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夏の日の歌

夏の日の歌

 中原中也・選書集より

 青い空は動かない、
 雲片一つあるでない。

   夏の真昼の静かには
   タールの光も浄くなる。

 夏の空には何かがある、
 いじらしく思わせる何かがある、

   焦げて図太い向日葵が
   田舎の駅には咲いている。

 上手に子供を育ててゆく、
 母親に似て汽車の汽笛は鳴る。

   山の近くを走る時。

 山の近くを走りながら、
 母親に似て汽車の汽笛は鳴る。

   夏の真夏の暑い時。

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真夏の青く澄み切った空には、確かに何かがあります。
それぞれに、その何かは違うのですが、
見上げた者は、その青さに感激し心を癒されます。
何か切なく心をふるわすもの、、、
『望郷』『幼きころの思い出』または、
明日へと続く『未来への希望』か、、、
中也のいうように、真夏の空には何かがあります!

明日、目の覚めるような青い空が広がっていたら、
あなたも眺めて見ませんか?? JUN

木陰・・中原中也、山羊の詩より


 神社の鳥居が光りをうけて
 楡の葉が小さく揺すれる
 夏の昼の青々とした木陰は 
 私の後悔を宥めてくれる

 暗い後悔 いつでも付きまとふ後悔
 馬鹿馬鹿しい破笑にみちた私の過去は
 やがて涙つぽい晦冥となり
 やがて根強い徒労となった


 かくて今では朝から夜まで
 忍従することの他に生活を持たない
 怨みもなく喪心したやうに
 空を見上げる私の眼__


 神社の鳥居が光りをうけて
 楡の葉が小さく揺すれる
 夏の昼の青々とした木陰は
 私の後悔を宥めてくれる

[[attached(1,center)]]


宥めてくれる・・寛大な心で許してくれる。
破笑・・大笑い。
晦冥・・くらやみ。太陽が沈んであたりが暗くなること。
喪心・・正気でなくなること。
   夏の日の情景が浮かんで来ます。
 楡の木陰は、太陽が揺れてちらちらと光ります。
 そこから見る夏の空は、雲一つなく真っ青で、
 青々と見えるのです。まさしく夏の息吹を感じる詩です。
  

 別離

イメージ 2

 中原中也、未刊詩の中のこの長い詩は、
私とある人を結びつけるきっかけになった。
「さよなら、さよなら、、」と最初に見た時は、
さよならの内側に、私への愛情と希望が見えたことで、
お互いに、断ち切れない気持ちが先へと進ませてしまった。
中也の詩が取り持った愛は、真実と思い込みの虚偽の中で、
当然のごとくに、短い結末を迎えた。
そこには果たして、愛があったと言えるのだろうか。
終わりの頃に「さよなら、さよなら」と別離の詩を見た時、
正面から生きる事に向き合えなかった、その人の、
別人のように惨めな弱さを感じてしまった。
去年の夏の、遠い遠い思い出に変わった記憶。。(純)
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別離 (中原中也、未刊の詩篇より)


 さよなら、さよなら!
   いろいろお世話になりました
   いろいろお世話になりました
 さよなら、さよなら!
   こんなに良いお天気の日に
   お別れしてゆくのかと思ふとほんとに辛い
   こんなに良いお天気の日に
 さよなら、さよなら!
   僕、午睡の夢から覚めてみると
   みなさん家を空けておいでだった
   あの時を妙に思い出します
 さよなら、さよなら!
   そして明日の今頃は
   長の年月見慣れてる
   故郷の土をば見てゐるのです
 さよなら、さよなら!
   あなたはそんなにパラソルを振る
   僕にはあんまり眩しいのです
   あなたはそんなにパラソルを振る
 さよなら、さよなら!
 さよなら、さよなら!


     (中 略)

 忘れがたない、虹と花
   忘れがたない、虹と花
   虹と花、虹の花
 どこにまぎれてゆくのやら
   (そんなこと、考えるの馬鹿)
 その手、その口、その唇の、
    いつかは消えてゆくでせう  
    (霙とおんなじことですよ)
 あなたは下を、向いてゐる
    向いてゐる、向いてゐる
    さも殊勝らしく向いてゐる
 いいえ、かういったからといって
    なにも、怒ってゐるわけではないのです
    怒っているわけではないのです

 忘れがたない虹と花、
    忘れがたない虹と花、
    (霙とおんなじことですよ)

  何か、僕に、食べさして下さい。
 何か、僕に食べさして下さい。
  きんとんでも、何でもよい、
  何か、僕に食べさして下さい!

  いいえ、これは、僕の無理だ
     こんなに、野道を歩いてゐながら、
     野道に、食べ物、ありはしない。
     ありません、ありはしません。

 向ふに、水車が、見えて、見えてゐます。
     苔むした、小屋の傍(かたはら)、
 ではもう、此処からからお帰りなさい、お帰りなさい、
     僕は一人で、行けます、行けます、
 僕は、何を云ってるのでせう
     いいえ、僕とて文明人らしく
 もっと、他の話もすれば出来た
     いいえ、やっぱり出来ません出来ません。

    (1934.11.13)  
 
 
 

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私はもう歌なぞ歌わない
誰が歌などうたうものか

皆な歌なぞ聴いてはいない
聴いているようなフリだけはする

皆な冷たい心持っていて
歌なぞどうだってかまわないのだ

それなのに聴いているようなフリをする
そして盛んに拍手を送る

拍手を送るからもう一つ歌おうとすると
もう沢山といった顔

私はもう歌なぞ歌わない
こんなご都合な世の中に歌なぞ歌わない

一つのメルヘン

一つのメルヘン

中原中也・在りし日の歌


 秋の夜は、はるかの彼方に、
 小石ばかりの、河原があって、
 それに陽は、さらさらと
 さらさらと射してゐるのでありました。

 陽といっても、まるで硅石か何かのやうで、
 非常な個体の粉末のやうで、
 さればこそ、さらさらと
 かすかな音を立ててゐるのでした。

 さて小石の上に今しも一つの蝶がとまり、
 淡い、それでゐてくっきりとした
 影を落としてゐるのでした。

 やがてその蝶がみえなくなると、いつのまにか、
 今迄流れてゐなかった川床に、水は、
 さらさらと、さらさらと流れてゐるのでありました.....

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*硅石...珪石と一般には書く。石英の粒を主な構成物にしている堆積岩が熱や圧力で
     変成した変成岩。

 
  私が詩を書く時、よく浮かぶフレーズが『さらさらと、、』
  擬音の繰り返しや陽のあたる情景も、そういえば多いと思う。
  中也の詩を読んでいる内に、染みついたものなのか、、、
  陽という単語もよく使っている。
  これは陽に包まれた温かさや、心地よさを求めているのか、
  いや孤独の中で愛を求めているということなのかも。。

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