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12月25日(火)
近年は1年がやたら早く過ぎ去ってしまうように感じられてならない。後期高齢者ともなると、保険制度や運転免許証など、自らのライフステージを意識させる仕組みが嫌というほど世の中に存在し、自分に残された日々が限りあることを意識せざるを得ない。
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ことし日本漢字能力検定協会が発表した漢字は「災」だった。たしかに、大阪の地震や西日本各地の豪雨災害はひどかった。2位は平等・平和の「平」だそうだ。
わたしにとって、ことし思いを深くした漢字は、一字ではないが「残心」という漢字だった。「残心」とは、武道および芸道で用いられる言葉で、心が途切れないということを意味する。
武道では、技を決めた後も心身ともに油断をしないことである。油断した隙を突いて反撃が来ることが有り得る。それを防ぎ、完全なる勝利へと導くのが残心である。武道全般において強調される心がけといえる。
とくに剣道においては、残心がなければ技が正確に決まっても有効打突にならない。試合において一本取った事を喜ぶ様(ガッツポーズなど)が見受けられれば、奢り高ぶっていて残心が無いとみなされ、一本を取り消される事がある。
先日TVを観ていたら、実際に試合において打突後小さくガッツポーズをしたとたん、判定を取り消された選手がいた。残心の心がけを知らなかったその選手は理由がわからず、狼狽えていた。スポーツと武道とは違うという好例だろう。いま海外で日本の武道が高い評価を受けるポイントでもある。
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生活の中での残心としては、襖や障子を閉め忘れたり乱暴に扱ったり、また技術職の徒弟で後片付けなどを怠ると「残心がない」や「残心が出来ていない」といって躾けとして用いられる。
海外事情紹介番組によると、先日は日本の学校教育、とくに授業後の清掃を自分たちで行うしつけが高く評価され、エジプトの学校教育に広く取り入れられつつあるという現状が報告されていた。いま関心を持つ国も多いという。これなども、まさしく典型的な「残心」にほかならない。
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わたしが従事する学校施設管理の現場でも、クラブ活動で使用した什器備品のかたづけなどの不備や、どうせだれかがすぐ利用するだろうと、利用した門扉を開けたままにして出て行ってしまうといった現場を目撃することがよくあり、そんなとき思わず「残心がないよなー」とつぶやいてしまう。自分にとっては、遠い昔、少年時代に稽古を通じて自然に身についた感覚だった。
「誠」と「真鋭」は、古来からの武士道精神の原点だという。「真鋭(しんえい)」とは、正々堂々と道に則った正しさを追求するということ。たたかいというのは、ただ勝てばいいのではない、ズルして勝つのではなく、正々堂々と戦うべきであるとする心の持ちようを言う。
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これからは土台がしっかりしているかが問われる時代だと言います。向上心に富んだ剛毅な精神が大切にされる時代です。高度経済成長期には、何よりもフローに勢いがありましたが、これからはストック重視の時代ということですかね。いまはこういったことを説いても、以前のように反発を受けることが少なくなったような気がしています。
参考:家村和幸著『闘戦経』(並木書房,第3版,2016年)
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