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11月15日(木)
フランスのマクロン大統領は大戦終結の式典スピーチで、「古い悪魔が再び目覚めつつある」と近年のナショナリズム台頭への強い警告を紹介している。日経11月13日朝刊1面「春秋」
かつてド・ゴールはこう言ったという。「愛国者は自国民への愛を優先するのに対し、民族主義者は他国の人への憎しみを優先する」、と。
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「国を愛すること」と、いわゆる「ナショナリズム」との違いは曖昧だ。E.ゲルナーによれば、ナショナリズムとは、「政治的な単位と文化的、あるいは民族的な単位を一致させようとする、思想や運動」であるという。
これには、自国の国益を保護するために他国に対し高圧的・強圧的態度を採り、脅迫や武力行使を行なうこと(=戦争)も厭わない、とする不穏で排外的な考え方は除外されている。
ましてや、ド・ゴールが言うような、他国の人への憎しみを優先するなどという考え方は、戦争当事国同士の感情であって、ナショナリズムとは似て非なるショーヴィニズムとかジンゴイズムともいうべき範疇であろうと思う。
19世紀末葉から20世紀初頭にかけて、世界は大国の帝国主義に加え、反ユダヤ、黄禍論、白人至上の白豪主義など、人種差別が激しい時代であった。
現代のナショナリズムの諸現象は、宗教紛争や経済格差に絡む国際紛争に加え、それらが引き起こす難民や新たな移民問題などで、どうやらまた当時と同じような、きな臭い様相を呈してきているように見える、と識者は言う。
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日本人は明治以後、国際的に一人前であると認知されたい、世界から愛されたいと念願しつづけてきた。
国際連盟発足当時、日本は移民問題などで米国の排日移民法などの激しい人種差別に苦しみながらも、国際連盟の憲章に人種差別撤廃を入れようと働きかけ、多くの発展途上国から感謝された実績もある。
国際的に日本がどう評価されているかが気になる、その国民性は、今日でも変わっていないようだ。
たとえばTVなどでは、「無名ではあっても、世界の各地に有用な日本出身の人材がどれだけ活躍しているか、そして日本人がどのように評価されているか見てこよう」といった類の取材番組が満ち溢れている。
そんな日本がいままさに遭遇しつつあるのが、労働力不足に悩む現状であり、このため大量移民の受け入れは、避けては通れない現状のようだ。第2次大戦後の日本としては初めての経験領域である。
どのようにうまくそれに対処すればよいか、が喫緊の課題となっている。欧米などのように、大量移民を受け入れた結果、多民族国家となって様々な苦労を背負いこんだ悪夢の先例もあり、これらを他山の石として、異文化に対する包容力に富みながらも、日本固有の文化を維持し、かつ国益を守るという、まさに良質のナショナリズムを考える時代がやってきた、といえるのではなかろうか。 |
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