく拝借させていただいています。言い続けること大事だと思います。
「衆愚政治」でにんまりしてるあの気持ち悪い人を何とかしないと。
2015/12/6(日) 午後 3:59
> hisa24さん
いい映画をご紹介下さって有難うございました。
hisaさんのレヴューを読んでいなければ見なかったかもしれません。
本当に静かな映画でした。
だからこそ、死刑制度について深く考えることができた気がします。
2015/12/6(日) 午後 9:55
> hitomiさん
公開直後にご覧になっていたのですね。お若い頃から、死刑制度の勉強をされ、反対の意見を持たれていたのですね。
私は記事にも書きましたが、結婚して子どもが小さい頃には、制度反対の気持ちにはなれませんでした。
死刑制度賛成派は現在の日本では8割を超えています。
如何に自分が少数派に位置するかを思います。しかし、もっと前の時代には
死刑賛成派はそこまで多くなかったデータを見た記憶があります。
これもマスコミの情報が変化をもたらしたのではという気がしています。
「絞首刑」は未見ですが、「デッドマンウォーキング」や「ダンサー・イン・ザ・ダーク」
は見ています。とても考えさせられた映画でした。
「ローゼンバーク夫妻」のことは知りませんでした。教えて下さって有難うございます。
「ニュースペーパー」の公演もご覧になっているのですね。
ハードだと思いますが、良く体と頭を使われています。
2015/12/6(日) 午後 10:11
> hitomiさん
管さん下ろし、本当に酷かったです。
原発に関しては、しなければならないことはして頂けたと思っています。
完璧ではありませんでしたが。
衆愚政治のリーダーの顔。TVで見る度に不快になります。
TVに登場回数を指示しているのではと思う程、気持ち悪い顔を何度も見せられている気がします。
2015/12/6(日) 午後 10:15
これは知らない作品ですね。2007年ですか。観てみようと思います。
2015/12/7(月) 午前 8:40
> atts1964さん
タイトルは知っていましたが、吉村昭原作とは知りませんでした。
それを知っていれば、もっと早くに見ていたことと思います。
会話も少なく、多くが同じ場面での展開です。無駄な脚色がありませんでした。
死刑制度について、しっかり考えさせてくれる構成になっていました。
2015/12/7(月) 午前 8:53
この映画、公開時観たいと思っていたのですが、すっかり忘れていました、今からでも観たいです。
死刑があるから犯罪の抑止になるというのは全くの間違いであると思います、死刑で罪が償えるとも思えません、だから死刑には反対ですが、そうなると終身刑は必要かな、と思います。
それにしても、酷い、この先日本はどうなるのか、と暗澹たる気持ちになります。
フランスで極右台頭とのニュース、日本はとっくに極右政権ですが、安倍政権支持者はどう考えるのでしょうか、思考停止でしょうか。
2015/12/7(月) 午後 7:46
> じゃむとまるこさん
死刑制度廃止の思いを更に強くさせた作品でした。
存知賛成の人にはつまらなく感じる作品なのかも、と思いました。
受刑者の家庭環境、犯した罪など、背景が全て省かれていましたから。
そこに私は、この監督のこの作品に込めた思いを強く感じました。
「死刑があるから犯罪の抑止になるというのは全くの間違いである」と私も思います。
8割以上の人が存知賛成派。この数字を減らすのは容易ではなさそうです。
本当に酷い政治のニュースが続きます。
事実を正確に報道してほしい。騙される人が多過ぎます。
TBSニュースでは、内閣支持率が5割を超えていました。
与党政治家は勿論、日本人にもゼツボーしつつあります…
2015/12/7(月) 午後 9:02
「国家による殺人。合法的な殺人である。内容的には2つあって、
ア、戦争。人権の決定的・大規模・組織的・意図的な破壊。戦争には理屈と屁理屈がある。
イ、死刑。裁判で死刑となるのは国家によって犯人を殺すこと。国家の合法的行為による殺人である。いい悪いの問題でなく、事実の問題。死刑制度に反対・賛成がある。ヨーロッパは反対になっている。対して中国・日本・米国は賛成である。G7のうち日本と米国のみが死刑をやめてはいない」coolかとう
2015/12/7(月) 午後 11:50
> Schwangerschaftさん
「死刑となるのは国家によって犯人を殺すこと。国家の合法的行為による殺人」
…そう思います。こういう仕事を負う方々の気持ちに寄り添いながらの鑑賞。
その後の彼らの生活を考えさせるエンディング。複雑な思いになりました。
2015/12/8(火) 午前 6:06
今日は開戦の日ですね。レノンの理不尽な死!大好きな歌です。あの夫妻が子供の頃は歪んで受け止められていましたね。そんな映画も観ました。
こちらの9条の会でともしびウォークがあります。風なければ参加したいのですが。
「ありがたいお言葉を聞いて、まるで天の岩戸があけたやうな気がしますね。さあ、私たちも、しっかりしませうよ。」といって、目に涙をためながら…この奴隷根性がたまりません。
「ダンサー・イン・ザ・ダーク」以下かでしたか。一時ビョークにはまりました。カトリーヌ・ドヌーヴはずっとファンです。
2015/12/8(火) 午前 6:42
> hitomiさん
余りニュースでも伝えられませんから、この日がアジア・太平洋戦争の「開戦」の日であったことを
覚えている人は段々減って来ているのではないかと思います。
ジョン・レノン夫妻のこと。私もヨーコさんが、ビートルズ解散を招いたのだと思い
余りいい感情はもっていませんでした。
9条の会の企画、参加出来られるといいですね。
国が特に子どもたちを洗脳していく力、凄まじいものがあります。
そう言う渦の中に入れば異論など、蹴散らされて行くのでしょうね。
ダンサー・イン・ザ・ダークは本当にどこにも「救いのない」映画でした。
忘れられない作品です。ドヌーヴは年齢を重ねても、美しかったです。
流石世界の大女優と言う気持ちで鑑賞しました。
2015/12/8(火) 午後 2:27