オルタナティブを考えるブログ

タイトルも新たに、1年ぶりですが、まずは過去の記事を整理しなきゃ

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山猫銀行の隆盛


「ヤマネコ(山猫)銀行」の名前の由来は、山猫しか住んでいないような僻地に店を構えて、兌換に来るのを困難にさせていたからだといわれています。

銀行経営者の悪夢は、ある日突然預金を引き出そうと客が大勢詰め寄る事です。一般的に現代の銀行では入ってくるお金と出て行くお金の割合は似たようなものなので、銀行としてはお金を寝かしておくよりも、なるべく利益を生むよう貸し付けるようにしているので、手元にある現金というのは預金額に比べるとごくわずかです。だから、突然大勢の人が銀行にやってきて、預金の引き出しを要求すると、現金が瞬く間に底をつき、破綻してしまう。

『突然大勢の人が詰め掛ける』というのはBank Runと呼ばれ恐慌などには付きものの現象でが、要は『信用』の問題なのです。

1837年というのは、その一年前に第二合衆国銀行が廃止され、歴史的な大恐慌と信用不安にアメリカ経済が襲われた時のことだ。そんな中ほぼ同時に、フリーバンキング制度は、アメリカ各州において独自に実践されることとなった。ミシガン州はニューヨーク州でフリーバンキング導入の法案審議がもたついているところ、内容を模倣して1837年3月にアメリカで一番早くこの制度を導入したそうだ。

1837 パニック
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しかし、狡猾さと言うか、急いだ制度の導入が不運の始まりと言っていいでしょう。制度導入3ヶ月後の6月に、いきなり大恐慌が襲ったからだ。

1837年の時点ではミシガン州にあった銀行の数は9つであった。フリーバンキング制度の導入に伴い1837年12月には18行に増え、1838年の2月には40行に増大した。そして、恐慌のあおりを受け、1839年9月までに残っていた銀行は9行まで激減した。単純にいうと4分の3の銀行が倒産したのだ。ただし、ミシガン州が情報公開をしなかったそうなので、これは確実な統計に基づく数字ではなく、あくまで推測値だ。)

このミシンガン州の後に導入されたフリーバンキング制度では、銀行券の引き当て資産は最低限、発行した紙幣の価値を裏付けるものであったが、ミシガンの場合は不動産やモーゲージ証券、あるいは同州に居住する不動産保有者発行の債券に依存していたため、バブル崩壊過程でお馴染みの運命をたどった。そして銀行券の兌換停止命令が出されたが、各銀行は銀行券を濫発する事態となり、同州の自由銀行法は1838年には停止されたそうです。

その後の調べで分かった事だが、これらの銀行券は法的必要条件を満たさないまま市中に出回った。つまり、紙幣に銀行委員会のサインも入っていなければ、必要とされる引き当て資産も条件としておらず、単純に違法で、偽札でなかったにしても詐欺行為に他ならなかった。

インディアナ州ではフリーバンキング制度が導入されてから最初の3年間で68の銀行が設立されたが、38の銀行しか制度が終焉される時まで生き残れなかった。イリノイ州では87%の銀行が南北戦争が勃発すると破綻することとなった。ウィスコンシン州では1861年には108を数えた銀行も、次の2年間で36行が破綻し、15行が業務停止に追い込まれました。

だから、一般市民の銀行に対する信用がそれほど確立されていない時代で、これほど銀行がばったばったと倒れているような状況では、銀行を信用しろと言う方が難しいかもしれません。逆に、銀行もそのことを十分理解していたので、ヤマネコ銀行と揶揄されるようにBank Runによる破綻を出来るだけ回避するために、『信用』という神秘的で崩れやすいベールをまとうより、物理的にBank Runを難しくするような立地を選んだということでしょう。

電子マネーの世界ではまずムリでしょうね。
参照:http://www.imes.boj.or.jp/japanese/kinyu/2004/kk23-h-1.pdf
Wildcat Banking, Banking Panics, and Free Banking in the United States/Gerald P. Dwyer Jr.

山猫銀行の発行した紙幣 その1
http://www.beeslife.com/currency/bb/3.jpg


銀行 取り付け騒ぎの様子


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この『信用なき時代(誇張しすぎかもしれませんが)』に『信用』が売りの銀行家達は多分いろいろ悩んだのでしょう。今日ヤマネコ銀行について言われている伝説は、そんな時代に飛び交った噂や銀行同士のレッテルが少し誇張された形で残っただけかもしれません。

例えば。。。
ヤマネコ銀行の経営者は、帳簿のつけ方は確かにいい加減だったかもしれないが、預金の一部を金貨か銀貨、あるいは債権などを担保として保有することを義務付けられていた。そして、現実問題として、その義務をいつでも果たせるように準備しておく必要があった。『信用』のポイントもそこだったのかもしれない。

ただ、都会の銀行のように大理石の柱などで荘厳な雰囲気をかもし出すなんてまず無理で、『見かけの信用』という点ではどうにもならない。そこで、客を安心させるために、ヤマネコ銀行は営業時間中にはいくつかの金貨の樽が見えるように金庫の扉をあけておく習慣があったという。

また、銀行に監査官が訪問する時なんかは、銀行の準備金を調べる州の監査官が到着する数分前に、監査が済んだ銀行の金庫から運び出された金が到着する、というようなこともあったそうだ。(「マネーを生み出す怪物」/エドワード・グリフィン)

笑い話だろうか?

ヤマネコ銀行が金貨をわざとらしく店舗のあちこちに置いたりするのは、エドワード・グリフィンによると『現代の金融機関が資産何十億ドルと広告するのに、負債額には触れないのと同じやり方だ。』という。日本に目を向ければ、昭和恐慌で取り付け騒ぎが頻繁に起きた時、高橋是清が片面印刷の200円札を大量に刷り、これみよがしに銀行の店頭に積ませたエピソードと似ている・・・。

『信用』というのは驚くほど・・・いや、恐ろしいほど些細な出来事が発端で崩れる。

ウィキペディアに掲載されている『取り付け騒ぎ』を引用すると


昭和金融恐慌
1927年、衆議院予算委員会で大蔵大臣・片岡直温が「東京渡辺銀行がとうとう破綻を致しました。」と間違った情報を発言したため、全国各地で「銀行が危ない」という噂が広がり、取り付け騒ぎが起こり、このことが引き金となり金融恐慌が発生した。影響という面では日本金融史上、最大の取り付け騒ぎである。

豊川信用金庫事件
1973年、高校生同士の会話での「信用金庫なんて(強盗とか)危ないわよ」という冗談から「(豊川)信用金庫(の経営)が危ない」という経営不安の噂となり、豊川信用金庫が取り付け騒ぎに陥る。実際には経営は健全であった。調査により原因から噂が広がる途中経過まで明らかになった稀有な例。

コスモ信用組合
1995年、預金者が預金払戻を求めて殺到した。東京都知事より業務停止命令を受け最終的には破綻。

木津信用組合
1995年、預金者が預金払戻を求めて殺到したことが「取り付け騒ぎ」の語を用いずに報道される。最終的には破綻。

紀陽銀行
1997年11月経営不安の風評被害により一部支店にて取り付け騒ぎが発生し、数日で3000億円の預金が流出した。

山一證券
1997年12月、自主廃業。各地の支店には証券口座を解約する顧客が列を作った。

佐賀銀行倒産メール事件
2003年12月、20代の女が知人に「佐賀銀行が26日に倒産する」という事実無根のメールを出し、それがチェーンメール化。噂が広がって取り付け騒ぎとなる。

『信用』の危うさを知っていたマネーのサイエンティスト達が、物理的に“Bank Run”を難しくしようとするのはある意味、合理的かつ理想的だったのかもしれない。

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中央銀行制度の恩恵をいったいどれほどの人間が感じているのだろうか?お百姓が田んぼでおコメを育て、新聞屋さんが朝新聞を配達してくれたり、給食のおばさんが、子供たちの給食を作るのと同じように、日銀は機能しています。ところが、このことに感謝するどころか、国賊扱いする輩がいます。日銀が保っている円の信用は、貿易に頼る我々日本人の生命線であると私は思うのであります。

2009/7/23(木) 午後 10:30 Ddog

Ddogさん
コメントありがとうございます。ケインズの言葉を想起させますね。
*************
現行の社会基盤を覆すのに通貨を墜落させるほど巧妙で確実な方策はない。通貨を墜落させる過程では、破壊という側面に関わる隠された経済法則のすべての力が動員される。
− ジョン・メイナード・ケインズ
***************

2009/7/24(金) 午後 0:52 [ 9回裏二死満塁 ]

あ、あと『アレグザンダー・ハミルトン伝』をやっと読み終えました。第一合衆国銀行を創設したハミルトンをジェファーソンはイギリスの手先呼ばわりしたのですが、大統領に就任すると彼のつくった制度や中央銀行の機能というものをシブシブ認めたようです。

この伝記は絶対にお勧めです!!

2009/7/24(金) 午後 0:59 [ 9回裏二死満塁 ]

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アレグザンダー・ハミルトン伝
副書名 = アメリカを近代国家につくり上げた天才政治家
巻次 = 上
著者名 = ロン・チャーナウ/著
とりあえず上巻を図書館の予約に入れました。中巻下巻もあり、読み応えありそうですね。

2009/7/25(土) 午前 1:27 Ddog

Ddogさん
お〜本書を読んで頂けるようで嬉しいです。読み応えだけは保証できますよ〜。(^0^)/~~

プレゼントにも感謝です。m(_ _)m
今度試してみますね。

2009/7/26(日) 午後 9:51 [ 9回裏二死満塁 ]

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