|
2001年宇宙の旅
この映画を巡って飛び交う様々な言説はネット上にも横溢し、それを拾い読みしては、にこにこしてしまう。
映画がひとつの事件となったことは有意義なことで、日本では「TAKESHIS`」を待たねばならなかった。
鈴木清順の「ツィゴイネルワイゼン」を巡っても、空ろな言説群の中、きらめく批評はわずかな光を留めたに過ぎない。
しかし、2001年宇宙の旅については、殆どの言説が「映画」を観ることではなく、「意味を解釈すること」に走ってしまっていて、「文化としての映画」というある種の共同体的意識の中に、奇妙な敬意を持って祭り上げる様は醜く、映画を、そうあってはならないはずの「解読」へと導き、エンターテインメントから遠ざけるばかりだ。
素晴らしい映画の中の一本であることは間違いないのだが、「文化」や「権威」の側に回収させてしまうことは×鹿のやることだし、第一、大騒ぎするような作品ではない。
もちろん、好きな映画ではあるが、何度も見たいとは思わないし、映画史上ベスト10に入る映画だといわれるが、それは完全な過大評価だ。
この映画の欠点は、記号の描写が長すぎて、スペクタクルが抑圧されてしまうことなのだ。ゴダールのように、意味を問うことなど忘れて、ただ、溢れる事件に呆然とスクリーンを眺めることしか出来ない域に達していないのだ。
さて、物語を解釈することと、映画を観ることの差は何か?
ここでは、「映画を観ること」から「2001年宇宙の旅」を批評してみよう。
さて、海の映画が、海の青に始まり海の青に終わるように、海を舞台とする映画を撮る監督は、悉く「海の色」に執着する。選び取られる様々な「青」は、監督の映画的欲望に応じてそのトーンが決まるだろう。
さて、2001年宇宙の旅だが、冒頭、NGMのオープニング・ロゴがスクリーンに現れるまで、小さな音楽は聴こえるのだが、物語は何も始まらない。そう、暗闇に光一点輝くわけでもなく、何も始まらず、スクリーンは真っ黒なままだ。
映画監督というのは、映画的欲望に突き動かされて映画を撮る。
この異常なオープニングを前にその欲望は露呈される。このとき、見るものは感得しよう。
キューブリックは、この「漆黒」を撮りたかったのだと。
舞台には、恒常的な漆黒に最も近い風景が設定されるだろう。それはもちろん「宇宙空間」とならざるを得ない。
だから、よくあるSFのように、「ブルーが滲み出した宇宙空間」ではなく、黒々とした宇宙が描かれてはいなかったか?
黒を黒とするために、コントラストの白や白の後景に赤を配していなかったか?
しかし、宇宙空間の漆黒の欠点は、明滅する星々だ。だから漆黒に拘泥するキューブリックはなんとしても漆黒を描きたいと考える。
では、漆黒のスクリーンを許す視覚的主題とは何か?世界に漆黒は存在しない。何故なら、宇宙創生以来、世はいかなる場所にも光を宿しているからだ。では、あの冒頭の漆黒は何か?
もちろんそれは、光が存在しないことが当然である状態、すなわち、ビッグバン以前の無の光景だ。
この漆黒への映画的欲望を、ビッグバン以前の光景と設定したキューブリックは、当然ビッグバン以後を撮り、その最後の光景=宇宙の最後の光景としての漆黒を撮るだろう。
だから、ビッグバン以前を配したからには、その後、「創世記」を撮らざるを得ない。
加えて、ビッグバン「以降」の「その後」である宇宙の死=「繰り返されるビッグバン以前」を描くことで、またしても漆黒を画面に留められると喜ぶキューブリックは、ラストのエンドロールが終わった後も、スクリーンに漆黒を配し、永遠とも感じられる長さで「美しく青きドナウ」を響かせる。
エンドロールの後も永遠に続く映画への欲望。
そして当然、この物語の終結を恐れるキューブリックは、物語を終わりに転生の概念を持ち込んでしまう。
それが、ラスト手前に配した、老いから新生へというシーンである。
こうして、映画への欲望のために、ストーリーが「捏造」されるのだ
その1 to be continued
|
待ってました!やってくれると思っていました!その1ということは、続くんですよね?お願いします、ストーリー全部、詳しくレビューしてください!
2006/1/18(水) 午前 3:09 [ enoken ]
画像のupミスかと思って、思わず目を凝らしてしまいまひた。 「2001年」、観る度に音楽聴いちゃ寝込む大王に、そんな熱く語られてもって常々思う映画の一つ(笑)
2006/1/18(水) 午前 3:15
enokenさん。やってみます。やっつけですけど。
2006/1/20(金) 午後 9:31 [ aly*nv ]
大王様。まあ、大げさな映画ですわな(笑)。オベリスクの示し方や、指し示す指だの、映像は優れているのにあんまりテツガクするのはどうかと思うよね。
2006/1/20(金) 午後 9:35 [ aly*nv ]