ジャズに親しもう

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ジャズは心のオアシスです。

初心者には「ジャズって何だか難しそう」という方が多いのですが、
最初っから難しいジャズを聴いてしまうと、そう感じるのも頷けます。

まずは、初心者でも親しみを持ちやすい曲やフォーマットから、
徐々にジャズに親しんで下さい。
この書庫では、それに最適と思われるジャズを主にYou Tubeから紹介します。
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久々のジャズ動画紹介といきましょう(^^)


クールでシリアスなジャズもいいけれど、底抜けに明るいサウンドと超絶技巧にただ身を任せる……
そんな時間だってほしいものです。


オスカー・ピーターソン(1925〜2007)はカナダ生まれの黒人ピアニストです。

彼の少年時代のピアノ練習はすさまじいものでした。
学校から帰るとすぐにピアノ。食事・風呂・トイレの時間以外は全てピアノ。
休日は、朝食を摂り終わるとすぐに昼までピアノ。
昼食が終わると、夕飯の時間までピアノ。
夜は、母親が彼をピアノから引っぺがしてベッドに押し込むまで練習。
とにかくピアノが大好きで、アート・テイタムやファッツ・ウォーラー、
アール・ハインズ、ナット・キング・コールといったスイング期のピアニストに影響を受けました。
当時バラードは苦手で、明るいブギウギ系の曲ばかり弾いていたそうです。

彼はカナダを離れてアメリカで活動することには消極的でしたが、
アメリカの有名なプロデューサー、ノーマン・グランツが彼のピアノに惚れ込み、
猛烈にアタックし、本場アメリカの大物アーティストとの共演などの好条件を提示し、
ついに口説き落としたのでした。


ピーターソンはスイング期にスタートした人ですが、
彼のアメリカデビューの頃にはモダンジャズも徐々に成熟しつつあったため、
「スイングピアノの奏法にモダンジャズの和声感覚を取り入れる」
という、当時でも他にほとんど例が無い独特の音楽を創り出してゆきます。


ピーターソンが本領を発揮するのは、やはり管楽器のバッキングなどではなく、
ピアノソロ、あるいはピアノ中心のコンボです。

彼の最初のトリオは、ピアノ+ベース+ドラムスではなく、
当時の主流だったピアノ+ギター+ベースというドラムレストリオでした。
ハーブ・エリス(g)とレイ・ブラウン(b)とのコラボレートです。
その後はハーブ・エリスが抜けて、エド・シグペン(ds)が加わった普通のドラム入りトリオになりましたが、
ピーターソンはジャズギターとの共演がとても気に入っていたらしく、
ジョー・パス(g)を迎えた強力なサウンドや、ハーブ・エリスとの再会セッションも残されています。


オスカー・ピーターソンのプレーの最大の特長は、両手をフルに使ったダイナミックな超絶技巧です。
モダンジャズにおけるピアノは、最低音部をベースに任せることが出来るので、
左手の役割としては単純なコードプレーに回ることが多いのですが、
ピーターソンはソロピアノにおける左手伴奏を極めた人であり、
左手の高速ストライドと右手の超高速アドリブラインが淀みなく泉のように滾々と湧き出します。
ほとんど頭で考えなくとも、切れ目のない流麗なフレーズがどんどん生み出されるのです。


彼の名演は数多いのですが、今日はまずソロピアノでスカッとしてみましょう。
「Eight Bar Boogie Blues」。
単純なブルース・コードで、パワフル且つ華麗なアドリブ。


2分35秒あたりから、さらに加速してゆくあたりは圧巻です(^-^)


左手が低音とコードを激しく往復する、この動きをストライドといいます。
ジェームス・P・ジョンソンのようなラグタイム期の古いピアニストから、
カウント・ベイシーらスイング期の代表的ピアニストに受け継がれていった奏法です。
コンボ演奏を中心とした現在のジャズ演奏ではまず用いられない奏法であり、
ジャズピアニストでもこれを練習し習得している人はほとんどいません。
オスカー・ピーターソンへの憧れを公言しているベニー・グリーンはストライド奏法もこなしますが、
あくまで余興程度の演奏に留まっています。

ピーターソンは2007年に亡くなりました。
ストライド奏法は、いわば「失われつつある技法」ということになりますね。


ピーターソンはこういう底抜けに明るい選曲・演奏が多い人ですが、
実はバラードプレーでは非常に繊細なピアニッシモをも聴かせます。
スタンダード曲も数多くのレパートリーがあり、
さらにはビル・エヴァンスやアントニオ・カルロス・ジョビンの曲までも。
オリジナル曲にも「Nigerian Market Place」「Wheatland」といった素晴らしい曲があります。

次回以降、ソロ・トリオ・カルテットなど様々なフォーマットで、
ピーターソンの魅力をとりあげてゆこうと思います。

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ウッドベースの魅力3

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今回は、ウッドベースの高音域プレーを紹介します。
もっとも、今日は伝統的な4ビートジャズではありませんが……



通常ベースという楽器は、和音の根音(ルート)を低音で弾くことによって、
コード感を強く決定・印象づける役割を果たします。
中〜高音だけの和音だと、コード進行がうまく表現できないことが多いのです。
このため、ベースは基本的に低音を鳴らし続ける宿命があります。


しかし、特にジャズ・フュージョンなどのポピュラー音楽においては、
他の管楽器やギター・キーボードと同じように、アドリブソロを奏でることがあります。
エレキベースだと、親指と人差し指を用いたスラップ奏法(チョッパー)などで、
低〜高音域に至るテクニカルでパーカッシヴなアピールが可能ですね。


これがコントラバスになると、話は多少難しくなってきます。

1.指板にフレットがないので、特に高音域において正確な音程で弾くのがベースギターより難しい
コントラバスは見ての通り、中音域から高音域に向かうあたりで楽器の肩の部分が邪魔になるので、
弦を押さえる左手の構え方は低音域と同じようにはいきません。
ネックの後側から親指を外して、楽器ボディをやや抱きかかえるように構えて、
親指・人差し指・中指・薬指の4本を使って弦を押さえます。

イメージ 1

↑コントラバスがないので、ヤマハサイレントベースSLB200で。
でもこの楽器も今はありません……

つまり、低音域と高音域では、運指方法そのものが全く異なる技術であるといえます。
(チェロも同様ですね)

無論、クラシックのコントラバス奏者は高音域の訓練をみっちりと積んでいます。
それこそ、低音域と同等かそれ以上の時間を割いて練習しています。
(実際のオーケストラではコントラバスソロの機会は非常に非常に少ないんですけどね)

しかし、最初からジャズ奏者を志してコントラバスを始めた人というのは、
この高音域演奏の鍛錬が決定的に不足しており、音程が今ひとつ良くありません。
ジャズベーシストでもやはり、クラシック出身の奏者のほうが高音域の音程が安定していますね。
ジョン・クレイトンやジョージ・ムラーツ、デヴィッド・ヤング、ミロスラフ・ヴィトゥスなど。
(ロン・カーターのような例外もいます(^_^;; )

もちろん、ゲイリー・ピーコックやドン・トンプソン、スコット・ラファロ、
ジョン・パティトゥッチのような天才肌もいますけどね。


2. 弦高(指板からの弦の高さ)は高音域になるほど高くなるので、より強く押さえる必要がある
ギターやエレキベースに比べて、コントラバスの弦高は高いです。
駒を下げて弦高を低くするとかなり弾きやすくなりますが、
強く弾いたときに左手指付近で弦の振動と指板がぶつかってしまいます。
これを「びびり」と言います。
従って、コントラバスという楽器はあまり弦高を低くできないのです。
(もっとも、それでもポピュラー用楽器はクラシック用に比べてかなり弦高をギリギリ下げていますが)

張力が強く弦高も高い弦を、ギターやベースギターのように素早く、
しかも音程良く弾くのは大変な技術です。


3. 指弾き(ピチカート)で高音を弾くと充分な音量が出ず、ドラムス等の音に掻き消されやすい
現在でこそ、ウッドベース用の高性能なピックアップ(ピエゾ・マグネット共に)が存在し、
他の楽器より音量の小さいピチカート奏法のウッドベースでも充分な音量が確保できますが、
ピチカートの高音域をスピーカーでしっかりと鳴らせるようになったのは1960年頃のことで、
それまでは大して性能の良くないマイクロフォンで音を拾うだけでした。
それ以前は、ベースの音というのはライブであれレコードであれ、楽器本来の重厚な音が出ず、
しかも高音域でどんなに音楽的なことをやっても、周囲の音に紛れてしまいがちでした。

しかし、ジャズという音楽の広い発展に伴い、ベースという楽器も、
「単に根音・低音を弾いていればいい」というワケにいかなくなってゆきました。
他の楽器がより高度なイディオムと技術でジャズの表現を発展させているというのに、
ウッドベースだけが「楽器構造的な制約」によって表現の幅を広げられないのでは、ダメです。

高音域を大胆に使ったソロを取り入れた最初期のベーシストは、スコット・ラファロだと思います。
音楽的な閃きに満ちたアドリブを、ベースの低音から高音まで「制約を感じさせずに」演奏し、
ジャズにおけるベースの役割・表現の幅を飛躍的に向上させました。
この人の演奏の凄さは、ビル・エヴァンス(pf)のトリオのリバーサイド三部作を聴けばわかります。
ちょうど、ベース音の録音技術が上がってきた時期の作品群なので、
ラファロの天才的なプレーが堪能できますヨ(^-^)




前回・前々回に紹介した超絶技巧ベーシスト、ニールス・ペデルセンが鬼籍に入ってしまった現在、
私が思うところの世界最高のテクニシャンはブライアン・ブロンバーグ(Brian Bromberg)です。
ベースのキャリア初期はクラシックから始まっていますが、
やはりこの人も天才肌なんですね〜(汗)
まるで楽器と一体化したように、自由自在にベースを弾きまくります。
また、エレキベース奏者としても世界超一流の人であり、
伝統的ジャズからスムースジャズ、フュージョン、ロックに至るまで、
あらゆるミュージシャン達から引っ張りだこです。

あまりにもテクニックがありすぎて、長年のジャズファンからは「テクに走り過ぎる」とか、
「何をやりたいのかよくわからない」といった批判も結構聞かれます。
しかし、この人は本当に何でもできる人であり、真のインプロヴァイザー(即興演奏家)です。
アップテンポの曲ではギター顔負けの凄まじい早弾きを、
スローな曲ではまさに歌い上げるようなイマジネイティヴなフレージングを。
しかも、極めて正確なビート感覚と音程、そして切れ目なく引き続ける音のうねり。

この人はエレキベースも凄まじい技巧を持っていますが、
やはりウッドベースで純ジャズを演ってほしいなぁ……


今日はそんなブロンバーグの、高音域を駆使した華麗なソロを紹介しましょう。


まずは、ちょっととっつきにくいかもしれませんが……
スムースジャズの代表的なキーボーディスト、ジェフ・ローバー(Jeff Lorber)とのデュオ。
曲目は「PCH」(Pacific Coast Highway)。
小節がつかみにくいかもしれませんが、まずは通して聴いてみて下さい。




この動画では、彼の演奏の特徴的な部分を堪能できます。

1. ブロンバーグの奏法で最も特徴的な「タッピング奏法」が随所に

弦をはじくのでなく、弦を上から指板に叩きつけるように押さえ、その振動で音を出します。
これは本来エレキギターやエレキベースの手法なんですが、彼はウッドベースに応用。
エレキの場合は指板のフレットに弦が当たることで音が出ますが、
ウッドベースはフレットがないので、正確な位置に指を叩きつける必要があります。
左手と右手の両方でタッピングし、パーカッシヴで複雑なフレーズを組み上げています。
2. 高音域を弾く時の左手の形が非常に綺麗

人差し指〜薬指の第一関節を逆に曲げず、クリアでシャープな音を出しています。
3. 左手タッピングとプリングを高速で組み合わせつつ、右手でも中音タッピング

6分13秒〜6分18秒に見られる、ブロンバーグ得意のテクニック。
この動画はあまりベースの音がナマっぽくありませんが、
CDなんかでこの奏法をやってると、ものすごい迫力がありますよ!
4. その他、ダブルストップ(2弦弾き)やハーモニクス(倍音奏法)まで駆使

これらは決してテクニックのひけらかしなどではなく、曲の雰囲気を決定づけ、
大いに盛り上げていると私は思います。
歌心あふれるフレージングがとても好きです。


この曲、もともとの原曲はエレクトリックサウンドで、
ドラムスもちゃんと入った、ややファンキーでスクエアなムードなんですが、
ブロンバーグのウッドベースのフレージングと音のうねりは、むしろ幻想的でさえありますね。

トニックとサブドミナントが基調の単純なコード進行の曲ですが、
その合い間に入る印象的なコードが何とも良いですね〜(^^)
作曲者のジェフ本人もお気に入りの部分らしいです。
(1分7秒〜1分29秒あたりと、アドリブ終盤の4分0秒〜4分22秒あたり)
味のあるテンションノートはまさにジャズ/フュージョンのそれです。


ペデルセンであれ、このブロンバーグであれ、
アドリブには自身のクリシェ(お決まりフレーズ)がよく出てきますが、
少なくともこの二人はどんな調でもどんなフレーズでも完璧に弾く技術があります。
飽きがこないのは、どちらかと言えばブロンバーグのほうかなぁ。


次回はこのブロンバーグの、もっと伝統的なアコースティックジャズの動画を紹介します。
こっちも凄いですよ〜〜〜☆

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ウッドベースの魅力2

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前回、超絶技巧ベーシスト、ニールス・ペデルセンの動画を紹介しました。
この人の演奏をもう少し紹介してゆきます。


通常、弦楽器を指で弾く場合、どうしても弾く瞬間は指を弦に引っ掛けているワケですから、
この一瞬だけは前の音(弦の振動)を自らの指で止めてしまっていることになります。
また、左手のポジションを移動する瞬間はどうしても弦がミュートされた状態になり、
ここでも前の音がいったん途切れてしまいます。
つまり、早いフレーズや、左手のポジション移動の多い・あるいは激しいフレーズでは、
音が滑らかにつながらずにブツブツと切れがちになります。


しかしペデルセンの演奏は、素早いピチカートであるにもかかわらず、
音をブツブツ切らずに滑らかにつなぐことができます
右手指と左手指のタイミングの絶妙さのなせる業なのです。
左手が指板上を駆け巡っているのに、音の列は非常に滑らかにつながっています。


ペデルセンのこうしたテクニックは、他の楽器との高速ユニゾン(同一フレーズを同時に弾く)が可能です。
ピアノやギターのように容易に素早いフレーズを演奏できる楽器と、全く同じ速度で、
軽々と弾きこなしてしまうのです。
場合によってはギタリストよりも正確なプレーを聴かせることがあります。

この高速ユニゾンは、ピアノのオスカー・ピーターソンとの共演で多くの演奏が残されていますが、
同じように気心の知れたギタリストのジョー・パスとの演奏もたくさんあります。


ペデルセンとパスのデュオは、前回と同じ顔合わせですね。
今日はこの二人の動画を2本、「ギターとベースの高速ユニゾンメロディー」に絞ってお送りします。


最初の曲目は「Move」
冒頭部のユニゾンがカットされている動画なのですが、
ソロ交換が終わった後のメインテーマで高速ユニゾンを聴くことができます。



お次は、マイルス・デイヴィス作曲の有名な曲「Donna Lee」です。
この二人組の十八番ともいうべきチューンです。



このように素早くベースを弾くだけでも大変なことですが、
彼の演奏は早いだけでなく、滑らかで淀みが無く、音も粒が揃っていますね。



これほどのテクニックを持っていたペデルセンでも、一時期は精神的スランプがありました。

ある時、どうしてもベースを弾くことがイヤになってしまい、
仕事を全部キャンセルして、2ヶ月ほど全く楽器に触れないで過ごしたそうです。

すると、ある日突然目が覚めたように感じて、ふと楽器を弾いてみたら、
生まれて初めて自分自身が満足できる演奏が可能になったということです。

だから、古い録音の中には、自分が全然満足していない、大嫌いな演奏もあったのだそうで。

ここまで弾ける人なんて、それだけでも羨ましい話なのですが、
そんな彼でも自分のフレージング(おそらくアドリブ演奏部分)に限界を感じていたみたいです。


次回はベースの華麗な高音域プレーを紹介します。

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ウッドベースの魅力1

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ジャズという音楽にも様々なビート、様々なフォーマットがあります。
しかし、普段ジャズを聴かない人でも「ジャズ」という言葉から最も連想しやすいのは、
ウッドベースによる4ビートではないかと思います。

ジャズユニットにおいて、視覚的にも大きくアピールしてくるコントラバス。
ドラムスやジャズギター(エレキ)のようなポピュラー系の楽器の中にあって、
ひどくクラシカルなフォルム、ニス塗り木製の大きな胴体、f字孔、フレットの無いネック。


基本的なジャズ音楽のリズムの根底を作り出しているのが、
同一音をほとんど連打せず、流れるようなラインを奏でる「ウォーキングベース」
ジャズサウンドの最もジャズらしい部分であるといえますね。



その昔の、ジャズの最も初期の形態といわれるマーチングバンドでは、
歩きながらの演奏ですから、当然のことながらウッドベースなど使えませんでした。
マーチングバンドでは、低音部は主にチューバが使われていました。

行進せずにステージでダンス音楽などとして演奏されるようになり、
チューバよりも大きな音で低音を出せるコントラバスが使われるようになりましたが、
当初はクラシックのように弓で弾くボウイング(bowing)が基本でした。
弓で弾くと大きな音が出せますが、指で引くピチカート(PIZZICATO)では、
当時の大編成のビッグバンドにおいては太鼓やラッパの音に掻き消されてしまうのでした。
マイクの集音性能や指向性も現在より格段に低かったので、
ナマ音で充分な音量を出して聴衆に伝える必要があったのです。


しかしその後、よりハッキリしたビート感覚を低音楽器で表現したいと考えられるようになり、
ベースは指で弾くのが主流になってゆきました。
弓弾きではどうしても音の取っ掛かりがモワッとなってしまい、アタック感が無いのです。
中指と人差し指の二本を使って「ボン、ボン」と強く弾くことにより、
アタック感のあるビートが表現できるようになりました。

それでもビッグバンドなどではやはりベースの音があまり目立ちませんでしたが、
その後ジャズの主流はビッグバンドからコンボ(少人数編成)へと移り変わり、
相対的にベースの音も目立ち、且つ重要な位置を占めるようになってゆきます。
これはだいたい1940年代前半からのことです……

その後、ウッドベース用のピックアップが開発されてゆき、
弦の振動や楽器胴体の共鳴をしっかり拾ってスピーカーに流せるようになり、
ライブ・録音ともに高音質で聞き取りやすいベースサウンドが得られるようになってゆきました。


アフロビートやボサノヴァなど、ウォーキングベースとは違ったリズムをとる曲もたくさんありますが、
やはり4ビートウォーキングこそがジャズのベースの基本です。




ゆったりしたミディアムテンポの陽気なデュオを紹介します。
メロウな音色のジャズギターと、ウッドベースのコラボです。

モダンジャズ初期の偉大なベーシストに数えられるオスカー・ペティフォードの作曲による、
「Tricrotism」という曲です。
いかにもビ・バップらしいトリッキーなテーマ部分をユニゾンで奏で、
ギターソロ・ベースソロへと入ってゆきます。



(音量が非常に小さい動画なので、PCやスピーカーのほうで音量をグンと上げて下さい)



ベーシスト紹介。
16歳でバド・パウエルと共演以来、世界トップクラスの超絶技巧派として名を馳せた、
デンマーク出身のベーシスト、ニールス・ペデルセン(Niels-Henning Ørsted Pedersen/1946〜2005)。
日本音で読むとニールス・ヘニング・エルステッド・ペデルセンとなりますが、
一般にはNHØPと略されることが多いですね。
1960年代に渡欧したアメリカ人ミュージシャン達と共演を重ね、
70年からはオスカー・ピーターソン(pf)のトリオでの圧倒的演奏で名声を不動のものとし、
晩年はケニー・ドリュー(pf)とのコンビでも非常によく知られた人です。
ギターのピッキング並みの超高速ピチカート(彼は薬指まで駆使する)と、
ハイポジションでの非常に正確な音程が持ち味です。
惜しくも2005年に亡くなりましたが、彼ほどの正確なテクニックを持ったベーシストは、
現在ではブライアン・ブロンバーグぐらいしかいないでしょう。
(ブロンバーグについては後日動画を紹介します)


ギタリスト紹介。
ジャズギタリストの中で私が最も好きなジョー・パス(Joe Pass/1929〜1994)。
安定した円熟のテクニックと、流麗でコクのあるアドリブフレージング。
彼は若い頃に麻薬禍に陥って更生施設に入りますが、そこで結成したバンドでギターの腕を上げ、
その後の活躍でジャズギターのヴァーチュオーゾ(巨匠)と称されるほどの域に達しました。
ペデルセンと同じく70年代からはオスカー・ピーターソン・トリオで活躍。
素晴らしい演奏技術を持ちながらも、聴くべきは技術よりもその音楽性です。
こんなによく歌うギターはなかなか聴けません☆
真のインプロヴァイザーといえましょう。
1994年、私はこの人の日本公演を聴く予定でチケットも買っていたんですが、
来日直前に亡くなってしまいました(T_T)
(ケニー・ドリューも私が聴きに行く予定だった時に死去)
でも、パスの代役ギタリストとしてケニー・バレルが急遽来日し、
素晴らしい演奏を聞かせてくれたのでした……



注目していただきたいのは、音楽性やテクニックもそうですが、
目線をやり取りしながらの、楽しげで余裕のある演奏風景です。
ピーターソン・トリオでの同僚でもあったこの二人は、ピーターソン抜きでも頻繁に共演。
相手のアドリブの盛り上がりに迅速に反応できる耳の良さが必要なのがジャズという音楽ですが、
各楽器を極めた巨匠達の、気心知れた和やかな雰囲気の演奏が素晴らしいのです。
やってる事は凄いのに、それをサラリとこなす事によってリラックスした雰囲気を漂よわせています。
他の音楽ジャンルではなかなか楽しめない部分ですね



ロック・ポップスやフュージョンで、エレキベースで目の覚めるようなチョッパー奏法をやるのも良いんですが、
フレットの無いウッドベースという楽器では、奏者はネックを全く見ません。
(見ても印がついてるワケではありませんので、見ても意味がありません)
必死にネックを見ながら演奏する弦楽器よりも、ほとんど目を閉じて一心不乱に演奏する弦楽器のほうが、
見た目にもすごくカッコいいものですね(笑)

もちろん、それで音程が激しく狂っていたら幻滅してしまうところですが、
このペデルセンというベーシストは非常に音程がいいのが特長です。
しかし、この動画ではペデルセンは顔を若干赤らめていますね。
おそらく少し酒が入ってるんだと思います(笑)
それで、ソロの3・4ヶ所ほどで音程が甘くなっていますが、
4分04秒〜4分09秒付近では圧倒的な超高速フレーズを披露しています!(;;゚д゚)ヒェ〜



いかがでしょうか?
「ウッドベースって何だか、ボンボンと必死に弾いてる鈍重な楽器」
というイメージをお持ちの方も多かったと思われますが、
こんなふうに速いパッセージを軽々とこなしてしまうベーシストも存在するんですよ(^_^)
もちろん、こうしたベースのテクニックが開花したのは、
軽めのピチカートでもしっかり音を拾ってくれるウッドベース用ピックアップが発達したこともあります。
(さすがにナマ音だと聞き取りにくいでしょうね……ペデルセンの奏法だと)

また逆に、この映像を見て「ジャズベーシストって、みんなこんなに超絶技巧なの!?」と思わないコト!!
ここまで弾ける人は、ジャズ界でも稀な存在なのです(苦笑)



次回もペデルセンにスポットを当ててみますね。

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ビル・エヴァンス1

20世紀最大のロマンティスト ビル・エヴァンス


1940年代終盤以降、当時のモダンジャズピアニストのほぼ全ては、
バド・パウエルのプレースタイルの影響を受けまくっていました。
素早く軽快な右手のフレージングと、パーカッシヴな左手のコード・バッキング。
リーダーのピアノを全面的に立てるように、ベースやドラムスはサポートに徹します。


しかし50年代終盤にビル・エヴァンスのトリオが出したアルバム「Portrait In Jazz」は、
ジャズファンのみならず、多くの本職ジャズピアニストに決定的な衝撃を与えました。
左手と右手で立体的・有機的に組み立てられた印象的なハーモニー、
ピアノ・ベース・ドラムスが対等の立場で互いのアドリブを触発してゆく「インタープレイ」の手法。
ピアニストだけでなく、ギタリストなどの他の楽器奏者にも、
エヴァンスの音楽性に多大な影響を受けた人が少なくありません。


彼が紡ぎ出す和音は、それまでのどのピアニストも使わなかったような独特のテンションノートを持ち、
半音重ねの「うなり」さえも美しく響かせてしまう、驚くべきものでした。
演奏しつくされたスタンダードにも新鮮なリハーモナイズを施して新たな魅力を付加してゆきました。
当時の他のプロのピアニストの中にも、彼のライブに行って、ピアノの手元の見える席に陣取り、
「一体どうやったらあんな音が出せるのか」と必死に研究しようとする者さえいたそうです。

もちろん、確固たるテクニックを持ち、パウエルのようなスタイルでの演奏もこなせる人でした。
彼のファーストアルバム「New Jazz Conceptions」を聴いてみると、
かなり高速で力強いビ・バップスタイルでの快演といった印象です。


彼はワルツタイムの曲も好んで演奏しました。
有名な自作曲「Waltz For Debby」のほか、アール・ジンダース作曲の美しいワルツ曲にも名演が多いです。


今日はこのジンダースの作曲による「Elsa」を紹介します。

ベーシストにスコット・ラファロを起用した名盤「Explorations」にエヴァンスの最初の吹き込みがあり、
ベーシストがチャック・イスラエルに代わったあとのアルバム「Trio '65」や、
さらにベーシストがエディ・ゴメスになった後にも録音を繰り返しており、
いかにエヴァンスがこの曲を好んでいたかがわかります。

この1965年の映像は、アメリカではなくイギリス・ロンドンです。
当時のイギリスではジャズのTV番組があり、本場アメリカから次々と大物を呼び寄せていました。
これもその収録の一つです。



美しい────
ひたすらに美しい曲、そして美しい演奏です。


ピアノ:ビル・エヴァンス
ベース:チャック・イスラエル
ドラムス:ラリー・バンカー


普段ジャズを聴かないロックやポップスのファンでも、
エヴァンスだけは例外的に聴くという人が多いのです。
さらに、クラシック音楽家の中にもジャズ好きはたくさんいますが、
中でも一番人気があるのがこのビル・エヴァンスです。
「エヴァンスを聴いてジャズにのめりこんだ」というクラシック奏者は数多いです。
音楽界のみならず、他の芸術分野である画家や彫刻家、そして文壇にいたるまで、
エヴァンスのファンが数多く存在します。

彼らは、一体エヴァンスのどの部分に呼応したのでしょうか?
それはおそらく、単に演奏スタイルや心地よいサウンドではなく、
彼の音楽の持つ無二のロマンティシズムそのものに呼応・共感しているのではないでしょうか。

今日紹介した「Elsa」は、かなり内省的で静かな演奏ですが、
明るいテーマを持ったインテンポの曲やスタンダードも、絶妙の解釈で演奏します。
しかし共通しているのは、彼が「ピアノという楽器そのものを美しく響かせる天才」だということです。

エヴァンスのリリカルなプレー、今後少しづつ紹介してゆく予定です。

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