* 安住 千聖 お気楽生活 *

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逃げ水を追いかけて

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登場人物

山内 昌也・・・ティアーズ解散後、ソロ、プロデュサ―として活動中
山内 七海・・・昌也と再婚後、女児を出産 夫の行動に不審感がある
高野  拓・・・七海と前夫の間に 生まれた子 母の旧姓を 名乗っている
山内 ひな子・・七海と昌也の間に 生まれた子


レイナ  ・・・昌也がプロデュースしている シンガーの卵 15才

中沢 修平・・・フリーライター 七海と一時期付き合っていた

五十嵐 悟・・・七海の 前夫 拓の父親


野村 才三・・・ティアーズ解散後 現在は プー
佐々原 玲・・・米国留学から帰国 昌也や才三が気になっている
小島 和彦・・・ティアーズの元マネージャー。独立して プロダクションを設立


「ティアーズ」解散後、結婚した 昌也君と七海さん。
二人の間には 女の子も 生まれたのですが、また 色々 問題が起きているようです。

「ブレイク スルー」「選び出した記憶たち」に続く 3連作の完結編。

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あとがき

三部作の 最終話です。


「ブレイクスルー」は 恋愛期の ハラハラドキドキを、

「選び出した記憶たち」は 付き合って行くうちに 出会う 過去や現実を、

「逃げ水を追いかけて」は 結婚してからの 心の移り変わりを 書いてきました。



登場人物には これからも 色々な事が 起きるでしょう。

でも 愛する人や 家族 守るべきもの、優しい時間や 好きな場所・・・

自分を 支えてくれるものがあれば 乗り越えて 行けると思います。



最後まで 読んでくださいまして ありがとうございました。

                                              アズ

  11  オマケ


「アタシな、来月で16に なんねんけど、もう 結婚できる 年やんか。結婚したらな
16でも17でも 淫行には ならへんねんて」
「結婚て、誰と誰が? 」
「アタシと玲に 決まってるやん」
「はっ、笑えねぇ 冗談」

 レイナは 玲の机に もたれかかりながら 続けた。
「いっぺん エッチしたらな、アタシのこと 好きになるかもしれへんし、それであかんかったら
諦めも つくやんか」
「絶対あり得ない! オレは そんな気ないって 前にも言ったよね」
「1回くらい ええやん。玲の ケチ」

「おまえらなぁ、夫婦漫才で デビューしたら ええんちゃうの? レイで〜す! レイナで〜す! 
―― 名前も 丁度ええしな」
 才三が うんざりしたように言った。
「小島さん、オレやっぱり このプロジェクト 降りるよ。初めっから 乗らなかったし」
「玲がやめるんやったら アタシも 歌わな〜い」

 窓際で 書類を探していた 小島が顔を上げた。
「おいおい、ちゃんと 契約したんだから、責任もって やってくれよ。こっちも 爆弾つかまされて
生きるか死ぬか ってところまで 来てるんだからなっ」
「爆弾って 何やのん? アタシかて こんなショボイ事務所 嫌やったのに」
「どっこも 引き受けて くれなかったんだから、仕方ないだろ。玲、一発当てて
大儲け してくれよ」


 玲が 暗い顔をして 振り向いた。
「才三、何とか 言ってよ」
「オレはただの アシスタントやからな〜。あん時、昌也の 気迫に負けて レイナのプロデュースを
引き受けた お前がアホや」
「魔がさしたんだ。オレがうんて言えば、昌也と七海さんが 元に戻れるような 気になって …… 」

 才三は 大きく背伸びしながら 言った。
「元に戻ったから ええんちゃうの? 玲 様様やんけ」
「そっちは 良かったんだけど ……。 才三こそ 七海さんは 諦めたのかよ」
「本人が幸せなら それで ええねん。まっ、この先 いくらでも チャンスはあるがな」

「七海って 誰やのん? 昌也の 奥さん? 」
「そう」
「チラッと 写真見ただけやけど、フツーのオバハンやん。才三も 好きやったん? 」
「オレは 応援団長やねん」
「まあ 痛いトコある男は 弱いかもしれへんな、あーゆー オバハンは」
「痛いトコねえ …… 」
 玲は チラッと 才三を見た。

「それより うちらのことや。いい男と ちゃんとした 恋愛しろって言うたのは 玲やん」
「あのなあ ひとつ聞かせたって。こんなお子ちゃま玲の どこがええねん? 」
「スレてなくて 可愛いとこと、アタシに 興味がないとこ」
「あー、アホくさっ! ほいで、この先 どないしましょう? 佐々原プロデューサー」
 玲は 肩を落として ため息をついた。


 こうして 2008年の秋も 深まっていくのでした。
    

                                            おしまい

 写真を見ながら 昌也が言った。
「ニューヨークへ行ったはずの 五十嵐さんが、どうして B国にいたと思う? 」
「さあ …… 」
「彼は NYで、子どもをテーマに 仕事をしてたらしい。そのうち ストリートチルドレンに
興味を持って 中南米に飛んで、次の取材先が B国だったんだ。同行してた人に 話が聞けてね、
その写真を 預かってきたんだ。パスポートに挟んで、いつも 持ち歩いてたって …… 」

 ああ、悟らしい。元々 ドキュメンタリー畑の 人だったから、昔も 世界中を 飛びまわってたっけ。

 この写真を撮ったのは 何年前だろう。
2才くらいの拓を 抱っこした悟と私が 笑顔で写っていた。
悟が こんな写真を 大切に持っていたとは 思いもしなかった ……。
捨ててしまった家族や、昔の暮らしが 懐かしかったのだろうか。
 鼻の奥が ツンと痛くなった。私は 俯いたまま 静かに泣いた。


「オレさ、時間なんて いっぱいあると思ってた。でも、愛する人たちに 別れを告げる時間も
機会も与えられず、最期を迎えることもあるんだ ―― っていう 事実を目の当たりにして
すごく ショックだった」
「突然だったから ……。ずっと またいつか会えるって 思ってたもの。拓は 辛かったでしょうね、
やっと 落ち着いてきたけど」

 昌也は すっと顔を上げた。
「オレ、レイナのプロデュース 降りたよ」
「えっ!? 」
「オレじゃあ 役不足って言うか 手に負えないし、もっと 適任者が いると思って。
それで 今後のこととか 色々な問題を 解決するのに、すっげえ 時間がかかったんだ」

 私は ぼうっと 話を聞いていた。
「やらなきゃならないことが 山のようにあった。でも、全部終わらせるまでは 家には帰らないって
決めたんだ。この数ヶ月の 自分も 清算したかった。―― 五十嵐さんのことがなかったら
こんな風には 思えなかったかもしれないな」
「私は ……、昌也が 怒ってるから 帰って来ないんだって 思ってた。どんな 結論を持って来ても
全部 受け入れるつもりで 待ってたの」


 昌也に 聞かなければならないことがある。
「許せるの? 私がしたこと …… 」
「どっちのしたことが どれだけ重いんだろう。ただ、一人になって 考えていたことは、
オレは ここへ 帰って来たかった。それだけなんだ」

 東の空が かすかに 白んできた。
「続けていけるかな、オレ達」
「続けていきたい、ずっと」
 窓を大きく開けて 空気を 胸いっぱいに 吸いこんだ。また 今日が 始まる。

 私は 持っていたグラスを ぼんやり見ながら言った。

「昌也が 私の前から いなくなったら どうしようって、ずっと 思ってたの。そうしたら
本当になっちゃうんだもん …… 」
 ビールの泡が 金色に 輝いている。

「たった2年しか もたなかったのは、私に 原因があるんだろうなって、ますます
自信が なくなっちゃった …… 」
 顔を上げて 昌也を見た。
「いくら考えても 答えなんか出なくて、息が 詰まりそうだった …… 」

「それで …… 中沢さんに? 」
「ほんの 気まぐれだったの。ある日 お昼から お酒飲んで、いないだろうなって思って 電話したら ……。
初めは 誰かに 聞いて欲しかった だけなの」

 誰でもよかった ―― と言うのは 本当だった。ただ まっ先に 浮かんだのが 中沢だっただけで。
「 ―― 会いに行ったら その先 どうなるかくらい、自分でも 分かっていたのよね」
 少し 窓を開けた。生ぬるい夜気が 頬に 心地よかった。


「あの日、私、振られちゃったの。もう 会えないって。まだ 戻れる場所に いるんだから、
昌也の所へ 戻りなさいって。私には 何も捨てて欲しくないって 言われた」
「ふっ、かなわねえな 中沢さんには。2年いっしょに暮らしてる オレより、ずっと 七海のことを
分かっているのかもな。―― 彼の方が いいんじゃないの? 」
 昌也が 私の背中に 語りかけた。

「いなくなっちゃった。どこへ行ったのか 分からない。今後一切、私には かかわらない ――
そう 決めたんだと思う」
 振り向きながら 続けた。 
「昌也、ずるいのは 私も同じ。満たされないものを 彼に 埋めてもらおうと 思ったけど、苦しかった」
「玲に言われたよ。七海を 追い詰めたのは オレだって。結婚て何だよっ! って聞かれて ……
答えられなかったな」

「玲君て 時々 すごいことを 言うよね。物事の 本質とか 核心とか、本能的に 言い当てちゃう」
「ああ 負けるよ、あいつには。そうだ ……」
 昌也は カバンの中から スケジュール帳を 取り出して、間に挟んである 写真を渡した。

 夜遅く 聞き覚えのある エンジン音が 家の前で止まった。ガレージの シャッターが 開く音がする。
 身体が 強ばった。昌也だ。話し合うために 帰って来たのだろう、きっと。

「ただいま」
「 …… お帰りなさい」
 1か月ぶりに 会った昌也は、無精ヒゲが伸びて 少しやつれて見えた。
私はまるで、裁判の判決を待つ 被告人のような 心境だった。
 
 昌也は 黙ったまま ひな子が 寝ている部屋に入り、寝顔を のぞき込んだ。
「ひな、ただいま。会いたかったよ」
 私は 昌也の 背中を見ていた。
「七海 …… オレ、離婚はしない」
「いいの? ―― それで」
「七海は 別れたいの? 」
 振り向いた 昌也に、黙って 首を横に振った。


「拓と一緒に B国に行ってる間、オレは ずっと考えていた。五十嵐さんの 遺体を見て、
正直 ビビったよ。あんなに やり手で 才能がある人も、ほんの 一瞬の出来事で 命を落として
しまうんだ。そう思うと 空しかった」 
 昌也は ふうっと ため息をついて 続けた。
「七海と 結婚する前に、ふたりを頼んだぞって 言われてたのに ―― 自分が 情けなかった。
五十嵐さんにすがって 泣き崩れる拓を、抱きしめることしか できなかったよ」

 私は 黙ったまま ビールが入ったグラスを 昌也の前に置いた。
「結婚してるのに 他の女性を 好きになって …… 家庭も 恋愛も、両方 捨てたくなかった。
ずるいよな、レイナに からかわれてるって、心のどこかで 分かってたのに …… 七海には
嫌な思いをさせて 本当に 悪かったと 思ってる」

 離婚はしない、そう言われて 気が抜けてしまった。私は ぼんやり 昌也の顔を見ていた。

「七海と 結婚してから、ずっと 思ってたことがある。一緒に暮らしてても どこか 上の空って
感じで、何を考えてるか 分からなかった …… 」
 指先が 震えた。昌也も 気づいていたんだ。
「私も、同じこと 考えてた。本心を ぶつけ合いたいって 思いながら、できなかったのは
私の方ね、きっと。―― 不安だったの。この結婚も いつか 終わりが 来るんじゃないかって
思ったら、つい 言葉を 飲み込んでしまってた」


 確かに 怖かったのだ。一度 離婚してるから、もう 失敗したくなかった。
「11才も 年上の私と 結婚して、後悔してるんじゃないかって どこかで 怯えてたの」
「後悔なんか してないけど ……。もっと 分かり合う 努力を すれば良かったって 思う」
 昌也は ビールを飲んで 続けた。 
「オレも 前の恋愛で ケンカばっかりしてたから、七海と ぶつかるのを 避けてたんだ」

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