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これまでたくさんの映画を観てくる中でその「巨匠」と言う言葉が冠せられたテオ・アンゲロプロス監督作品は、まだ何も見たことがありませんでしたので、いつか鑑賞したいとずっと思っていました。 昨年本作が劇場で上映されると知り、出かけましたが、体調が良くなかったこともあり、「説明的」描写の全くないこの作品に中々入り込むことが出来ず、何の感慨も得られないまま鑑賞終了。 先日レンタル店で本作のDVDを発見。再鑑賞して迫って来たのは洗練された映像美と、それに力を与えている音楽の素晴らしさでした。 2012年、撮影中の事故により急逝した「旅芸人の記録」「永遠と一日」のテオ・アンゲロプロス監督の遺作です。 2008年、ギリシャ・ドイツ・カナダ・ロシア監督・脚本:テオ・アンゲロプロス、撮影:アンドレアス・シナノス、音楽:エレニ・カラインドルー。出演:ウィレム・デフォー、ブルーノ・ガンツ、ミシェル・ピッコリ、イレーヌ・ジャコブ、クリスティアーネ・パウル。 20世紀末と半世紀前の1940年代が交錯しながら、物語は綴られて行きます。 20世紀末の現代、映画監督の“A“(ウィレム・デフォー)はローマの撮影所チネチッタで、中断していた作品の撮影を再開しようと考えていました。妻と離婚した彼は、一人娘のことで問題を抱えています。 そして時の流れは半世紀ほど過去に戻ります。 1953年のテミルタウ(カザフスタン)。エレニ(“A“の母/イレーヌ・ジャコブ)と友人のヤコブ(ブルーノ・ガンツ) が、ギリシャ難民集会所で、ロシア革命記念日のニュース映画を見ている所へ、恋人スピロスがエレニを迎えにやって来ます。彼女はヤコブをそこに残し、スピロスと面電車に飛び乗ります。そしてその後結ばれた二人。その直後、2人は逮捕され(エレニは収監所を脱走していた)、別々にシベリアへ送られます。 更に、エレニと親しかったヤコブもシベリアへ。収監所で出産したスピロスの子どもは、ヤコブの協力で彼の姉に託すことになります。その後、交換出獄によってそれぞれ生きるための場所に向かった三人。 紆余曲折を経て、“A“は両親との再会を果たします。新しい生活、つながりが生れて来るはずでしたが、それまでに生じていた問題の重さは、とても厳しいものでした。 (展開が余りにも複雑であり、登場人物が一作目でどういう関係を築いていたかの説明的台詞が全く挿入されないために、理解は困難を極めました。故に、物語を簡潔に紹介することが今回はうまくできません…) 男女三人の愛の行方と、政治背景・歴史的事実が複雑に絡み合い、過去と現在を行き来するという難解な構成、しかも第一作を見ていないために主人公エレニの生い立ち、人間関係も、説明的な描写が全くないので、全て想像力でカバーしながらの鑑賞でしたが、映画は、その「困難」を超える程に場面ごとに様々なメッセージを放っているように私には感じられました。 ウィレム・デフォーの、心の内が表情によって表現される演技が本作でも光っていました。 小津監督の「東京物語」を見た時に感じたのは、全ての場面が意味を持ち、全てのシーンから監督の思いが伝わり、全てのカットが名場面に見えたということ。本作で感じたのも全く同じことでした。 一作目「エレニの旅」を見たあと再鑑賞すれば、本作の良さが、更に重厚な味わいを伴って受け止められるのだろうと思いました。 |

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うーーーむ・・
私も観ましたが、がっかりしました。
評価がそこそこ高いのはこれまでのアンゲロプロス作品への表敬か?と思いました。
各場面が名場面に見えますが、そこに至る説得力を表現する力技が、もう残っていないのでは、と思いました。
「霧の中の風景」「旅芸人の記録」「エレニの旅」等には残念ながら遠く及びません、老化にはあらがえないのだ、と思いました。
2016/4/11(月) 午後 10:09
> じゃむとまるこさん
アンゲロプロス作品、多くご覧になっていたのですね。
本作、確かに評価はそこそこのよう。
「説得力を表現する力技」が衰えておられたから、「難解」と感じてしまったのだと思えて来ました。
私の読解力不足か、前作を見ていないせいだと思っていました。
「旅芸人の記録」「エレニの旅」、見たいのですが中々出合えません。
是非鑑賞したいと思っています。
「霧の中の風景」というタイトルは初めて聞きました。
2016/4/11(月) 午後 10:26
やはり一作目を見てから観賞した方が良いかと思います。
かと言ってこの映画を解明するのは難しい映画でありますね。
私も巨匠にしては失敗作であると思います。
TBします。
2016/4/11(月) 午後 11:11 [ ひろちゃん2001 ]
国境とか壁とか現代抱えている問題が、アンゲロプロス作品にはあるようには思いますが、この映画は自分には難しすぎました。自分は「エレニの旅」、「ユリシーズの瞳」が好きです。
2016/4/11(月) 午後 11:14
> ひろちゃん2001さん
これを最初に見たのは不適だったのかもしれません。
でもレンタル店にはこれしかないのです。
それでも映像と音楽の美しさは感動的でした。
一作目を見ていたら、もう少し人間関係とそれまでのエレニの「歴史」が理解できたと思うのですが。
かなり考えながら見ることを強いられた作品でした。
2016/4/11(月) 午後 11:15
> shi_rakansuさん
ご覧になっていたのですね。
一作目をご覧になっていても難解とかんじられるのですから
私が「苦労」するのは当然ですね。
ストーリーをこれ程上手くまとめることが出来なかった作品は初めて。
それだけ自分が物語を上手く咀嚼できなかったということです。
「エレニの旅」、「ユリシーズの瞳」、是非観てみたいです。
2016/4/11(月) 午後 11:18
一作目を映画館で観ましたが、非常に難解だったことと、映像が美しかったことくらいしか覚えてません…。
2016/4/12(火) 午前 1:16
> Jinne Louさん
1作目もそうだったのですね。
書いて頂いたコメントは、2作目にもそのまま当てはまります。
あの美しい映像が伝えるものは何…と思いながら葛藤し続けた2時間の鑑賞でした。
2016/4/12(火) 午前 5:49
ちょっと分かりませんが、入りづらい映画のようですね。
2016/4/12(火) 午前 9:06 [ baldman ]
> bald manさん
いつもお訪ね下さってコメントを頂き、有難うございます。
記事にするかどうか迷いつつ書いたものです。
色々な方のご意見が聞け、記事にして良かったと思いました。
「説明」的描写がないと、理解には中々達せない作品でした。私の場合。
2016/4/12(火) 午前 9:22