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かっくんとるうはずっと親友だよ 25
水族館は大騒ぎです
ボートを出して3人が乗り込みました。
「急げー!」
館長さんが叫びます
「あの白イルカはとっても大事なイルカなんだー!」
ボートが波しぶきを上げて勢いを増して進みます
三人とも顔は青ざめていました。
双眼鏡を取り出して捜していたさっきの男の人が叫びます
「いました あそこです!」
お父さんイルカは必死に泳ぎます
「るう、るう どうか間に合ってくれー!るうー!」
エイが迎えに来ていました
「こっちです。早く!」
エイの後を急ぐお父さんイルカを追って、ボートも追いかけてきます
「早く、早くーわああー追いつかれるー!」
エイはるうが見える所まで来るとクルリと向きを変えて、ボートに突進しました
突然、ボートを操縦していたおじさんの顔にエイが飛び付いて張り付きました
「わあああーー助けてくれーー!」
ボートが右へ左へ大きく方向を変えます
その間にお父さんは、るうの傍に行くことが出来ました。
グッタリとして動かないるうに、お父さんが抱きしめます。
「るう るう 起きてくれ お父さんだよ るう お父さんだ!」
かっくんの頭にお父さんの声が聞こえてきました
「お父さん るうの処に行けたんだ」
かっくんがそう言うと、みんなはもっと急ぎました
「もうそろそろ 人間が見つけに来るだろう」
ボスさんの言葉を聞いたかっくんの心臓がビクンとしました
「るう るう 起きて るう僕だよ かっくんだよ!」
かっくんもるうに呼びかけます
るうはずっとずっと遠くから自分を呼ぶお父さんの声を聴いていました
「夢 これは夢。お父さん やっと会えた もうこれでいいわ お父さんに会えた。良かった」
るうの弱った心臓の音がまた弱まります
「るうだめだ! しっかりするんだ!そこにお父さんがいるんだ 起きて目を開けるんだ!」
かっくんに伝わったるうの心臓の音が、また少し強く聞こえてきました
「かっくん かっくん お父さん お父さん 本当にそこにいるの?会いたい この目で見たい」
るうの固く閉じられていた目が微かに動きます
「るう そうだ 起きるんだ お父さんだよ ここに居るよ さあ 目を開けてー!」
お父さんの周りで見守っているみんなの目から涙が溢れます。
人魚姫の涙は大きな真珠になって海の底に沈んでいきました
るうは必死に目を開けました
「るう!るう!」
お父さんが呼びかけます
「お、おとう さ ん 」
るうがお父さんを見ます
かっくんにもその様子が見えていました
かっくん達ももう近くまで来ていました
「るう よく よく 元気でいてくれたね 大きくなって ありがとう」
お父さんの目から大粒の涙がるうの額の星に流れ落ちました
かっくんも走り寄ります
「るう 良かったね お父さんだよ ほら 本物のお父さんがいるんだよ!」
かっくんの目からもい大粒の涙がこぼれてるうの額の星に落ちます
「おとうさん かっくん 」
みんなもるうに呼びかけます
「しっかりするんじゃーやっと会えたんじゃ はよー起きて笑わんかい」
ボスさんも会長も励まします
るうの身体がピクンと動きました
ゆっくりと顔を上げると、笑顔を浮かべて、お父さんとかっくん。そしてみんなを見ました
「あり が と う」
聞こえない声で言うとまた目が閉じました
「るうー! るうー!」
お父さんはるうの心臓の音を聞きます。それから直ぐにボートに向かって泳いで行きました
かっくんは、涙を拭ってから、るうの額の星にキスをしました
「るう だめだよ せっかくお父さんに会えたんだよ 絶対に駄目だ 僕が許さない。君の親友なんだから。そんな事!僕が許さないよ!」
額の星が弱弱しく光ります
かっくんは自分の力をるうに分けるように集中し始めました
甲羅の星が眩しいくらいに輝きます
「うわあ 凄い光だ 目が開けてられない」
バズーもみんなも目を覆います
かっくんは身体がとても熱くなっていきました
身体中から力が湧いてきます
かっくんはるうの手に自分の手を重ねました
かっくんの身体が金色に光ります
コメットもシュリも祈っていました
空の雲の隙間から太陽の光が、るうとかっくんを包み込みました
「るう るう 生きるんだ 死ぬな 僕達はずっとずっと親友なんだよ まだいっぱい いろんな冒険一緒に行こうよ るう 神様 まだ るうをるうを連れて行かないで!」
かっくんは必死に祈りました
その頃お父さんは、ボートの前に顔を出すと、まるで誘うようにボートをるうのいる処まで連れて戻ってきました
「なんだ これは !!」
館長も他の二人もびっくりします
「白いイルカがいる 」
「館長 そのウミガメです さっきやってきてたのは」
館長はイルカに寄り添うウミガメを見て考えました
「成る程 この海の仲間達は、どうやら私たちにこのイルカを助けて欲しくて、此処まで連れてきたんだな」
「なっそうだろう」
館長はお父さんイルカに話しかけます
お父さんは首を縦に振りました
「それなら さあ 私にちょっと見せてくれないか」
館長はボートから降りるとかっくんの甲羅を叩こうとして手をひっこめました
「なんて熱いんだ こんなに熱くなって‥そうかお前もこのイルカに力を送っているんだね」
「館長 そんな事があるんですか?」
飼育係りの男の人が聞きました
「人間だって 手当って言って具合が悪い部分に手を当てて痛みを和らげるだろう。動物だって、魚だって同じだとしてもおかしくないだろう」
それから、るうの身体を触りました
耳を心臓に当ててみたり、お腹の音を聴いていました
「内臓から出血してるかもしれないこのままだと 死んでしまう よし 運ぶぞ」
館長はかっくんに話しかけます
「お前も一緒にくるかい 心配なんだろう」
かっくんはうなずきます
お父さんイルカは館長に向かって何度もお辞儀をしました
ボートに乗せられたるうとかっくんが水族館へ向かうと、みんなも水族館が見える処までやってきました
お父さんイルカは、逃げる事はないだろうと思った館長は、るうの手当てを優先しました
水族館に呼ばれた獣医さんが手配して緊急に手術が行われました
かっくんはその状況を仲間達に知らせます
手術の間にお父さんイルカはプールに戻されました。
お父さんは抵抗しませんでした
「みなさん ありがとう みなさんのおかげであの子は助かりました。皆さんに会えてあの子も幸せだったと分かって とても嬉しいです。ありがとう もし、もし また海にあの子が戻れた時は‥」声が詰まって、後が言えなくなったお父さんに代わってボスさんが言います
「その時はしっかり あたしたちが迎えます。心配しなくても大丈夫 あの坊やもついている」
お父さんは無言で深くお辞儀をすると、飼育係りさんの待つ網に進んで行きました
みんなは、その日から代わり番こにかっくんからるうの様子を聴いては、カモメさんに頼んで営業で廻っているボスさんたちにも知らせました
サーカス団のには新メンバーがいました。
シュリです。
人魚姫は人魚と一緒に九十九島の魚たちと仲良く過ごしていました
そろそろ 太陽の日差しが強くなったという頃です
「お父さん 本当に此処でいいの?」
「ああ お父さんはもう此処の生活に慣れてしまったんだ。それに子ども達の喜ぶ顔が見れて、嬉しいんだよ。」
「じゃあ 私はかっくんと一緒にお母さんを探す旅に行くわ」
「ああ そうしておくれ お母さんは必ずその水族館に居るはずだよ」
「お母さんに会えなくてもお父さんは平気なの?」
「そりゃあ 会いたいさ。出来ることならまた、皆で暮らしたいさ でも、お父さんもお母さんも心でずっと繋がっているんだ。いまもお母さんと話してるんだよ。だから平気だよ」
るうとかっくんは顔を見合わせました
「かっくん 娘を頼んだよ 羽っ返りだから 上手くやってくれよ」
お父さんはかっくんにウインクすると、それから大きくプールを泳いで高くジャンプして見せました
飼育係りの男の人も、館長さんも、女の飼育係りの人も大きな拍手をしました
「さあ じゃあ 行こうか」
館長さんの言葉を合図にるうがクレーンで持ち上げられてボートに乗せられました。
かっくんは館長さんが抱きかかえてくれました
「元気で暮らすんだよ もう危ない事がなるべくしない事だ!いいね!」
館長さんが笑います
「寂しくなるな」
飼育係りの人と仲良くなったかっくんは、その男の人の手に触れて挨拶をしました。
「じゃあ るう 行こう みんなが待ってるよ!」
「うん。 みなさんあるがとうございました。」
るうは、一度海に深く潜ってからジャンプをして見せました
「ブラボー!!ピューピュー!」
館長さんも男の人も笑顔で見送ってくれました
「お帰りなさいー!」
みんなが笑顔で迎えてくれました
九十九島のみんなも笑顔でした
「もうすぐ 出発するのですか?」
人魚姫が尋ねます
「はい。早くお母さんに会いたいんです。」
「そうですか。身体は大丈夫でしょうか?」
るうはみんなにもジャンプを披露します
「まあ すっかり元気になって 本当に良かったわ」
「いろいろ心配おかけしました。」
るうは思い出して涙ぐみます
「まあ るうさん 門出に涙はいけないわよ」
「みなさん また会いに来ます。」
かっくんが男らしく胸を張って言ったのでバズーが吹きだします
「何だよ バズー!笑うところじゃないだろう」
かっくんは頬を膨らませます
「ほら〜やっぱりまだお子ちゃまだろう 無理すんなって」
「バズー!僕は大きくなったんだ」
「そう言えば お前でかくなったなあ」
水族館にいる間にかっくんは随分大きくなっていました
「もう、坊やでも、チビでもないからね!」
かっくんがまた胸を張ります
「かっくん 遅い もう、先に行くわよー!」
少し先で待っていたるうが、かっくんを呼びました
「ああん るう〜待ってよ〰行かなきゃ じゃあ またね 」
かっくんが慌ててるうの方へ泳ぎ始めました
見送るみんなは笑っていました
「ねえ るう 待ってよ〜君の方が泳ぐの早いんだから 僕が先に行くよ!」
るうはかっくんが近くにくるまで待っていました。
チュッ
かっくんの頬にいきなりキスをすると海に潜ったるう。
かっくんの顔は真っ赤になりました
「るうったら いきなり何するの〜!」
「おーい 顔赤いぞ〜まるで茹でタコみたいだぞー!」
バズーが茶化します
「恥ずかしいよ〜るうー!」
海に潜ったかっくんにるうが寄って来ていいました
「かっくん ずっとずっと私たち親友だよね」
「うん。僕とるうはずっとずっと親友だよ」
一人じゃない
信じあえる友が一緒
それに いざという時は助けに来てくれる仲間がいてくれる
キラキラと輝く九十九島 ありがとう
おしまい
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