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わたしは、書くことが好きです。
無性に、書きたくなるときがあります。
それは、心が動かされたとき。
今は、そんなときです。
〜あぁ、こういう出会いを求めていたんだわ、あたし〜
不思議な男性に、出会った。
もう二度と彼に会うことはないかもしれないけれど、
彼のことは、一生忘れないだろう。
彼は、わたしが前働いていた学校で、英語を教えているALTの先生だ。
彼は、マレーシアで生まれたのだけれど、
オーストラリアの大学に行って、
大学卒業後、4年間、オーストラリアで英語を教えていたという。
オーストラリアで日本語をかなり勉強したらしく、日本語はけっこう話せる。
彼はよく、
「まじ〜!?」
と言う。
「外国人」という概念とその言葉がミスマッチな一方で、
彼の陽気なキャラクターとその言葉がマッチしていて、何ともおかしい(笑)。
10年前は、日本のいくつかの企業で英語を教えながら、
ファッションモデルの仕事もしていて、雑誌やテレビに出たことがあるらしい。
そんな経歴を聞いただけでも、彼はタダ者ではないということがわかったのだけれど。
不思議は、
「アナタ○○歳ね?」
の言葉からはじまった。
「なんで、わたしの年わかるの〜っ!?」と、
目を丸くして聞いたわたしに、
「僕には、特殊な能力があるんだ」
と、彼は答えた。
不思議は、
「What’s your blood type?(血液型はなに?)」
の言葉で、増すことになった。
「当ててみて〜」
という顔をしたわたしに、
「・・・○○型じゃないかナァ」
!!!!!
ますます目を丸くしたわたしに、
彼は、
「びっくりした〜?」
と言って、いたずらっぽく笑った。
年と血液型を一発で当てられたわたしは、
本当に、彼には、
特殊な能力があるんじゃないかと、
思えてきた。
彼によると、
幽霊は、見えないけれど、感じるらしい。
どの程度かわからないけれど、
人の心も、読めてしまうらしい。
彼のお母さんにも、特殊な能力があるという。
「小さいころからそんな力があったの?」
と聞いたら、
6年くらい前にあるできごとがあって、それ以来だという。
そんな彼の不思議な力以上に、
わたしの心を動かしたのは、
彼の、人としての魅力だった。
彼は、大学で、
数学と、コンピューター・サイエンスと、日本の折り紙の研究をしたという。
「数学も、コンピューター・サイエンスも、折り紙も、
みんな同じで、ロジックなんだよ。」
と、彼は言った。
ロジックって、つまり・・・論理的っていうことか。
折り紙をそういう視点で見たことって、なかったなぁ。
と、わたしは思いながら、彼の話に聞き入っていた。
「ずっと昔、日本人が折り紙を考え出したんだけど、日本人は頭がいいよ。」
彼は、続けた。
「日本は、第二次世界大戦のとき、
西洋文化の側につかなかったら、
今、世界中の人たちに尊敬されていたと思う。
日本は、西洋文化を取り入れて、日本の文化を切り捨ててきたんだ。
『武士道』を忘れたら、日本は衰退していくと思うし、
日本が『武士道』を忘れなかったら、きっと日本は大丈夫だよ。」
彼は、日本文化が好きで、日本人以上に、
日本のことを理解しているのだろう。
わたしは、彼にこう聞いた。
「日本は、オーストラリアより安全だと思う?」
彼はしばらく顔をしかめながら考えていたけれど、
こう答えた。
「そうは思わない。オーストラリアで僕が住んでいた街は、
今の日本ほど、犯罪が多くない。
日本は、ここ1週間で、3件も殺人事件があったでしょう。」
考えてみれば、何年か前に比べて、殺人事件のニュースは珍しくなくなってしまった。
いつしかそんなニュースに慣れて、それほど驚かなくなってしまった。
でも、そんな感覚は、どこかおかしい。
彼は、わたしに、日本について、改めて考える機会を与えてくれた。
そして、彼の夢は、
わたしの夢とどこか通じ合うところがあった。
「ねえ、どうして君は、英語を勉強したいの?」
と、彼はわたしに聞いた。
「英語ができると、視野が広がるし、自分の可能性も広がると思う。
子どもたちにも、英語を通して、可能性を広げてほしい。」
というわたしの答えに、
しばらく、うんうん、と、うなずいていた彼は、
「僕も、君と同じ理由かな」
と、つぶやいた。
彼の夢は、大学で、世界の文化を、教えることだという。
彼の夢がこめてある、鈴虫寺のお守りを、彼は見せてくれた。
「いくつ、折り紙が折れる?」
と聞いたら、
「6つかな」
と答えて、
彼は、折り紙を折って見せてくれた。
「モーニンググローリー」という名前の花と、カエル。
そんな難しい折り紙は、日本人のわたしにだって、折れない。
熱心に折り紙を折りながら、彼は、こう言った。
「君はとてもいいひとだし、君のことはとても好きだけど、
僕たちはもう二度と会えないから、これ、君にあげるよ。
今日の日のことと、僕のこと、忘れないで。
君に幸運がありますように。」
わたしは急に、とてもせつなくなった。
「どうしてそんなこと言うの?わたしは帰国したら、学校に遊びに行こうと思ってるよ。」
そう言ったわたしに、
彼は、
「でも、僕には、わかるんだ。」
とだけ、言った。
メールアドレスを聞いたら、教えてくれたけれど。
「僕たちは、テクノロジーを通しては、お互いを知り合えるかもしれない。
でも、もう、会えないんだ。」
と、彼はくりかえした。
「これ、とっておくね。」
と言って、わたしは、
彼にもらった折り紙を、
大切に、バッグにしまった。
そして、
「あなたの夢の話を聞いて、感動したよ。」
と、彼に伝えた。
最後に、
「あなたと話して、とても、楽しかった。」
「僕も、君と話して、楽しかったよ。」
と言って、
わたしたちは、別れた。
彼が言うように、
もう二度と、彼には会えないかもしれないけれど・・・
(それでも、会いたくなったら、わたしはあきらめずに奮闘してみます☆)
人として、彼と心が通じたように感じた、あの素敵な時間は、
一生、わたしの宝物だ。
わたしは、このまま
夢を追いかけていていいんだって、
彼のおかげで、改めて思えた気がする。
彼を恋愛対象として見る目はなかったけれど、
わたしってば、彼と話すとき、
目をキラキラ輝かせていたなぁ
って思う。
たぶん、外国の人と英語で話すときは、ワクワクして、
たいてい目がキラキラ輝いているんだろうけど、
彼が相手だと、自分でもわかるほど、
目がキラキラしていた。
ALTの先生たちの中には、
プロ意識が足りないんじゃないかと思うような人もいるけれど、
意識の高い人たちも多いように思う。
わたしが今まで一緒に仕事をしてきたALTの先生たちは、
どのひとも、生き方が魅力的だ。
彼らに共通していえるのは、生きる舞台が、
限られた国ではなく、
世界
というスケールだということ。
アラスカ出身のE先生は、今は、韓国の大学で勉強しているし、
カナダ出身のA先生は、フィリピンにボランティアに行くようなひとで、世界平和のことを考えているし、イギリスの大学で勉強したいと言っていた。
カナダ出身のD先生は、今、世界を船で旅して支援活動をする日本の平和活動団体、「ピースボート」の船の上で、英語を教えている。そのあとは、先生の免許をとるために、大学で勉強するそうだ。免許がとれたら、どこの国で英語を教えてもいいなぁ、なんて言っていた。
英語が話せると、自分の可能性が広がる。
そんなふうに思いながら、わたしは英語と関わってきた。
やっぱりそれは、間違いじゃなかったんだって、今、思える。
私は、英語を通して、
目がキラキラ輝く出会いを、たくさんして、
心を豊かにしていきたい。
たぶん、待っているだけじゃ、
そんな出会いは、多くないと思う。
どんなにいいものを持っているひとに出会っても、
それを感じる心がなければ、意味がない。
素敵な出会いを引き寄せられるように、
自分の心を、磨いていきたい。
最後に、彼からもらった言葉を、
この長〜い記事を読んでくれたあなたに、贈ります。
「覚えていて。
君は、日本という国だけに住んでいるのではなくて、
世界の住民なんだよ。」
その言葉は、シンプルだけれど、
今のわたしには、その意味がわかるような気がした。
*注: なんだか、日本語で書くと、セリフがクサく聞こえる・・・。(^-^;) 英語だと、もっと自然なのです。。
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