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森のパン屋の熊のジャムさん
今夜は暖炉の前で子猫と一緒にこっくりこっくり
カチガラスがジャムさんの店の前で行ったり来たりしています
お月さまがあくびをしながら、雲から顔を出しました
あらっ カチガラスどうしたの?
カチガラスはお月さまに話しかけられてびっくりして、店の前に置いてあった大きなカゴにつまずいてしまいました。
そのカゴがひっくり返るとコロコロ転がっていきます。
カチガラスは慌ててそのカゴを追いかけます
あらあら カチガラスが珍しく慌ててる
お月さまは愉快そうに笑います
カチガラスがカゴを掴んだその時、足がバケツを蹴ってしまって、カチガラスは頭からその中の水をかぶってしまいました。
ガラガラ
ガチャン
バケツの転がる音で、ジャムさんは目を覚ますと外へ出てきました
おやおや カチガラス君、びしょ濡れじゃないか 早くおはいり。
ジャムさんはずぶ濡れのカチガラスを無理やり家の中に連れて行きました。
子猫が、カチガラスを見て鳴きながらヨチヨチ歩いていきます
カチガラスは笑顔で子猫に手を差し伸べました
ジャムさんは奥からタオルを持ってくるとカチガラスの頭を拭こうと手を伸ばします
カチガラスはパッとよけると自分で頭を拭き始めました
ジャムさんはニッコリ笑うと台所でミルクを温めました
小さな鍋にミルクと蜂蜜を入れて、コトコト コトコト 温めて 柔らかいパンを小さくちぎって鍋に入れました。
湯気が柔らかに上がっていきます
コトコト コトコト
小さな鍋の中は、ミルクで炊いたパンが美味しそうな匂いをたてていました
キュルルキュル
カチガラスのお腹が鳴りました
ジャムさんはカップにそのミルクがゆをたっぷり注ぐと、テーブルに置いてカチガラスを呼びました
カチガラスは、少し赤くなった顔でそのカップを見ました
さあ、ゆっくりお食べ。 お腹空いているだろう。外も寒かっただろうから、暖かいミルクがゆにしたよ
カチガラスは、ジャムさんにペコっとお辞儀をするとスプーンを取りました。
フーフーフー
カチガラスがゆっくりと口に入れます
美味しい
カチガラスが呟きます
ジャムさんは、ほほ笑むと自分にはコーヒーにミルクを入れて持ってきて座りました
子猫がやってきて ミュウミュウ 鳴きました
おお お前もお腹空いたんだね ちょっと、待ってておくれ
ジャムさんは小さなお皿にミルクがゆを入れて
フーフーフー
さあ ゆっくり お食べ
子猫は鼻先で匂いを嗅いでから、ゆっくりミルクを舐めました
カチガラス君。話はロバートやウサギの子たちから聞いてるよ
ジャムさんが優しく語りかけました
カチガラスは、口に運んでいたミルクがゆをポトリっと落してしまいました
ジャムさんはナプキンで直ぐに拭くとまたコーヒーを飲みました
カチガラスは残りのミルクがゆを綺麗に食べると立ち上がります
おや 帰るのかい? 今夜は遅いからここに泊まっていくといいよ
ジャムさんに言われたカチガラスは、どうしようかと悩んでいるようでした。
ミュウ ミュウ
子猫がカチガラスの足元で鳴きます
カチガラスはそっと子猫を抱きかかえると微笑みます
さあ ここで休むといいよ
暖炉のそばに毛布を持ってきたジャムさんは、カチガラスにそう言いました
カチガラスは、子猫を抱いたままそこへ座りこむとあっという間に眠ってしまいました
ジャムさんはニッコリ笑ってランプを消すと、ベットへいきました
ジャムパン クリームパン くるみにぶどう
パパパパパーン
パパパパパーン
美味しいパンが焼けてきた〜〜♪
朝の空気にジャムさんの焼くパンの香りが広がって行きます
小鳥たちも店の前のパンくずを賑やかについばんでいました
太陽のサンサンが元気に顔を出しました
ジャムさんは、店の扉を開けると元気にみんなに挨拶します
やあ おはよう みんな 今日も元気だね
ジャムさん おはよう ジャムさん おはよう
やあ サンサン今日もよろしく頼むよ
ジャムさん 今日もご機嫌だね
ああ とっても気分がいいんだ サンサン またあとで さあ また パンが焼けた
ジャムさん 頑張っておくれよ
ジャムさんは次次に美味しいパンを焼いていきました
暖炉の前で目が覚めたカチガラスは ジャムさんの台所で、皿や鍋を洗って綺麗にしました
ジャンさんが窯の前を行ったり来たりしている様子を見ていると、ジッとしていられません
ジャムさんの傍にいくと空いたパンケースを洗い場に持っていき、洗い始めました
ジャムさんはニッコリ笑って、そのままカチガラスが手伝ってくれるのを見ていました
さあ 開店だ! カチガラス君 店の看板を出しておくれ
カチガラスはキョトンとしました
ジャムさんはウインクします
カチガラス君 君は今日からこのジャムのパンやの一員だよ!
カチガラスは訳も分からないまま、店の扉を開けると看板を出しました
小鳥たちも驚きます
カチガラスは急いで店に入ります
ジャムさんを見ると、カチガラス様にまっ白いエプロンを持って立っていました
さあ これを着るんだ それから 今日からお店に来るお客さんにちゃんと挨拶するんだよ
カチガラスは白いエプロンを受け取って着てみました
カチガラスはとっても嬉しくなりました
これで自分はもう、独りじゃない そう思いました
でも‥嫌われ者の自分がジャムさんの店にいてイイのかと思って暗い顔になりました
その時、店の前にお客さんが来ました。
ごめんください
それはロバのお母さんとロバートでした。
ジャムさんは笑顔で迎えます
おはよう こんなに早くわざわざ 街から来てくれたんだね
ロバのお母さんは直ぐにカチガラスの所へ走っていきました
カチガラスの手を取ると謝ります
ごめんなさい 私が悪かったわ。あなたが悪いと決めつけてたの 本当にごめんなさい
ロバートも一緒に謝ります
ごめんなさい 僕がすぐに言えなかったからいけなかったんだ ごめんね 許してくれる?
カチガラスは驚いてしまいました、ジャムさんを見ます
ジャムさんはニッコリ笑うとうなずきました
ロバートが手を出します
カチガラスも手を伸ばして、握手しました
周りで見守っていた小鳥たちが口笛を吹きます
みんなが笑顔でした
カチガラスは照れて店の奥に走っていきました
みんなが笑います
店の中も外もみんなの笑い声で溢れていました
ミュウミュウ
子猫もヨチヨチ歩いてきました
その日から森のパンやさんは
ジャムさんとカチガラス
そして三毛猫がいる店になりました
おしまい
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