誘ってくれたブログ友達ありがとうです。
ひっさびさに映画観て号泣しました。
正直なところ、ユン師団の映画で怒ったことはあれど感動したことはなくて、
今回の映画で見直しました。
すっごくベタだけど、私はとても好きな映画です。
確かに映画の描き方が一面的だったり、韓国映画特有の大雑把な物語展開の骨格だったりはしますが、今回は全てがいい方に作用したと思います。
今までのユン監督の映画の散漫さは、韓国映画特有の強引な展開だけでなく、群像劇にしてしまいテーマがあいまいになる、韓国人特有のお笑い感覚(これ、残念ながら国内限定ですわ)で他文化視点で見たら「ここでお笑いに持っていくことの意味全くなし」で終了してしまう間の悪さでした。
それを、ファン・ジョンミンの演ずる男の半生を物語の対象に絞り、主人公にお笑いをさせず三の線専門のオ・ダルスが名人芸で一手に引き受けたことにより、かなり解消されていました。
そして、饒舌に説明するようなセリフでなく、主人公の体験がのちの人生である時はされる側違う時はする側と反転していくことにより、時にはカルマの解消、人生への回顧という節目節目になっていく構造。
冒頭で老人となった主人公が過去を振り返り、最後はその過去を振り返り終わって物語が終わる、という実験映画にありがちな一歩間違うと話が混乱する構造も、カメラワークの巧みさで観客に場面展開を説明し、観客の脳内で視覚だけでなく嗅覚からも貧しかった時代の埃っぽさを連想再現させる素晴らしい美術でしっかり補っています。
そして、ユン監督だからやっぱりお芸術にはならず、下ネタだったりマヌケ故にだからにんげんだもの、な泥臭さに仕上がっている。
その泥臭さやベタさを観客が共感できる映画に仕上げているのは、脚本を血肉化する俳優の演技の素晴らしさ。
ファン・ジョンミンは正にはまり役です。彼のどこか土臭い味わい(でも、本当の彼はナイスバディで繊細な演技をし演劇の仮面を沢山持つ俳優です。冷酷なヤクザでも純朴な田舎者でも何でも演じ切る)が、韓国国民に「隣のアニキ」感を持たせます。
観光地の顔はめみたいに、映画を観ていると自分もなり切りファン・ジョンミン気分になれるというか。
脇のダル様もそうだし、チョン・ジニョン、チャン・ヨンナム、キム・ユンジン、いい役者群です。スターというより俳優職人というか(褒めている)。
本作品はネットや映画マニアの皆様からはイマイチだったり、朴槿恵大統領が褒めたりするものだから国策的な匂いをつけられたりとかで右寄り映画みたいな扱いだそうです。
でも、違うと思うのだけど。
人生に抗う、平和に向けて戦う、貴いことですが、それはあくまでも正論でしかない。
国民の大多数は、自分と自分の家族の生活を守ることそれで精一杯だったと思います。
そして、韓国社会に根強い家長思想。
日本でも昔の映画は良妻賢母思想で女は耐えるもの、だったのと近いかも。
ファン・ジョンミン演ずる主人公の、自分の半径3mの幸せのため政治的戦いを避け、金を稼ぐために地球の裏側まで行く身を削る献身。
生き別れた父と妹を探し続ける物語。
朝鮮戦争、ベトナム戦争、海外出稼ぎ、あの時代の韓国に生きた人達それぞれの人生を集約したようなファン・ジョンミンの演技、日本人の私でも泣いたわ。
この映画のセリフ、終盤に差し掛かるにつれいくつもの伏線が明らかになります。
ネタばれになるので省きますが、それが結構切ない。
脚本はユン監督自身だそうです。傲慢かましてよかですか、見直しました。
というか、今までの映画がアレすぎて。。
そして、視覚刺激のみで受け手の五感をフルに刺激する美術は、何とリュ・ソンヒ様が監督でした。やっぱりこの方は巨匠だ!
音楽は、イ・ビョンウ。
撮影はどなたなのかこれから調べますが、この方も相当な匠です。