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画像:武田邦彦著「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」
洋泉社刊(999円税込)
6月16日(土)
また長々と書いてしまいました。ダイバーとしては環境問題はどうしても避けて通れない。
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武田邦彦という学者がいる。名古屋大学大学院教授を経て、現在中部大学総合工学研究所教授。政府の専門委員をいくつかなさっている。先生の著書「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」がいまずいぶんと話題になっていることを知り、読んでみた。今年3/12に初版発行して、わたしの本の奥付には6/18第8刷発行となっているから、予想外の売れ行きのようだ。
著者は「現在の環境問題の論議の多くは、残念ながらウソをついて人の隙を狙うことによって成功するということを認める社会をつくることに、役立っている(後書きより抜粋)」と主張する。主としてペットボトルや紙のリサイクル、ダイオキシンの毒性、地球温暖化、にまつわる故意の誤報といったことを取り上げ、ウソを蔓延させて社会を惑わしているひとたちを糾弾する内容だ。
糾弾だから相当激しい調子になっていて、最初は少し辟易したが、慣れてくるに従い、思わず「そうだ、そうだ」と頷く自分がいた。
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以下わたしの関心を引いた箇所を順次紹介してみよう。
第1章<資源7倍、ごみ7倍になるリサイクル> 繰り返し使えないペットボトルをリサイクルと称して分別回収する愚。リサイクル業者が回収すればリサクル率が見かけ上は上がる仕組み。そして実際には大部分が廃棄物として焼却されてしまう事実。
平成16年分別回収したペットボトル24万トン、リサイクルに実際使われた量はたった3万トン。あとの21万トンはペットボトル・リサイクル施設からゴミとして出されている。
つまりリサイクルすればするほどペットボトルの形をしたゴミの量は増えていくわけだ。その間リサイクル法により税金で回収費用が賄われているから、誰かが潤っている。
第2章<ダイオキシンはいかにして猛毒に仕立て上げられたか> 「猛毒のダイオキシン」騒動は意図的に作られたものだった。ダイオキシン汚染の実態調査結果が紹介されている。日本でダイキシン濃度が一番高かったのは農薬による水田散布で、長い間われわれはダイオキシンが含まれていた可能性の高いお米を食べていたらしい。
平成9年、日本の水田に散布されたダイオキシンの1年間の総量は、計算上ベトナム戦争で米軍が散布した量の約8倍に上るという。しかし、このことはほとんど報道されなかった。
ダイオキシンが生成される条件というものがあって、「有機物」、「塩素などのハロゲン」、「300℃から500℃くらいの高温」だそうだ。そこからこの本で有名になった箇所、「焼鳥屋のオヤジさんはダイオキシンを浴び続けているはずなのに健康である」という寓意だが、ダイオキシン発生の3条件を見事に備えている筈の焼鳥屋のオヤジさんたちだ。つまりダイオキシンは、微量ならばほとんど問題にならないほど無毒ということを示している。
第3章<地球温暖化で頻発する故意の誤報> 北極の氷が温暖化で溶けると、海水面が上昇するか?答えは「変わらない」。氷が溶ければ体積が減少するので水面に影響はないというのが理由だ。海水面の上昇は温度の急激な変化による海水の膨張が原因というのだ。
しかもIPCC(気候変動に関する政府間パネル)のリポートでは、南極の平均気温はむしろ下がり気味だという。
4章、5章とまだまだ続くが、このあたりはまだ読んでいない方はご自分で読まれることをお奨めして、ここでは割愛する。すべからく急激な変化が問題となるのだが、こんな環境問題にも利権が絡んでいて、正しい解決法がないがしろにされていることに、著者が腹を立てていることがよくわかる。
ただあえて言えば、こうすれば良いという処方を出して欲しかった。緊急出版という意味合いなのだろうが、・・・・。
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