この議事録にあるいくつかのコメントをピックアップしてみました。とても興味深いです。 何が興味深いって・・・今の 政府紙幣に関する議論や無利子国債に関する議論、実はもう何年も前からやっていて、日銀のスタンスってのは当時とまったく変わってないのね・・・ってことかな。
『エコノミストしては大罪かもしれませんが、政府紙幣の発行を提言したいと思います。しかしご理解頂きたいのですが、先に申し上げたとおり、インフレ経済はデフレ経済とは異なります。インフレ経済の場合には、私の切り札である博士号を取り上げて頂いても結構です。私が政府紙幣の発行を提言すると、皆さんは私を見つめ、この男は一体どこで博士号を取得したのかとおっしゃるでしょう。しかし、デフレ経済では、事情は全く逆なのです。少なくとも、議論に値する考え方だと思われます。政府紙幣の発行により債務のファイナンスを行います。不連続性については例証はありません。つまり、「政府紙幣の発行を始めれば、ハイパーインフレを招かないか」と質問される方がおられるでしょう。理論の上では、世界は非常に不連続的であり、日銀と財務省の適切な政策についての私の観察では、たとえ政府紙幣の発行を始めたとしても印刷機のスピードをただ速めるようなことはしないと確信しています。政府紙幣の発行スピードは非常に緩やかなものとなるでしょう。真の問題は、政府紙幣を増発しすぎるということではなく、むしろ政府紙幣の増発が不十分な量で終わるということです。したがって、不連続性については例証は存在せず、緩やかに増発すればハイパーインフレを引き起こすことはありません。経済理論によれば、適正なインフレ率が存在し、この水準となるように供給量を調節することができるのです。債務ファイナンスに比べてこの方法には多くの利点があります。その一つとして、債務ファイナンスの場合には、3ヶ月毎、6ヶ月毎、1年毎、5年毎というように債務を借り替える必要があります。しかし、政府紙幣を発行した場合にはその必要はありません。発行された紙幣は恒久的に償還されません。・・・(略)』
『(略) ・・・現状において、インフレ期待を形成することが可能になるような政策手段が存在するならば、検討に値すると思います。もう1つの事例として、為替市場への介入に、その他の国々の政治経済がどういう対応をとるかということですが、特にアメリカがどういう対応をとるだろうかということです。政権によって強みと弱みは異なると思います。1つのメリットとして、政権として少なくとも原則的に市場の力を重要視している政権が存在しているメリットは、為替市場に介入することによって特定の為替レートに誘導することができるとは信じていないということです。その政策が今後変更されるかどうかは別問題ですが、政府の公式の立場として介入は行わないことを一定の政策として打ち出しています。 (中略)・・・日本の制度的枠組みでは政府が紙幣を発行するのは難しいと多くの方が指摘されました。それに対しては2つの答え方があるかと思います。第一の答えとして、では、制度を変えなさいと。変革も難しいとは思います。IMFも、よく痛みを伴う選択が必要だと言っていますが、これがその痛みを伴う選択の1つかもしれません。政府が紙幣を発行することができるようにすると、特に日銀にとっての痛みが一番大きいのではないかと思います。』 『ご指摘頂いた制度面の問題点、例えば中央銀行の独立性、また政府が紙幣を勝手に発行すればインフレにつながるのではないかというリスク、それらはいずれも重要な問題です。このようなご質問も出るだろうと予想しながらコメントしていました。つまり、日銀の独立性の有無にかかわりなく、私としては財務省が自制することなく今日から紙幣の印刷機を動かし始めるとは思っていません。そういう可能性はないと思っています。一般論として今の世の中を見てみると、独立性のある中央銀行があれば経済のパフォーマンスが良くなるという証拠はほとんどありません。日銀の方にとっては今のコメントは失礼だったとは思いますが、実際に重要であるマクロ経済上の課題、例えば経済成長、失業、あるいはフィリップス曲線の失業とインフレのトレード・オフ、つまり、インフレを安定水準に保つための代償となる失業率の水準において、中央銀行の独立性があるかどうかであまり変わりはないのです。しかし、中央銀行の独立性に意味があるとすれば、僅かな効果ですが、独立性を保っている中央銀行はインフレを下げることには少しは成功しているという点です。だからといって、経済成長率が上昇するとか、失業率が下がるとか、他の重要な変数には何の影響もありません。そこで、中央銀行の独立性というアイデアはあまりにも過大評価されているのではないかと思います。特に中央銀行自身が過大評価していると思います。 さらに、財務省が紙幣を過剰に増発してしまうのではないかという懸念に対して、2点ほど補足したいと思います。第一に、非民主主義国家とは異なり、民主主義社会ではこのような制御できないようなインフレは選挙により牽制されます。国民はそれを求めてはいません。そういう意味で、民主的なプロセスを私は信頼しており、牽制機能が働くものと確信していますし、実際、多くの民主主義国家ではそういう問題はほとんど起こっていません。 第2に、仮に民主主義の機能をあまり信頼していないとしても、政府の行動に対して制約をかけることは可能です。例えば政府は紙幣を発行する権限を有するけれども、失業率やデフレ率に見合った割合でしか発行できないようにすることは可能です。制約を課すことで牽制する方法はいくつかあります。勝手に政府がどんどん紙幣を増発するのではないかという不安が存在する場合には、制約をかけることは可能だと思います。 最後の点になりますが、政府紙幣の発行ができないというのであれば、それに代わる機能を果たす政府債券を発行することです。無利子の永久債は結局紙幣に極めて近い訳です。無利子の永久債を発行すれば、紙幣同様に流通します。これはにせ金ではありません。代替的な紙幣とでも言いましょうか。これによって問題を解決することも出来ます。』 感想としては:
日銀の政府紙幣発行に対するスタンスは6年ほど経過した現在も変わっていない。反対ロジックも同じものだ。当時から無利子国債に関して日銀は比較的慣用であったように見える。また、中央銀行の独立性に関するスティグリッツのコメントには目から鱗だ。知らなかったことじゃないけど、改めて言われると確かにと思うね。 |
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