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変な脅迫者・・・

 
 懸命に考える。
 しかし福沢諭吉が脳内で万華鏡のごとくグルグルと回り始めた。
 寄付でもする?・・・。
 いい事をしたという自己満足感に浸れるがいい人ぶった偽善の何物でもない。
 
 こんなことこれから先おそらくないだろう。
 一日で100万を使わなくてはいけない、要は使いたいのだ!
 
 わたしは部屋のどこかにある雑誌を探し始めた。
 もうかなり前のものだが目的は雑誌の後半を埋めている広告ページなので関係ない。
 苦労して発見した雑誌の後ろのページを真剣に見る。
 0120で始まる電話番号を探した。
 
 「はい、○○美容整形でございます」
 「すみません、今日二重にして女優さんがやってるコラーゲン注射とかしたいんですが!」
 「あの一度お見えになられて先生のカウンセリングをお受けになられてからになりますが」
 「今日中にそれと両方受けたいんです」
 「当院は予約制になっておりまして、まずカウンセリングで空いているのが来週の・・・」
 切った。
 美容整形は繁盛しているらしい、世の中不景気だというのに。
 試しにもう一ヶ所かけてみたが同じだった。
 美しく変身して新たな可能性を見つける人生にするのは無理なようだ。
 
 じゃあ、その他で「有効」にとは・・・また疲れてきた頭をフル回転させる。
 100万円で出来ること・・・。
 
 ふと、バイト先の居酒屋の店長、新ちゃんの顔が浮かんだ。
 店が忙しい、木・金・土のみずっと続けている店内スタッフのバイト。
 これでも忙しい時には他の新人に指示しながら、酔っ払いのおっちゃんは軽くいなし、
 注文したのまだという客には丁重に対応し、忙しい時にパニくる店内をちゃんと回す
 だけの技量はついて頼りにされているようだ。
 
 店が引けた後、しょっちゅう近くの立ち飲みでお疲れと一緒に飲む。
 一度、お前のアパート行って飲んじゃだめか?
 あっ!襲ったりしなから安心しろと笑って言われたが、この時わたしは店がどんなに忙しい
 時でも見せたことがないほど狼狽した。
 この汚い部屋に人、それも男を招き入れられるわけがない。
 わたしの凄いダメ、ダメ、ダメの連呼に新ちゃん困った顔してたっけ。
 
 自分が今へたり込んでいる周りをぐるっと見渡した。
 このアパートは築35年、出来た時は1K・・・6畳の和室に3畳ほどの台所、狭い風呂とトイレは別。
 外観は見苦しくなってくると手を入れてきたそうだが、私が入居する前に中を今風のワンルームに
 直したらしい。
 安っぽいがフローリングの床と狭い押し入れも中はそのままだが襖を木製の引き戸に変え天井も洋間
 らしくなっている。
 前のままじゃ女の学生さんでさえ見向きもされなくなって・・・ここを借りる時お世話になった不動産や
 が言っていた。
 
 外観は見栄えのしないアパートのままなので直してあってもこの辺りの相場よりかなり家賃は安い。
 まあ、だからこそ住み着いてしまったのだが。
 この今はキッチンとかろうじて呼べるところの他にはお粗末なパイプベッド以外の家具はない。
 しかし残りの空間は広くはない。
 そこに小さなテレビを乗っけているのは店でいらなくて貰ってきた踏み台・・・これって家具か?
 中にごちゃごちゃとしたものが入っている段ボールの上に大きなトレイを置きテーブル代わり。
 
 その周りには洗ったまま積んである(たたんであるではない)部屋着のTシャツやジャージ。
 缶ビールが6本入っていたプラのカゴに殆どしない必要最低限の化粧品&道具。
 その横にひとつずつトイレに持っていくのでトイレットペーパー、ティッシュの箱、
 脱いだままの服、お菓子、雑誌にタダでおいてある求人誌やタウン誌・・・。
 収納家具がないので全部床置きというか、要はばらまき状態。
 
 綺麗にするか・・・。
 これにはすこ〜しの打算があった。
 わたしだって一応女、新ちゃんは仕事の上司というより友達だったが淡い恋心がないと言ったら
 ウソになる。
 ただ、自分から告るなんてあり得ない。
 でも向うからもこのままじゃない・・・だろう。
 
 彼は今日非番だったはずだ。
 とりあえずこのゴミ同然のものをは片付けて、女の一人暮らしではありえない家具代わりのものも
 片付けて、部屋を模様替えしたいと買い物に付き合ってもらう。
 わたしが車を持っているわけもなく、彼に車を出してもらいたいと言っても変じゃないよね。
 しばらく逡巡したが、今日中というタイムリミットを考えてわたしはケータイを手にした。
 
 「おっ!いいよ〜、まぁ10分もありゃ家出れるから」
 「ありがと、でもねちょっとヤボ用があって12時じゃダメ?」
 「ふ〜〜ん、まぁいいけど、じゃ昼飯でも一緒に喰うか」
 新ちゃんは深くを聞かず何も不審にも思わずいたっていつもの通り、いやそれ以上に休みモードで
 明るくOKしてくれた。
 
 ゴミ袋を買いにコンビニへ走る。
 ついでに簡単な掃除道具も忘れず買ってきた。
 こんなに自分の部屋の中で働いたのはおそらく初めてと言っていいだろう。
 子供の頃から自分の部屋の片付けは苦手だったけど、家具とは言えない家具はもちろん古びた布団
 カバーやカーテンまで全て捨てる。
 捨てるものをビニール袋に詰め込めばいいのだ。
 
 そしてその前に電話してあったなんでも屋に全ての処分を頼んだ。
 今日は燃えるゴミの日でもなければ燃えないゴミの日でもない。
 正に粗大ゴミはほとんどないがこれも自治体の粗大ゴミに出すには時間がかかる。
 なんでも屋に全部引き取ってもらい掃除。
 
 部屋は何もなくなると広々と感じた。
 なんでも屋から請求された金額は安いのかぼったくられたのかさえ考えたくない。
 時は金なり、次の行動を妨げるものには執着しない、していられない。
 
 新ちゃんとの約束の時間が近づいた。
 さっとメイクをして着替え待ち合わせの近くのコンビニへ向かった。
 
 

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100万円で居酒屋の店長とドンチャン騒ぎをするんでしょうか!?
車とか高価な物を買えば、すぐに100万円使えそうな感じですが、反則ですか(^ ^)?

2012/5/3(木) 午前 0:10 [ 清水しゅーまい ]

清水しゅーまいさん、「有効」というキーワードがあるのでそれはないですね〜。
車は買ってもその日のうちに納車されないでしょ、反則じゃないけどよって却下(笑)
忙しくてラストを書いてられなくて・・・まぁコメディですけどね。
小説っぽい小難しい言葉を並べたてて難解な表現で読んで下さる方の想像力をかき立てるってのもいいかもですが、わかりやすいお話でいかに面白かったって思ってもらえるかに挑みます←大袈裟(笑)

2012/5/4(金) 午前 1:23 あみりん

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アップテンポな話の展開に、最後までどどどーと読んでしまいました( ´∀`)/
続きが気になります(・∀・)♪

2012/5/4(金) 午後 6:04 [ Sakezukibito ]

Sakezukibitoさん、読んでくれてありがとう♪
コメディなのでテンポよくいきたかったのでそう言って頂けると嬉しいです^^
この先も書いてあるのですが少々忙しくてラストがまだ最終話で一気に最後までいきます!
あ〜〜!さっき親爺さまのとこで思いだしたんです。
忘れてた^^;アレ〜(笑)

2012/5/7(月) 午前 2:32 あみりん

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