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金関さんに懺悔。。。

すっかり休止状態のブログに、ここ数回つ「ご無沙汰しております」 と書くこと数回
だけど、今回は違います。
竹内アリスめの、ふかーい懺悔でごじゃります。


ヴァイオリニスト・金関環さん、ごめんなさい!!!


はー・・・。
反省しております。


この記事を読んでくださるファンの方に経緯を説明いたしすとね、
(経緯とか言いながら、私の言い訳なのですけど

ずっと以前、奈良県でオーケストラコンサートに感嘆した時がありました。
中でもヴァイオリニストの方達のハーモニーが素晴らしくて、耳も目も感度が2倍大きくなった気がするほど。
ハーニーなのだけど際立ったヴァイオリンが1本あると思ったの。
それは最前列真ん中の指揮者に最も近い位置におられるコンサートマスターの方に違いないと思ったのだけど、
残念ながらコンマスのソロパートがない楽曲で、プログラムにもコンマスの方のお名前が書いていませんでした。
終演後に係の方にお伺いしたのだけど分からなくてね。
後ろ髪が引っこ抜かれるくらい心残りだったけれど、オーケストラ名はわかっているので次回公演で聴けるわ、と思っていたの。
ところが
私の震撼を震わせたヴァイオリニストの方は、特別ゲストの方だったらしく、2回目に聴いたオーケストラにはおられませんでした。
涙涙涙。
これがドラマなら私の座席の隣にあのヴァイオリニストが!
なんて展開があるわけもなく 
もしもね、1回目の時に靴を片方を階段に脱ぎ捨てて帰ってきたら、
「シンデレラ、靴を。王子がお待ちです」  あっ、ちがう。
「お嬢さん、靴を」 これもちがう。
「髪だけ長いおばさん、靴をお忘れなく」
と係の方に言われるのがおち。

ギャグ小話書いているんじゃないんだから自虐ギャグなど書かずに、先を続けます。ハハ^^♪

それから数年後、思いもしないコンサートで幻の音色を聴くことができました。
映画音楽を演目としたコンサートでソリストで舞台の立っておられました。
ボーカルの方を完無視して全身全霊で聴かせていただきました。
演奏が終わっても拍手することさえ忘れていました。
とてもとても美しい音色なんです。
至極恐悦な宵でした。

その方が金関環さんと仰るヴァイオリニストであることがわかり、
その後はたびたび、演奏会に参っております。
さすがに巨匠の名を博しておられるお方で、公演後の出口に向かうときに観客の方々の会話からも金関さんのお名前をよく耳にします。
私のヴァイオリン歴は趣味歴が長いというだけで、「チャールダージュ」の悪魔のtrillって言われてる楽章を弾くと「それ、ただの痙攣!」と言われるスゴ腕。
職業義務もあり、趣味歴はあまり人に話せませんけれど、
毎年、初夢でtrillを教えてもらえる場面の願掛けをして眠り、
今年はライオンに追いかけられる夢を見てたって、なんのその
時折りしかいけないけれど、金関さんの音色に心が鎮まり豊かになります。

ながーい、序章説明が終わりここからが本題です。

1カ月程前、さるレセプションルームでのピアニストの方との共演のコンサートへ行きました。
私は演奏前にプログラムを見たりど、これから演奏なさる方に期待を馳せて開演を待つ。
という時間が好きです。
また、それが演奏者の方への礼儀だと思っています。
でも、その日は待合ホールで 急遽、入った仕事の超分厚い論文を読んでいました。しかもガッツリ赤ペンを持って。
本当なら、コンサートへ出かけてる場合じゃない忙殺状態。
速読法を駆使して読んでいたら、ふと、私の前に人が立った気がして目を上げると
なんと、金関さんが立っておられました!!

ぎょえ〜〜〜〜〜〜〜!!!!

私、反射的に立ち上がっていて。
だけど足を組んでたものだから、
ころこびそうになりながら何とか仁王立ちになり、かなり接近した距離で
「あの」といったのか、なんといったのか、覚えていないのだけど
手にもっていた赤ペンで 金関さんのみぞおちを押した気がするの。グッと・・・・。
。。。だれか私に修正液をぶっかけて消してほしい
お詫びしようとしたのに声がかすれてしまい、
年をサバ読むつもりもないのに女子高生なみに過呼吸状態
仕事上、目の前で何が起こっても沈着冷静を必須とされる訓練を受けているはず。
そう、そのはず。。。なのだけど。
あの時のわたし、
「竹内アリスです」
と名乗っていた、、、、、、、、、、

当然ながら、気まずい沈黙。


「君の名は?」


もしかして、金関さんに聞かれたかしら?
ない。いや、聞かれたかも。聞かれただろう、聞かれたならば。
などなど、助動詞の活用法を列挙しても、もう遅い。
おどけて『君の名は』映画パンフをもってたら救われてたかもしれないけど、
私が持っていたのは、赤ぺん。
椅子の上には、コンサートのパンフレットじゃなく分厚い書類。
絶対に見つけられたくない いたずらを見つかった子供の気持ちがひしひしと分かる。

ああ。今一度。


金関環さん。
数々のご無礼をお許しください。








見つけた! SNOOPY人★

 みなさま、ごぶさたです
ファンの方達の記事は拝読していたのだけど、私自身はFBに移行したとかじゃなくて、
単に記事更新をしていなかっただけでヤフーに腰を下ろしてます。
今日は記念日にしようかと思う事件があったので^^♪
私、竹内アリス、ついにスヌーピー人を見つけました。
『みぃ〜つけた!』
の絵本知ってますか? んー、知ってる人少ないでしょうね。
だけど、あの絵本主人公と笑顔と感動を実体験しました。
 
 学生時代にどんな人がタイプ? と訊かれると(何年もこんな質問受けてませんけど)、スヌーピーみたいな人と答えてました。スヌは可愛いだけじゃなくて、お茶目でノリが良くて友達思いで。と、私の中の紳士像。
私イメージでのスヌーピーを例えるなら近い所でルパン三世でしょうか。
あ、ちなみに好きな男性像では次元派でありまする^^
でね、スヌーピー人の方とは最初にお会いした時から誰かに似てるんだけどな…と思っていて。いただいた書面を通読した時も文体や全体構築の仕方も、いい意味で気にかかっていて。3回目の今日、ハッと気がつきました。そうだ、この方、スヌ人だ! 発想とか着眼点とかがスヌーピー深層!
ふと合った目と目をそらさずに、持った湯呑をバッタと落とし小膝たたいてニッコリ笑う、

「先生、てのひらサインください! よければ足と!」

とは、いくらなんでも言えませんでした
仮にも。。。いえ。上下左右、円柱でレントゲンを撮っても大いに権威あるお方なのもありますけれど、あと数回お目にかかることになる予定ですから、変人だと思われては対談しにくい。。。
これからも個人的会話はありませんけれど、密かにスヌ先生と呼んでいよう^^っと♪
思うアリスであります
 
 
 中東の拉致事件、報道関連は小休止。と言う感じになりましたね。
死者に哀悼をささげるのは当然です。
ただ、何故にこれだけ殉教者のようにお二人のことばかり報道するのだろう、と思っていました。
語弊アリ気を承知で書きます。

 数字だけで計るならば、北朝鮮に拉致された方々、中東で拉致された女子高校生達の方が圧倒的な多人数。民主主義国家主眼として計るならば、自由意思と強制連行。
老若男女、人の命の重さに変わりはないが、2名の殉教者に世情がこれだけ熱くなるのは、映像アリとナシの違いだと思う。
拉致された被害者の異国の地でのなんらかの映像があれば、映像でなくとも、モノクロ写真1枚であろうと、目視できる『物』があればマスコミは劇的にかつ、憐憫に報道するのだろう。
数字など関係なく、人として失われた命に哀悼をささげるのは当然だ。
けれど、中東問題について熱く語る人達は、北朝鮮拉致者の方々やご家族、学校から拉致された女子高生の報道にも同様の命の尊さを想っているのだろうか。
拉致問題に、優劣や流行りがあってはならないと思うのです。

 
ひつじ年、2015年になり2ヶ月近く過ぎましたが 遅ればせながらスヌ雛で 新年ごあいさつを。

イメージ 1
 
                  今年もよろしくお願いいたします。
                      

ルノアール展

みなさま、ごぶさたです。
今年の夏も猛暑ですね。
だけど、プラス豪雨! の夏。
やっぱり地球気象、すこしばかりずれてる感じがします。
温暖化のせいかしら?
もしかしたら、、、、
 
公転面23,4度と+X度=異常気象経度 
と過程したら、これって
 
>>>>>> ピサのアース <<<<<<
 
 
大宇宙から見たら、地球ってまん丸い鐘楼なんだろうな
 
 
兵庫県立美術館の「ルノアール展」へ行ってきました。
 
この建造物は THE美術館! といつも感じます。
館内が広くて展示もゆったりと間隔をあけているので、少々混んでいてもゆったりと観覧できます。
 
それで作品はと言うと、ものすごーく、良かったです。
(ボソッと言うと、鳴り物入り開催での京都のゴッホ展でずっこけたので
観るまではあまり期待せずに行ったの) 
絵のウンチクは分からないけれど、心鎮まる色調や画風だと感じました。
私、今までルノアールはお行儀がよすぎる気がしていて、
特別好きな画家ではなかったのだけど、
今回の観覧でお気に入りになりました。
 
ルノアール以外にもドガ、モネ、ピサロ。
どれもすばらしい作品が数多く来ていました。
よくあるお客さん寄せの為に有名画家の名前だけで連名で名前を連ねているわりに、
これって下絵じゃないの? と思うようなラフ画じゃありません!
私の勝手な主観だけど、どれもこれもパンフに載っていても十分集客できる絵画ばかり。
こんなバラエティ豊かに観覧できて しあわせ満載でした。
                                    
 
この展覧会がお住まいの都市に来たら、ぜひお勧めです^^
 
この美術館、神戸震災の中心地と言ってもいい「灘」にあります。
何も分からずにこの地を訪れた外国人のかたならば、
駅も周りの建物も、この美術館も震災があった街だとはきっと誰も分からないと思います。
東北被災地も この地のように復興が進みますように。
 
 
時間が無かったので、同館内で開催されていた マリーアントワネット展もいけなくて残念。
でも、8月23日に安藤忠雄さんの講演会があるそうで。(整理券配布に並ぼうと思ってます。取れるかな?)
その時に、ゆったりと見てきます。
 
販売コーナーで、こんなのを買いました。
2wayのはがきサイズポスカです。
 
 イメージ 1
 
    イメージ 2
 
イメージ 3
 
 
画家たちは自作がこんな風に飾られるとおもわなかっただろうな^^♪
マドモアゼルを、ゴッホがエスコートしてるみたい。。。だとおもいませんか!
 
 

「金の麦」−2

 
「へえへえ、ええですよ。あと一週間、いはるんですな」
 家主は、跡部からの借家の延長を二つ返事で承諾した。祖父母も夫も看取ったこの家は、もともと空家になっていた。母親思いの息子が4年前に島に帰って来て同居をしている。島興しの宅地開発で建てた新興住宅地なのでここより狭いが、孫達に囲まれて嫁もやさしくてと。盟友でもあるマネージャーの両親の名前を知らない跡部なのに、家主の日常や家族構成、従妹の嫁ぎ先まで知っている。
「そやよって、今日の祭り会は紺野さんとこで寄るんですわ」
 家主はよどみなく今日の予定を話しながら、居間のカレンダーに7個の赤丸をつけてから暇を告げた。おしゃべり好きな老女だが、決してしつこくは寄りつかない。押し具合と引き具合を心得ているのは、瀬戸内の荒潮で育ったからなのだろう。瀬戸内贔屓の跡部はそう思っている。
 跡部が命名した月の精、イリスとの出逢いから1週間が過ぎた。跡部を悩ませた楽曲も含め、他の仕事もすべて納めた。スケジュール通りなら、今日は制作前から話題を呼び、欧米でも配給予定のある邦画の契約日だった。その後、キャスト達との顔合わせもある。
 跡部にはさほど大きな仕事ではないものの、スポンサーから是が非でもと白羽を立てられ、0が一桁多いマージンを提示されていた。日本のエージェントがうろたえるのも無理はない。
 しかし跡部にはキャリアの上書きよりも、自身に大きなミッションを課していた。
 5日前の早朝、跡部はジョギング途中で、切り株に腰をかけていたイリスを見かけた。イリスの前にある石段の上には神社がある。避ける理由はない。跡部はペースを落とさずに階段を駆け上がった。その時に朝の挨拶をするのは不自然ではなかったはずだ。
 しかし跡部は声をかけなかった。彼女がスケッチをしているのに気がついたから。自己の世界にいる時は邪魔されたくはないだろう。それでも垣間見た絵は彼女らしく柔和で、そして力強い画風だった。だが跡部には、白い月を描く彼女自体が被写体としてフレームに入ってきた。
 境内で形ばかりの参拝を終えた跡部は2段飛ばしで下りてきた。けれどもう、イリスの姿はなく、白い月も雲隠れしていた。
 その日から、まるで追いかけっこをしているような跡部とイリスだった。気まぐれに乗り込んだ漁船の船尾に立つと、踏切が上がるのを待っていたイリスが見えた。
 市場で干物を選んでいた跡部を見かけたイリスは、斜交いから地酒の旨い酒屋の亭主に呼び止められた。
 釣りに飽きた跡部が回りを見渡すと、イリスが自転車を押してあぜ道を歩いていたこともある。
 何故なのか、いつのショットも互いの後ろ姿を見かけるだけで、2人とも相手の顔を知らない。
 
 明日は、いよいよ島を上げて豊年を祝う秋祭りだ。そこかしこでのろし旗が立てられた。
「どうぞ」
 雨戸を閉め切った部屋の中で、まゆみは浴衣姿を恥じらうかのように頬を染めた。手提げ袋に入れたビールを縦にしたり横にしたり。この1人芝居の練習はいつまで続くのか? 歌にも踊りにも長けており、舞台女優を本職とするまゆみは、演出家がいないとビール1缶さえ渡し方が分からないのだろうか? 
 今度は手提げ袋に魚の干物も入れている。よほど大切な役作りのようだ。けれどクランクイン前にもらった台本には、こんなシーンはなかったはずなのだが。
「跡部さん。っか」
 まゆみは心惹かれる男の名を呼んでみた。名前だけしかしらない謎の男、跡部。
伝え聞いた話によると、アメリカ帰りの歌手なのだと言う。よくある話だ。アメリカンドリームを夢見たものの、語学留学に終わった口なのだろうと思っていた。けれど回覧板を持って行った時に町内の噂は誤報だと分かった。
 つま弾いている程度のギターが出している音色、ピアノのタッチ、ドイツ語音階でのハミング。すべてが彼はプロだと、しかも本物のプロなのだと語っていた。まゆみには跡部の歯ぎしりさえも作曲されたメロディに思えた。
 しかし酔いしれていた時間を、その歯ぎしりが現実世界へ引き戻した。
 まゆみはあの時、とっさに身を隠して回覧版を置いて走り出た。ジャンル違いであれ、マスメディア系列につながる者とは顔を合わせたくない。瀬戸内(ここ)はまゆみが守りたい故郷、まゆみが素でいられる場所だから。
「だけど…」
 まゆみは迷っていた。祭りの後でまゆみは島を離れる。馬鹿げたことだと思うのに、ほんの少しだけ跡部の記憶に残したい。人生ですれ違っただけの自分のことを。
まゆみは祖母の看病の為に無理な帰省をしていた。本来ならば何があっても新作映画の打ち合わせで昨日には離島していなければならなかったはずだった。
 ところが奇跡的に延長できた。詳細は聞いていないものの、主要人の1人が帰国早々、水当たりで入院したらしい。
「日本の水で水当たり?」 
 胡散臭い仮病話にマネージャーは苛立った声だったが、まゆみは微笑んだ。
まゆみは生まれ育った瀬戸内が好きだ。上京し、磯臭いとからかわれた時代もあったし、島育ちを隠した時期もあったけれど、変化する月は満月を迎えて光り輝く。世界をリードする主役がハリウッドと言う太陽ならば、三日月になっても自己の存在を失わない月として輝き続ければいいと自分を律しながら、高みを目指して努力を惜しまなかった。現在、まゆみは跡部がイリスと呼ぶように、天空に身を置く有名人だ。
 
 一区切りがついて時計を見ると午後5時。秋のつるべ落としが下降を始める時刻。跡部はピアノの蓋を閉じてビールを片手に庭へ出た。いつものように海とブランコが迎えてくれる。
「明日。っか」
 跡部も又、迷っていた。明日は、回覧版に載っていた秋祭りが催される。
島人達は皆、だんじりの出立に立ち合うそうだ。跡部はそこからイリスを連れ出して、このブランコに乗せてみたい。「何故?」そう訊かれたなら「なんとなく。」ただ、それだけしか答えはない。よそ者が声をかけると怪しがられるだろうか。それ以前に、イリスは跡部が誰なのか覚えてもいないだろうか。
 
 
 
 
イメージ 1
 
日が沈むとまゆみは結い上げた髪を下し、いつもどおりのエプロン姿で家を出た。祭りの時にさりげなく渡そうと思っていたビールを、跡部の家の前にそっと置いて帰ることにした。そして明日の朝、祭りが始まる前に島を出ると決めた。
 NYに住む跡部とはもう会うこともないだろう。この島はまゆみを成功した舞台人ではなく、誰もが昔ながらのまゆみとしてお帰りと迎えてくれる。だから跡部にも、素のままの自分を置いて行きたい。そう思った。
 
「キィー」
 ブランコに触れると、少し錆びついた鎖が軋んだ。土蔵を仕事部屋にしているのは楽器の音が響き合うから。けれど今夕は、暮れなずむ秋空に心を解き放ち瀬戸内の波に音を織り込みたい。跡部は2つ並んだブランコを揺らした。寄せては返す波のように、この思いが大海へ解き放たれる。そんな気がした。
「〜〜この坂、のぼってどこへ行くの?
彼のお家よ。
遠い、遠い、星の国に住んでるの〜〜」
 まゆみは石畳を登りながら、独り言のような歌を口ずさんだ。潮風が髪を梳く。
私のエプロンが、羽衣だったらいいのに…。
そんな願いごとを秘めながら、ビールを抱きしめてみる。
 
 跡部はブランコに乗って歌いだした。
 
  「〜〜秋の月が浮かぶ瀬戸内海の島で、出逢ったひとりの女性がいます。
   彼女のことは何も知らないんだけど…。
   こんな月の夜に、白いエプロンさげて島の階段を上ってどこにいくの。
   誰かと会うのか…。それとも家のおつかい?
   まだ遠くから見てるだけだけど、日に日に大きくなっていくこの気持ちって。
   ハ〜アァ…。月に聞いてもいいですか〜〜」
 
 作曲家・跡部、初めての作詞。いつの間にか夜空には円い月。星々は天の軍勢のように輝いている。跡部を乗せたブランコが勢いよく後ろに下がった時、坂の途中で自分を見上げているイリスと目が合った。語り継がれる竹取物語。今宵は、こんな言葉で始まった。
「やあ」
 秋の夜長……。 になりそうな予感がする。
 
 
              イメージ 2
 
  SEASONS主催:http://blogs.yahoo.co.jp/akemi037

「金の麦」 −1

 SEASONS・2012、秋号ショートストーリーで、『らぷひな2』さんとコラボさせていただいきました。 
本職と二束草鞋を卓越して履きこなしている絵師でおられ、音楽にもとても豊かな知識と感性に溢れる、らぷさん。・・・を、語るには、れいさんなくしては語れない! 
と書いちゃってもいいかな^^♪
 らぷさんは、知る人ぞ知る? いえん、誰もが知る、壇れいさんの大ファンでおられます。
ブログの中では、さまざまなれいさんを描いておられます。イラストは、れいさんが動いていたワンショットを捉えて描かれたような。イラストが目に映った次の秒にはれいさんが瞬きしたり、話しかけて来ていたり。お邪魔した私は、れいさん田園へ迷い込んだかのようです。
 
 物語を描く前にらぷさんに、れいさんをヒロイン、らぷさんのイメージを相手役にした設定でお願いしました。執筆前に最初にらぷさんからのイメージをお預かりさせて頂いたはのは、らぷさん作詞の詩と、曲でした。詩は1つ1つがやさしい詞で。せつない思いをそっと包みこむような詞でした。
 ストリングスが響くステキなメロディ。らぷさんが書かれた詩に合わせて作曲したようなの。この時点ではまだ、イラストはお預かりしていませんでしたが、らぷさんの詩を物語の中にそのまま挿入したいと思い、全文をそのまま「跡部」さんの作詞として導入させていただきました。
 執筆前にお預かりしたイラストは、れいさんが金麦を持って石畳を上がる後姿。執筆後に描いてくださったのが、浴衣を召しておられるイラストでした。
作者の私が書くと変だけれど、初見読している観客、もしくは読者のような感覚になり、人が心に持つ葛藤や願い、想い。場面場面に投影し、深い想いを感じました。  
らぷさんとコラボをさせていただけたこと、光栄に思います。
いつか、『金の麦』 その後・・・ の季節も描かせていただけたらうれしいです。
ありがとうございました。 
 
秋の夜長。。。
アレンジされた竹取物語、「金の麦」 でお楽しみくださいますように。
 
 
 
 
                   「 金の麦 」
 
 
イメージ 1
 
「……GD/♯E…違う!」
 ギターを抱えた男はついに歯ぎしりをした。ハミングしながら左手でCdim7のコードを押え、右手は黒鍵を小刻みに叩き、ピアノには似つかわしくない猫足椅子から突き出た足で多様なテンポを試しつつ、その合間にタバコの煙を吐き出す。そんな妙技を観覧できるのは、土間で毛繕いしているシマ猫だけだった。と、今日は1人、2本足の観客がいた。
「ごめんください」
 男が振り向くと、観音開きの扉から差し込む西日の向こうに、白い布がはためいた。男がピアノを弾いている部屋は、ちっぽけな天窓があるだけで裸電球さえ吊っていない土蔵の中だ。仕事に支障はないが、外界の自然光に慣れるにはしばらくかかる。
「ここ、置いときますから」
女性だ。
 男が受けたインスピレーションは、女性と言うカテゴリーだった。女、ではない。声の主は女性。俗物性を連想させる女でも、毎朝もぎ立てトマトを届けてくれる家主でも、親しげに挨拶をしてくる島人の主婦連でもない。女性の声は、音楽家の琴線を弾いた。
 男は、行儀がいいとは言えない座り方で体重を支えていたピアノ椅子から立ち上がって外へ出ると、すでにその女性は石畳を下りている。
 島の中でも離れ小島のように建っているこの家は北西の高台にあった。塀に囲まれた寺へ行くにも、裏の海岸への近道も石畳を下りていく。女性が遠ざかる緩やかな起伏は、彼女自身を連想させた。穏やかでいて、ゆるぎない地盤の上に年月を積み重ねて来たような。
男は目を細めた。
 後姿に一目ぼれすることなどあるのだろうか? 肩を少し過ぎた髪、ほっそりとした腰に結ばれた白い紐。さっき西日に光ったのは彼女が着けている白いエプロン? それとも彼女は、羽衣を身に纏った天女なのか…。
「イリス」
 男は肺に残ったままの煙と一緒に、彼女の残像をゆっくりと吹き出した。
 
「聞こえただろう、キャンセルだ」
「えっ、えっ? 本気なんですか?」
「俺に何度言わせる気だ」
「でも、跡部さん!」
「切るぞ」
「ちょっ、」
 男は携帯を閉じるとピアノの蓋も閉じ、母屋へ戻ると冷蔵庫からビールを1缶取り出した。もっか、お気に入りの金色ラベルに微笑みかけるのは今日の仕事は上がり、と言う自分への合図だ。家主の憧れで作ったと言う、陶磁器を嵌め込んだ洒落たガラス障子を開けて、縁側へ下りていく。
 今日も裏庭に君臨しているブランコと、波音が男を迎え入れる。
 彼の名は、跡部修二。年齢よりやや上に見られることが多いものの、アラフォーにはまだ間がある。一見、ボクサーかと思う様なガタイをした跡部の本職は作曲家。俗に言う自作の作詞作曲で名を売るシンガーソング系の音楽家ではないが、NYではちょっとした有名人。 いやいや、それでは謙虚すぎる。CMからドラマをはじめ、劇場で流れるBGMを手掛ける曲作りの第一人者と言っていいだろう。
 空港、駅、モール街。誰もが何気に耳にしている効果音や、アナウンス前後に入る曲がある。それらは高度で精密な技巧を凝らした音響でありながら、BGMだとも思わせずに空気のように人々の意識下に落ちている。跡部の仕事は影のマジシャンとでも言おうか。
モーツアルトが1篇の書き直しもなくオペラを作曲したと言われているように、跡部も楽譜に落とす前に彼の頭の中で譜面が描かれている。
 しかしその跡部が、たかだか4小節に2日を費やしている。来春公開映画の音響仕事なのだが、リピート部分のフレーズの切れが悪い。1音ずつではなく和音で小節を埋めたり、移調してみたりと、様々なパターンで音付けをしているのだが、どの音域もしっくりとはまらない。
 納期はまだ十分にある。空白の4小節に苛立ちを覚えるが焦りはない。それでも跡部はもどかしかった。乗り気ではない仕事だったとはいえ、プロとして受けた限りは納期までにこなす自信はある。では、何が自分を駆り立てるのか。認めたくはないが陰鬱を追随しているのは、昨日の白いエプロン女性だった。
「どう言うことなんだ」
 跡部は苛立ちながらビールを開けた。出口を求めて噴き出た白い泡を口に含んでからゴクリと口に含む。喉を伝う冷たい麦汁が焦りにも似た火照りを冷ます。昨日の女性が置いて行ったのは回覧板だった。秋祭りと、稲刈りの話題だ。何とも生活間あふれた慣習だろう。手書きの金色した麦の穂には日本情緒が凝縮され、どこか彼女のイメージと重なり合う。
 今朝、家主に渡した時は手放したくないとさえ思った。日本女とは付き合わない。跡部の座右の銘とも言うモットーだったはずなのだが。
「くそっ!」
 跡部は残りのビールを一気に飲みほした。ビール缶に描かれた金の麦が月に見えて来る。
「重症だな」
 おいしい仕事をキャンセルしたり、柄にもなくセンチメンタルな気分になったり。今日の跡部は不可思議だ。
 
------- その夜、まゆみは爪先立ちで月を見上げていた。稽古立ちポーズはボルテージが上がるのか、自分を律したいのか。秋風に揺れる女心はつかめないが、意外なことに白いエプロンは彼岸花に冴え映える。細く赤い糸珠ように咲く花は、切ない想いが抑えきれない魂だと島人は言う。そう、まゆみはそんな目をして遠い月を見上げていた。はるか昔、かぐや姫も又、まゆみと同じ目をしていたのだろか。
 月が恋しいわけではない。そして誰かを追悼しているのでもない。一生分の愛情を注いだ恋はひと昔の寓話。傷つくことも傷つけることも避ける術を身に付けた。
「それなのに…」
 昨日、逢った男が忘れられない。
「ただの後ろ姿じゃない…」
 そう自分に言い訳をする。
 
 

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