* 安住 千聖 お気楽生活 *

ヤフーブログさん、お世話になりました

ブレイク スルー

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3連作の1作目

登場人物
ティアーズメンバー
山内 昌也・・・ベース       ちょっと打たれ弱い 24才
野村 才三・・・ギター        案外冷静なリーダー 24才
武田 俊明・・・ドラム        まっすぐでアツイ  22才
佐々原 玲・・・キーボード      お茶目な頭脳派   21才
小島 和彦・・・マネージャー     仕事はガッツリ   34才

高野 七海・・・ニットデザイナー   恋に戸惑う    35才


ベースの 山内昌也君が、デザイナーの 高野七海さんと出会い、恋をしました。
芸能人の彼と、11才年上バツイチ子持ちの彼女の 恋の行方は?
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あとがき

 この話は8年ぐらい前、バンドにハマっていた頃に書きました。

 それを現在に置き換えながら書くのは、けっこうシンドかったです。

 バンドブームは去って、パソコンやケータイがこんなに普及し、世の中や、言葉の使われ方まで

 変わってしまいましたもの……。


 ティアーズと七海さんの話は、もう少し続きます。 
 
 読んでいただければ、幸いです。                        アズ



 1話は ここから どうぞ  http://blogs.yahoo.co.jp/amimono1226/8956049.html

「オレの連れや。ええとこに来たな、小島ちゃん。オレら今話し合ってな、事務所との
次の契約、更新せんことにしたわ。全員一致や」
「ティアーズは来年イッパイで解散だね」
 玲が冷めた口調で言った。

「お前ら、何勝手な事言ってんだ。再来年はデビュー7周年で、もうスケジュールは
埋まってるんだぞ」
「再来年の契約まではしてないがな。来年末には、契約が切れんねや」

「昌也、お前だな、言いだしっぺは。あの女の事、根に持ってるんだろ?」
「先生の事、あの女なんて言わないで下さい」
「部外者は出て行ってくれ」
「部外者だから分かる事もあるんですっ。ティアーズは、みんなは、この頃疲れてるんじゃ
ないかって、ファンは心配してます」

 タケが小島の前に立った。
「去年アイドルの藤田さやかが、できちゃった結婚で引退してからだよね」
「何の話だ?」
「さやかとティアーズは、事務所の稼ぎ頭やからな。さやかが抜けた後は、収入は
ガタ落ちやろ?」
「その分オレたちをガンガン働かせて、収入を確保しようって、ミエミエだよ」
 玲とタケは顔を見合わせた。
「おまけにまた、恋愛で問題を起こされたら困るからだろ?プライベートにまでいちいち
口出すようになったのは」
「せやな。事務所存亡の危機やもんな」

 小島はハンカチで汗を拭きながら言った。
「そんな事はない。だいたい誰のおかげでここまで売れたと思ってるんだ?」
「売れた代わりに、大事なものを見失った気がする」
 昌也が静かに話し出した。
「確かに事務所には世話になったよ。ティアーズは売れるまでがけっこう長かったからね。
だから、小島ちゃんがどんな仕事を取って来ても、オレたちキッチリやってきた。
でも、ティアーズはバンドなんだ」

「オレはバラエティーに出るよりは、ドラムを叩いていたいんだよね。大きなホールで
やるのもいいけど、昔みたいにライブハウスでファンと一体になりたいだ」
「せやな。人気や事務所を守るために、自分を殺して、色んなもん諦めるような生き方は
まっぴらやねん」
「たとえ商品だとしてもね、商品にもココロはあるんだよ」

「あのー、ティアーズ、解散しちゃうんですか?嫌です、そんなの」
 祥子が心配そうに言った。
「あと1年あるがな。みんなでガンガン突っ走って完全燃焼や」
「今日のライブで、発表しちゃおうか?」

「待ってくれ。今までの待遇は改善する。ギャラもアップするから、冗談はやめてくれ」
 青い顔をして小島が言った。
「明日、社長も含めて話し合おう。なっ、不満をみんなぶちまけてくれ」

「おっと、4時半や。みんな、リハ行くで」
「オッス」
「ねえ、アンコールであの曲やらない?アルバムに入れられなかった……」
「ブレイク スルー?」
「そっ。才三、歌詞覚えてる?」
「ボケ、誰が歌詞書いたと思ってんねん。しっかり頭に入ってるがな」
「コード進行覚えてるから、何とかなるよ」

「祥子ちゃんも、客席で見てれば?」
「昌也さん、七海先生は?」
「聞いてたでしょ?もう何も心配はないよ。明日会いに行って、ちゃんと言うよ。
――結婚を前提にお付き合いして下さいって」
「うわー、先生の事、よろしくお願いします」

「昌也、七海さんに電話すれば?」
 玲がケータイを放った。
「サンキュ」

「おい、みんな。才三、玲、待ってくれよ。なっ、昌也、タケも話を聞いてくれ」

「さーあ、今日もバリバリ行くでぇ。スタッフさーん、よろしくなあ」

 開演2時間前。ティアーズの4人はステージに向かって走り出した。

                                       END




     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  

               登場人物  プロフィール

     小島 和彦(34) 1973・3・27生 おひつじ座 AB型

     群馬県前橋市出身。ティアーズのマネージャー担当。独身。
     学生時代はバンドを組んでいたが解散。プロデューサーになるのが夢だった。
     性格は、お人好しで、やり手で、うっかり者でよく分からない。
     愛車・・・白のウイングロード 1・5 15RXエアロ(CTV)

     8  現状突破


 11月末  東京国際フォーラム  ティアーズ追加公演
 
 関係者出入り口

「あのー、上岡と申しますが、才三さんにコレ、いただいたんです。お会いできますか?」
 祥子はスタッフに、バックステージパスを見せた。

「えーと、事務所から、誰も通すなって 言われてるんですよ……」
「絶対来てくれって、言われたんですっ。お願いします」
「でも、今は 打ち合わせ中なので……」

「何? どうしたの」
「ああ、玲さん。こちらの方が……」
「あっ、それ才三の。君、もしかして、カニ作った人?」
「そうです。どうしても 才三さんにお会いしたくて」
「いいよ。こっち、早く」
「玲さん、小島さんに 怒られますよ」

 スタッフを無視して、玲は機材の間を すり抜けて行く。
 才三と書いてあるドアを開けた。
 
「何や、ノックもなしで。驚くがな」
「才三、祥子ちゃん。ほら、カニ作ってくれた子」
「ハジメマシテ。上岡祥子です。ライブ前にスミマセン」
「ああ、才三ですぅ。カニ、サンキュな。よう来てくれたね」

 祥子は、緊張を振り払うように 頭を振った。
「才三さんになら、七海先生の事を 相談できるんじゃないかって 思ったんです」
「七海ちゃんに頼まれて 来たん?」
「いえ。私が 勝手に 来てしまったんですけど……」
「玲、タケと昌也を 連れて来たって」
「ラ ジャー」
 玲は 楽屋を飛び出して行った。

「祥子ちゃんも、おせっかいやね」
「そうですね。でも、放っておけないんです。恋愛はコリゴリ――って言ってた先生が、
やっと心を動かす相手に 出会えたのに……」

「おじゃましまーす」
 タケと昌也、玲が入って来た。
「よっしゃ、ライブ前の 緊急ミーティングや。テーマは 事務所の方針について、やな。
こっちは祥子ちゃん。七海ちゃんの事で、話があるんやて」
 祥子はみんなに頭を下げた。

「オレ、この前、小島さんに『商品』って言われて頭にきた。仕事だって、歌だ、ドラマだ、
バラエティだ、って節操無いし、おまけに プライベートまで干渉し過ぎ」
 玲は祥子を見ながら言った。

「あのー、第三者の私が 口をはさんで申し訳ありません。今回の事では 七海先生が
一方的に引かされたみたいで、納得が いかないんですけど……」
「七海ちゃん、落ち込んでるん?」
「いえ。昌也さんの事には、一切触れずに、仕事、ガンバッてます。見てて 辛いくらい。
昌也さんは、本当に これで良かったんですか?」

 昌也が大きく息を吸い込んで言った。
「みんな、オレ、あれからずっと考えてたんだけど、今入ってる仕事を 全部終わらせたら、
ティアーズをやめる。元々、去年ぐらいから 漠然と思ってたんだけど」

 楽屋がシンとなった。タケが笑いながら言った。
「昌也の事だから、そう言うと思ってた。オレも、今の事務所のやり方には ついて行けない。
彼女と別れろって言われて、小島さんを 殴りそうになったもん」


「おい、何やってんだ。リハーサル、4時からって言ったろう? 誰だ、この子?」
 不機嫌な顔で、小島が入って来た。



     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


               登場人物  プロフィール

     佐々原 玲(21) 1986・6・14生 ふたご座 A型
     
     東京都文京区出身。ティアーズのキーボード担当。
     T工業大学3年在学中。仕事と勉強の両立に悩む今日この頃。
     性格は、お茶目で頭脳派。才三への突っ込み役。ティアーズには3年前に加入。
     愛車・・・ベージュメタリックのハリアー 2・4 240G

 小島は一気に話すと、タバコに火をつけた。
「ティアーズは事務所にとって、大事な商品なんです。分かっていただけますね?」
「オレたち、商品なんかじゃないっ」
 玲がふくれっ面で言った。
「事務所と契約してる限り、商品だ。裏で億単位の金が動いてる。そういう世界にいるんだ、
お前たちは。もっと、自覚しろ」

 私は小島さんをぼんやり見ていた。
打ち合わせで2回しか会っていなかったが、どことなく影が薄かった。
でも、こういう問題が起こると、マネージャーとしての力を発揮するんだなと思った。

「分かりました。ティアーズのみなさんとは、もうお会いしません。約束します。
申し訳ありませんでした」
「待ってよ、そんな……」
「飛行機の時間がありますので、これで失礼します。急に押しかけて、すみませんでした」
 小島はそう言って席を立った。
「七海さん、昌也と話さなくていいの?」
「初めから続くはずないって思ってたもの。ごめんね、せっかくみんなが応援してくれたのに」

「玲っ、行くぞ」
 玄関先で小島が叫んだ。
「はーい」
「玲君、昌也にバカな事はしないでって、伝えてくれる?これからはファンとして応援するね」
「分かった。ゴメンね、役に立てなくて」
 玲は振り返りながら出て行った。

 そうだ、初めから分かっていた事だ。昌也とは何から何まで違い過ぎる。
 彼に守らなければならない世界があるように、私にも守るべき家族や生活がある。
 今なら、傷だって浅く済む。

 ピンポーン。
 身体が硬直した。小島さんが戻って来た?

「先生、七海先生」
 祥子だった。涙をふいて玄関へ行く。
「すみません、ちょっと分からない所があって……どうしたんですか?何かあったの?」
「うん。何でもない」

 例の記事が載ったFAXが、祥子の目にとまった。
「これ、先生と……昌也?ウソッ」
 祥子が私の顔を見た。
「ホントなんですか?この記事。ふたりは付き合ってるんですか?なんだ、話してくれればいいのに」
「話す間もなく終わったところ、たった今」
「えっ?」
「マネージャーが来て、スキャンダルは困るって。二度と会わないって約束した」

 涙がハラハラこぼれ落ちた。
「ごめん、祥子の顔見たら……何だかホッとしちゃって……」
「先生、昌也の事、好きなんですね……。いいんですか、諦めちゃって」
「……今まで通り、元の生活に戻るだけだもの」


 金曜日。『ZONE』にあの記事は載らなかった。
 良かった――という思いと、ああ、これで終わっちゃったんだなという寂しさが
胸いっぱいに広がった。
 私はまだ、暗闇の中だ。




     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

               登場人物  プロフィール

     武田 俊明(22) 1985・7・11生  かに座 O型
 
     埼玉県旧浦和市出身。ティアーズのドラム担当。
     高校の学園祭でドラムを叩いていたところを、小島にスカウトされる。
     性格は、気さくで平和主義。メンバーの調整役。
     愛車・・・濃紫(特注)の、シボレー トレイルブレイザー EXT LT

     7  スクープ


 3日後、小島さんから電話がきた。
「太田出版から、何か連絡がありましたか?」
「いえ……何でしょう?」
 
 急に話を切り出されて、戸惑った。
 小島さんはかなり焦っているようだ。
「撮られたんですよ、写真誌に。昌也と先生のツーショットが」
「えっ……」

 受話器を持つ手が、ブルブル震えた。
太田出版は、『ZONE』という写真誌を出していたっけ。
 昌也とのツーショットは、身に覚えがあった。
「今日そちらへ伺いますから。どこから連絡があっても、一切何もしゃべらないでください」

 どうやって授業を終わらせたか、覚えてない。
 電話を切った後もずっと、身体が小刻みに震えていた。


 アトリエにFAXが来ていた。

   
     『 年上キラー  ティアーズ 山内 昌也(24)
                    
                     仙台で過ごした熱い一夜
        
              今度の相手は バツイチ 子持ち 11才年上  』


 見出しが飛び込んできた。
 記事には、私が3年前に離婚している事や、9才の息子がいる事、先月昌也と
温泉に行った事まで書いてある。

 もう1枚には、朝、私のマンションからふたりで出て来る写真と、車の陰でキスしている
ところ、駅前で昌也が車を降りるところが写っていた。
 これを見て『仕事上の関係です』と言ったところで、誰が信じるだろう。
どう見ても、仲の良い恋人同士のツーショットだ。

 力が抜けて、その場にすわり込んだ。
 誰かにずっと見られ、つけられていたんだ。背中がゾクッとした。
 この記事が出たら、どうなるんだろう。


 ピンポーン。
 ドアを開けると、厳しい顔をした小島さんが立っていた。
「失礼します」
「どうぞ」
「七海さーん」
 玲が後ろから顔を出した。
「ついて来ちゃった。昌也の代わり」

 小島さんは、私がFAX用紙を持っているのを見て言った。
「目を通していただけましたか?昨夜、太田出版から打診がありました。
この記事を金曜発売の『ZONE』に載せていいかと。
高野先生と昌也が、こんな事になっているなんて、思ってもみませんでしたよっ」

「申し訳ありませんでした。軽はずみなまねをして……」
「別に、悪いことしてるワケじゃないじゃん。ふたりともいい大人なんだしさ。
それに、ティアーズ解散の危機だったんだよ」
「玲は黙ってろ。この記事が出たらどうなると思います?先生の所にも、
マスコミが来ますよ。簡単なんです、調べるのなんて。住所、名前、家族、過去。
週刊誌は、面白おかしく書くでしょうね。テレビ局も来るかもしれない」

 私は息を飲んだ。
テレビのワイドショーは、関係者の家族を追いかけ、実家にまで取材に行ったりする。
拓や両親に迷惑がかかる。
 それは昌也や事務所にも言える事だった。

「私は……どうすればいいですか?」
「今後一切、昌也及びティアーズのメンバーとかかわらないで下さい。
記事はこっちで何とか抑えますから」

「待ってよ。オレたち、恋愛もしちゃいけないの?冗談じゃない」
「昨日も言ったように、今スキャンダルは困るんだ。この前昌也が制作発表を
すっぽかしたおかげで、ティアーズは『Nテレビ出入り禁止』寸前なんだ。
あのプロデューサーを怒らせたのがまずかった……」 



     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

               登場人物  プロフィール

     野村 才三(24) 1983・4・17生  おひつじ座  A型

     大阪市阿倍野区出身。 ティアーズのギター、ボーカル担当。              
     17才で高校中退。小島に誘われて上京。ティアーズのメンバーになる。
     性格は、外見に似合わず洞察力が鋭く、義理人情にアツイ。
     愛車・・・なし 無免許 

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