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生きるということ
***再会***
美少年から美青年に変貌を遂げたF4と滋、桜子、優紀、和也が久し振りに
道明寺邸に集まっていた。何故かそこにはつくしの姿はなかった。
西門総二朗は松岡優紀、美作あきらは大河原滋、青池和也は三条桜子と
それぞれ結婚していた。
「あの頃俺たち若かったよな。」
感慨深げに司が呟いた。
「なんだよ。じじくさいセリフだな。」
総二朗辛気臭そうに言った。
「そうそう。俺たちまだ三十代なんだぜ。」
マダムキラーを卒業したあきらも続けて言った。
「僕なんか年相応に見られた事なんか一度もないんだよ。」
おこちゃま丸出しの和也も口をはさんだ。
「私たちますますいい女になったでしょう?」
いたずらっぽく艶めかしいポーズで滋も話に加わる。
「私なんか結婚しててもモテモテで困っちゃうくらいなんですから。」
小悪魔的な微笑を浮かべる桜子。
「その外面にバカな男どもは騙されるんだよ。下手に近づこうもんなら
螳螂のオスみたいに食われんのも知らないで。」
「美作さん、それひどいですよ。」
高等部時代のようにたわいない会話が飛び交う中、司と類は少し冷めたような瞳で
無言だった。まるで二人だけが別世界にいるような雰囲気が漂っていた。
「桜子をいじめたら僕が許さないぞ。」
和也があきらにくってかかる。
「おまえも大変だな。桜子は一筋縄じゃいかないし。」
「そ、そんな事ないよ。桜子だってちょっとは優しいとこもあるし。」
「ちょっとって何?」
「いや、その・・。」
桜子のつっこまれて和也は言葉に詰まる。
「和也さんなんかもう知らない!」
膨れた顔で桜子はそっぽを向いてしまった。
「そんな事言わないでよ。ねっ!」
取り繕うのに必死な和也の様子に周りは噴出して笑い声が上がった。
しかし笑いが消えるとみんな押し黙ってしまった。
ここにいるすべての者が何かに耐えていた。このメンバーが揃うと
あの悲しい出来事をどうしても思い出してしまう。
総二朗はそれに向けさせまいとおどけるように優紀に話し掛けた。
「あんまりうるさすぎて驚いたの?優紀ちゃん。」
優紀は少し顔を赤らめて返事に困った様子だ。
「自分の嫁さんくどいてどうすんだよ。」
呆れたようにあきらが言った。
さすがはナンパ師として名を馳せた総二朗だけのことはあるとみんなは思った。
「しかし信じられねぇよな。結婚したとたん愛妻家に変身するなんてな。」
「そういうおまえこそマダムキラー返上して滋と一緒になったくせに。」
「だってよ、俺より十才年上ってちょっとヤバくねぇか。」
「うーん。まぁそれは言えるな。」
「類は相変わらずだけど司は昔みたいに暴れねェし。」
少し物足りなさそうな顔のあきら。
「でもよ、あの頃しかできねぇ事ってあったよな。」
思うままに突っ走れたあの頃。すべてが輝いていた。終わりなど無いと
信じられた良き時代。そんな素晴らしい青春を与えてくれた
牧野つくしを彼らは思い出していた。
「俺たちあいつに会わなきゃ別の人生を歩いてただろうな。」
「あんな女二人といねぇよな。」
「司と類が取り合って大変だった。F4は分裂しそうになるし、二人を
退学にさせるって司は言い出すし。」
「俺らいつもとばっちりでえらい目に遭うし、本当いい迷惑だった。」
嵐のような日々を思い出しながら大きくため息をついた。
「あきらだって牧野に惚れてたくせに。」
「な、なんだよ。」
総二朗に図星を突かれてあきらは少し顔が赤くなった。
「俺はなんとなくわかってたけどこれ以上話をややこしくしたくなかったし、
一人の女を三人で取り合うなんてマジ笑えねぇしな。」
「俺の場合、惚れてたって言うよりあいつの底抜けの明るさに憧れてたってのが、
正しいかもな。あいつの明るさに大分救われたにも事実だし。」
「そうだな。あいつには色々教えられたよな。一生懸命なんてダセェって
思ってたのにいつも真剣でひたむきなあいつ見てたら結構いいじゃんって
思ったりしてよ。何でもかんでも一人でしょいこんでそれでも平気な顔して
笑ってたよな。こいつってすげぇーなって思った。」
「あいつは俺たちF4とたった一人で戦い抜いた女だぜ。」
「司が唯一惚れた女だけはあるよな。」
「総二朗、おまえ女をくどく時よく使ってた言葉あったよな。」
「一期一会か?」
「ああ、それだ。俺の一期一会はあいつだと思う。」
司は遥か彼方にある愛おしいものでも見るような優しい眼差しで呟いた。
昔の荒々しい面影はどこにもなかった。司を変えたのは紛れもなくつくしだった。
ここに居る誰もがそれがわかっていた。
「おまえを変えたのは牧野だな。」
「俺は呆れるほどガキだった。今思うと笑えるくらいガキでどんな物だって
手に入ると思ってた。だけどあいつは俺が道明寺だろうと特別扱いしなかった。
俺は戸惑った。今までそんな奴に会った事もなかったからな。あいつの強い瞳に
俺は惹かれて、魂がすさぶられた。他には何も見えなかった。」
「おまえ牧野にベタ惚れだったもんな。」
「あいつに対する想いは変わってない。いや、あの頃よりもっと惚れてるよ。」
誰もその後の言葉が出てこない。司は独り言のように話し始めた。
「あいつの会わなきゃ何の疑問も持たずに親の引いたレールの上を歩いてたな。
だけどそれじゃ今の俺はいなかった。人間として大切な事を知らないまま
親の跡を継いでも失敗していた。人の心がわからなくては人は使えねぇ。
権力で抑えつけても誰もついて来ない。」
「俺もそう思う。牧野は思いあがってた俺たちに体を張って何が大切かを
教えてくれたんだ。」
「俺たちは譲られたものを守っていく義務と下で働く者たちの生活を
守る責任がある。昔の俺じゃそんな事わからなかっただろうし、出来なかった。」
「おまえたちには話した事なかったけど、俺は一種の諦めみたいなもんがあって
今が楽しけりゃいいって思ってた。家は外面は平穏を装ってたけど内側は
ぐちゃぐちゃで正直たまらなく嫌だった。だけど家から離れる事も逃げる事も
出来なかった。だから家を出る決心までして一途に一人の女を想う司が少しだけ
羨ましかった。」
「俺たちみんな同じ生き方を定められていた。」
「なんとなくわかってても気づかないフリして仕方ないって諦めていた。
それが一番簡単だったし。」
「だけどあいつに会ってどうにもならない事なんて絶対ないって思い知らされた。
自分が諦めてしまわない限りなんとかなるんだって。」
「類、おまえまだ牧野の事を・・。」
司を気にしながら聞いた。
「ああ、好きだよ。多分一生ふっきれないと思う。俺って執念深いほうだしね。」
いたずらっぽく笑う類の顔にみんなは胸が痛んだ。
類ははっきりと言いきった。あきらは司が怒り出さないか心配そうに見ていた。
二人は幼い頃からの親友であり、つくしに対してはライバルだった。
「あきら、俺はもうガキじゃねぇよ。」
司はあきらの心配を察したように言った。司は悲しげな瞳で類を見た。
−こいつも俺と同じ悲しみを背負って生きている。−
「一生賭けた恋か?だけどもう叶う事はない。それでも、いいのか?」
言いにくそうにあきらは聞いた。
類は微笑ながら答えた。
「人は思い出だけじゃ生きられないって言うけど俺はそうは思わない。
人が人を想う気持ちはたとえ相手がいなくなっても消えない。この想いがある限り
誰かと結婚してもうまくいかないと思う。自己満足だと言われてもいい!自分が
報われないとも思わない。牧野はそれに見合うだけのものを俺にくれた。それで
充分だ。」
「牧野ってマジすげぇーよ。こんないい男四人も翻弄させるなんて。そんな女
世界中どこ探してもいねぇよ。」
呆れるようにあきらは言った。
「あいつ走りすぎたんだ。激しく生きすぎた。」
司は体を震わせながら辛そうに言った。
「類はともかく司、おまえは立場上いつまでも一人って訳にはいかないだろう?」
「俺も類と同じ考えだ。あいつ以外の女に興味はない。それに・・・」
丁度その時ノックの音がしてドアが開いた。
「若旦那様、お客様がお見えです。」
メイドが来客を伝えた。
「今日はダチの集まりだ。丁重に断わってくれ。」
「あの・・」
メイドは困惑した様子で立ち尽くしていた。
「どうした?」
「・・牧野様ですが・・」
その名前を聞いたとたんすべての視線がメイドに注がれた。
「今なんて言った!?」
司のあまりの剣幕にメイドは震えていた。
「ま、牧野進様がおいでです。」
「進が!?」
−どうして今になって俺の前に現れる。−
しばらくするとメイドに案内されて進は部屋に通された。
辺りに緊張が走る。これからの展開にここに居る者たちは固唾を呑んだ。
「お久しぶりです、道明寺さん。みなさんもご無沙汰しています。」
司より三歳程年下のはずなのに大人びてというより老けて見えた。その姿は
やつれた様子で疲れ果てていた。
「俺を恨んでいるか?」
この五年、進に会って一番聞きたかった問いだった。
進は答えず、ただ首を横に振った。
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すごいですね〜☆ひきつけられる^^
2005/12/23(金) 午前 8:37
魔夜さん読んでくださったのですか? ありがとうございます! これは一年近く前に 某サイトさんに投稿させて頂いた二次小説です。 完結してるものですが こちらにはその一部だけ載せています。
2005/12/23(金) 午前 9:43
小説とかあまり読まないけど…むちゅうになって読みました^^
2005/12/23(金) 午後 2:27
本当ですか!? ありがとうございます!!
2005/12/23(金) 午後 2:31
はじめまして。
花より男子が大好きで、お気に入り登録させて頂きました。
2014/8/14(木) 午後 10:59 [ may*_*ith_*ut*dogs ]