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昭和時代の祇園にタイムスリプしたような感覚で鑑賞。その映画への誘い方の巧さに感嘆の思いでした。20歳の若尾文子の可憐さもさることながら、それまではちょっと贅肉のついた怖いオバサンの印象だった小暮美千代の、「日本画」から抜け出したような「和」の美は感動的でした。映画撮影時は35歳。妖艶さが全編に溢れていました。
京都の花街、祇園を舞台に、芸子たちの生活と彼女らを取りまく人間模様が描かれた作品です。 1953年。監督:溝口健二、原作:川口松太郎、脚本:依田義賢、撮影:宮川一夫、衣裳:黒沢好子、音楽:斎藤一郎。出演:木暮実千代、若尾文子、河津清三郎、進藤英太郎、菅井一郎、田中春男、小柴幹治、浪花千栄子、石原須磨男、志賀廼家弁慶、伊達三郎、毛利菊枝。 祇園ではそこそこ名の売れている芸者美代春(小暮)の元に、昔のなじみ客の娘で、母を亡くしたばかりの少女栄子(若尾)が、芸者として仕込んでほしいとやって来ます。彼女の健気さにほだされ、その身を引き受けた美代春。「修練」を経た栄子は一年後に芸者デビューします。 修練中に師匠から「基本的人権」というものの存在を教えられた彼女。改めてその言葉を使うことはなくとも、元々独立自尊意識の高い彼女の「お座敷」での存在には、特異さがありました。 それ程経済的ゆとりのなかった美代春は、栄子のお披露目費用(着物等)三十万を、祇園の芸者たちを取り仕切るお茶屋「よし君」の女将(浪花千恵子)から借ります。でも実際はそのお金は、「よし君」の上得意客楠田から出ていたのでした。結果、栄子を見初めた楠田、その取引先の神崎から気に入られた美代春は、両人から「特別接待」を求められることに…。 和装が小暮美千代にとても良く似合っていました。モノクロでしたが、粋な柄とその着こなしは、完成された日本美人の「典型」を感じさせました。 祇園の芸者たちのお座敷を取り仕切る浪花千恵子の台詞回しとその佇まいにも、見事な風格がありました。 「ゲイシャ・フジヤマ」はかつて外国人が抱いていた日本を表す言葉。「ゲイシャ」に対して、外国人はどういう感覚を抱いていたのだろうと思いました。 この映画で見た芸者たちは、歌や踊り、和楽器演奏、茶道、華道…と、たくさんの技量を身につけて一人前の芸者となります。時間をかけて芸を身につけた芸者たちは酒席で男客の相手をし、お茶屋の女将によって「旦那を取る」段取りが提示されます。旦那取りとは特定の男客に体を「提供」すること。 芸者は男にとっての都合の良い「オモチャ」。 しかし、自分の身をしっかりした意思を持って守り抜いた栄子。そして彼女を「守り通す」と伝えた美代春。 「特異」な二人がこの世界で生きていく厳しさを思いつつも、その高潔さに逞しさと清々しさを感じたラストでした。 |

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若尾文子さんは、京都弁や演技を浪花千栄子からすべて指導されたそうです。言われるままの演技したのでしょうか、初々しさが素晴らしいですね。
2016/1/30(土) 午前 8:20
> ギャラさんさん
早速コメント頂き、有難うございます。
日本映画の素晴らしさを再確認させた作品でした。
特別な期待感もなく見ましたので、それが良かったのだと思います。
若尾文子、とても良く演じていました。浪花千恵子の指導があったのですね。
浪花千恵子の貫禄、流石でした。
溝口監督の世界。魅了された作品が多くあります…
2016/1/30(土) 午前 8:31
賄賂で動く官僚のスケベぶり、甘利さんの秘書もあんな感じだったんでしょうね。
“京都の、日本の、世界の「祗園」で遊ぼう思うたら、たんと稼いでからお越しやす”・・・ごもっとも。
野暮はよしておくれやす・・・。
”
2016/1/30(土) 午前 8:56
こんにちは
とてもいい映画でしたね。私もこの映画を「発見」したときは驚きました。
ちょっと恥ずかしいレビューでずいぶん前のものですがTBお願いしますね。
2016/1/30(土) 午前 9:54 [ hisa24 ]
> 瀧野川日録さん
降って湧いてくるように、与党政治家の周りにはお金が集まるのでしょう。
甘利事件何て、氷山の一角。
告発者を「ゲスの極み」と呼んだ山東議員の言葉がそのことを良く物語っています。
ホントに男たちのスケベぶり、気持ち悪かったです。
現実でもあのようなんでしょうね。
2016/1/31(日) 午前 6:04
> hisa24さん
旧作邦画の素晴らしさを改めて感じさせた作品でした。
小暮美千代があんなに綺麗だったことも、私には驚きでした。
TB、有難うございます。
後ほど伺います。
2016/1/31(日) 午前 6:06
映画の事はよくわからないのですが、小暮美千代さん出演の映画、映画好きの母に連れられて子供の頃見に行った記憶があります。映画は全然覚えてないのですが、小暮美千代さん、子供から見たらちょっとこわい、けど何かとても魅力的な美しさを、記事を拝見して思い出しました。
後日談ですが、小暮さんのお嬢さんは幼い頃は「ウチのママは世界中で1番の美人」と皆に自慢してらしたそうです。ある日、お友達の女優さんが遊びに見えたところ、その日を境に、お母様の小暮美千代さんを世界一の美人とおっしゃらなくなったそうです。お友達の女優さん「山本富士子さん」だったそうです。
十代の頃叔母夫婦に連れられ、明治座で山本富士子公演を観劇、舞台終了後、お客様お見送りにロビーに出て見えた山本富士子さん、後にも先にもあんなにも美しい方、他に見たことがありません。彼女の匂いたつ様な気品溢れる美貌、今も脳裏に焼き付いています。
ちょっと思い出話させて頂きました。
2016/1/31(日) 午前 9:49
丁寧にコメントして下さって有難うございます。
そしていつも多くのナイスを記事に頂き、とても嬉しく思っています。
小暮さんの映画、幼い頃ご覧になったことがおありだったのですね。
私は、ある程度年をとられてからの小暮さんしか見たことがありませんでしたので
こんなに綺麗な人だったんだ、とその着物姿に魅せられました。
小暮さんの娘さんのエピソード、微笑ましいですね。書いて下さって有難うございます。
山本富士子さん。お名前にも「日本」が入っていますが、本当に綺麗な日本女性だと私も思います。山本さんの若い頃の映画は数本見ましたが、着物姿がより美しいのではと思います。
ご本人にお会いになられた時の感動がしっかり届きました。
2016/1/31(日) 午前 10:30
こんばんは、
50年以上昔の名画を観たくても入手するのは至難のことでしょう。WOWWOWなどの受信契約でもしていれば、観られるのでしょうが。(^^)
それにしても、女性の自立が難しい祇園という特別な世界で、
しっかり自分の意思を守り抜くというのは、ほんとうに強い女性です。いつの時代に生きても生きていけるでしょう。
2016/1/31(日) 午後 11:44 [ eijirou03 ]
> eijirou03さん
祇園で生きる女性たちの姿が、美しく繊細で、情緒豊かに描かれていました。
この作品はレンタル店で見つけました。
本当はWOWWOWなどと受信契約すれば、もっと多様な作品に出合えると思うのですが
家族の中で映画好きは私だけなので、贅沢かな〜と思って、契約はしていません。
この映画で「基本的人権」と言う言葉出て来た時は驚きました。
主人公二人はこれからもこの世界で強く生きていくと思います。
そうですね「いつの時代に生きても生きていける二人」だと思います。
2016/2/1(月) 午前 6:12
芸者、お茶屋?置屋?の世界が見事に描かれていました。小暮美千代は女でしたね、浪花千恵子もまた凄い。TBさせてくださいね。
2016/2/9(火) 午後 11:09
> shi_rakansuさん
旧作映画の女優たちの存在感と美しさ、本当に素晴らしいと、映画を見る度に思います。
小暮美千代、浪花千恵子、本当にいい女優です。男優たちが霞んでいました。
あれ程に女優を綺麗に撮っていたかつての監督やカメラマンの凄い実力を改めて感じました。
2016/2/10(水) 午後 6:20