阿蒙のつぶやき

精神満腹 。器量を広げたいと願うなら、目の前のことをとことん命がけでやることだ(鉄舟山岡鉄太郎)

ことばについて

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全8ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8]

[ 次のページ ]

122()
  病院独特の、来院者に対する呼びかけ「患者様」。だれもがなりたくない「患う者」なのに、「さま」をつけられたからって、敬意を表されたって気はしないし、「それって、どうよ?」と、ずっと思ってきました。
===
  ところが、最近は医療関係者の中にも反省が生まれ、「患者さん」とか「患者の皆さん」といった呼びかけに戻りつつあるといいます。

  わたしが最初「患者様」に気がついたのは、2000年代の初めのころだったかな。当時わたしは敬語遣いに関心があったこともあり、「病院経営の医療マーケティングってやつかな?それにしても、やりすぎ」と思っていたわけです。(参考:「敬語のカン違い」金田一春彦著『日本語を反省してみませんか』(角川書店,2002年)
 
  じつは今回の入院の中で、こんな経験をしました。毎週1回のベッドのシーツ交換にやってきたスタッフたちが、わたしに「患者さまは自由になさっててください」と話しかけます。気に入らないカン違い敬語「患者さま」で、直球で呼びかけられたのは、わたしは今回が初めて。

  この病院では、つい最近、廊下の掲示物には「患者のみなさん」とあるのを見たばかりですから、風向きがずいぶん変わったなと思っていたところで、このよびかけに、「おや」と思いました。「黙っていようかな」と一瞬思ったのですが、お節介なわたしはつい、「いま患者さまってよびかけられたけど、・・・」と、当人たちに軽口を装って話しかけてしまいました。

  私の話を分かってくれたかどうか、スタッフたちは憮然とした顔つきをしていましたから、よくわかりませんでしたが、「余計なことを」、と気を悪くしたかもしれないけれど、性分ですから仕方がありません。それに、「知るは一時の恥」と申しますし。
===
  話の趣は違いますが、ついでに言うと、まるで市民権を得たかのようにあっちこっちで聞かれる、「おっしゃられる」も気になっています。バラエティ番組など見ていると、発言内容をテロップでは直したりしますが、当人は気が付いていないようです。なぜ、「おっしゃる」で留めないのだろう、阿蒙としては、このカン違いも不思議でならない一つです。
イメージ 1


6月4日()
  “金持ち”ならぬ“時持ち”のわたしは、よく情報番組を観ます。ここひと月くらい前から気が付いているのですが、TVの旅番組やバラエティ番組などの情報番組系のナレーションで、言葉遣いが気になって仕方がないものがあるのです。
  それは、ナレーションの文末に、しばしば「・・・(だ)そう」で文を終わりにしてしまう言い方です。伝聞で「…と聞いている」ないし「・・・と伝えられています」の意味で「・・・のだそうです」と言い切るはずのところを、省略して突き放してしまうのですね。
  ナレーターの男女差はありません。若さ丸出しの声音(こわね)ならいざ知らず、説得力に富んだ訳知りの大人の口調の文末が「(だ)そう」では肩透かしにあったようでしまらない。

  大方において、なんでも言い切りを避けて、あいまいな表現にしてしまったり、縮約してしまうのが最近の傾向と理解はしているし、文末を締めないこうした文体は印刷媒体では時に見かけていたのですが、TVでは初めて気が付きました。
  耳慣れないせいか、「(だ)そう」の使い方に必然性が感じられず唐突に聞こえ、非常に違和感を覚えるのです。ナレーターが勝手に台本から外れてしゃべるとは考えにくいし・・・

  わたしはこんな風に類推しています。(こうした現象はナレーション台本を書く台本作家の見識に大きく左右される。また取材を担当する制作ディレクターは映像のほうが専門。畑違いで、チーム仲間の文章にMAの場で異を唱えることはまず避けるはず。統括する担当プロデューサーに見識がなければ、それで通ってしまう。)ま、多少の経験から、このように邪推するわけですが。皆さんの耳にはどう受け止められているだろうか。
===
  蛇足ながら、誤用であるにもかかわらず、すでに年代を問わず定着してしまった感のある「おっしゃられる」を治すのは、もう手遅れかもしれないが、「(だ)そう」が流行り始めだとしたら、いまのうちに「おかしい」、「変だ」の声を上げることが大事じゃなかろうかと思う次第。(ドーシタモンジャローノー?)
10月9日(金)
  きのうのNHK「クローズアップ現代」は面白かった。「発見!日本語の未来?多様化し続ける言葉」として、萩本欽一さんを迎えて若者コトバの変容について特集していた。


  ことし駒澤大学に入学したゲストの欽ちゃん。若い学生の聞き慣れないアクセントやイントネーションに驚いたという。たとえば「雨じゃね?」が何を意味するか、最初わからなかった。


  多様化している言葉のアクセント。一つに絞るべきと考える人も少なくない。NHKのコールセンターにも、連日アクセントに対する違和感の電話が寄せられている。日本語は同音異義語が多いため、目が見えない人のためには基準を大切にする必要がある。

  本来アクアセントが違えば意味も違ってくる日本語。たとえば、「万里の長城」は「万里のチョウジョウ(頂上)」か「万里のチョウジョウ(長城)」か。通常「万里の長城」と正しく発音していると思い込んでいたアクアセントが、じつは「万里の頂上」と言っていたことを指摘されて、なるほどと思った。

  多様化するアクセントをどこまで受け入れるべきか。共通語のアクセント辞典の編纂をする現場では言語学者などを交え、過去にない大改定が行われているそうだ。

  日常生活の上でも、正しいアクセントとはいったい、だれが決めるのか?といった問題が発生している。駅名などを読む声優の田中一永さんは、慣れ親しんだアクセントとは異なるアクセントで地元の駅名を収録した経験を持つ。

  駅名の「深谷」をアクセント辞典に準拠して「カヤ」と発音したところ、地元では「フカヤ」と発音しているところから、ほんとうはどちらが正しいのか、発音の基準について疑問を抱いたという。

  このように、アクセント辞典を認めるのか地元などを認めるのかなど、基準そのものを見直す議論が始まっている。独自の基準を作る動きもあり、文章を音声化するソフトを開発している会社では、これまではアクセント辞典を元に音声ソフトに記憶させてきたが、新たに生まれる言葉などは独自にアクセントを決めることにした。ネット上で多数決をとり決めているという。
  言葉の平板化について、もう一人のゲストNHK放送文化研究所の塩田雄大さんは、「もともと日本語は平板型のアクセントが非常に多い。その一方で外来語は平板化で入ってこなかった。外来語の平板化に違和感を覚える人は、『外来語は外来語らしくしていろとの気持ちの現われ』」と話す。自分に対して言葉への馴染みが出てくると平板化が進むという。

  欽ちゃんは、「イントネーションの違いが意味の違いを産む。笑いの世界では、基準を外したところで“笑い”を取ることもある。平板化が進んじゃうと、どこで理解していいか分からなくなる」などとコメント。これに塩田研究員は、「ヤバくね?」という言葉を例に出して、「疲れないイントネーションは、お互いに質問と同意を繰り返しながら話をしていきたいという現代の人間の特性の現れでは」などと述べた。


  番組ではこのほか、山形・鶴岡市での「普段使っている言葉のアクセントや発音についての聞き取り調査」が紹介された。昭和25年から続けてきた調査の結果、戦後は3割近くにすぎなかった共通語の普及率は年を追うごとに上昇。今や99%の鶴岡市民が共通語を使っていることが分かった。

  しかし共通語が浸透した今、それとは逆に若者たちの中で失われかけていた方言やアクセントの新しい使い方が生まれているという。地元以外の場所に行った時こそ独自の方言やアクセントを使う若者たちの行動。

  自分のアイデンティティを示すために、積極的に方言を資源として使うこうした若者による方言の再生産について、「非常に健全な流れだと思う」と塩田さんが評価していたのが印象深かった。

  「何が正しいか」。塩田さんは「今までは共通語などはこれだけが正しいという態度が多かったが、幅があるもの、枠であるということを多くの人間で話し合う必要がある」と話す。(参考:NHK「クローズアップ現代」番組紹介)
===
  ことばの語用や美意識について関心のあるわたしには、偶然見た番組だったが、なかなか面白い、啓蒙的なテーマで満足度が高かった。







役割語ということ

10月20日(月)
 日本語表現の豊かさを示すことばとして、話し手の人物像と結びついた特徴的な言葉遣いがある。役割語と言う。
===
 じつは日本には、昔から役割語が存在している。例えば「士農工商」の身分に伴う、それぞれ特有の言葉遣い。長幼の立場に応じて使い分けられる言葉遣い。上司下司の関係で使い分けられる言葉遣い。対等者の間で交わされる言葉遣い。男女の固有の言葉遣い、などなど。
 
 「言葉は移ろいゆくもの」との現実肯定の風潮のもと、対等語・友だち語・無性化語などのポピュラー化で、わたしなどは役割語は消滅する方向にあるものとばかり思っていました。
===
 今朝の日経終面(文化面)には、「役割語」についての、日本語学者金水敏氏の寄稿が掲載されていました。
 
 先生は「いる・おる・ある」など「存在表現」と呼ばれる言葉の歴史的変化を研究されてきたそうです。調査対象がマンガやアニメ、ドラマ、映画、落語、漫才といったポップカルチャーの世界とかで、どうやら現代語における役割語の変遷を研究なさっているらしい。
 
 多様な役割語が生み出され、社会に浸透していったのは1970〜80年代のことだそうだ。背景にはマンガやアニメの発展があるという。
 
 それらのメディアにはまったく不案内で申し訳ないのだが、多くを説明せずに済む役割語は確かに便利だ。
 
 古典落語には、人物像を簡明に浮き上がらせる、こうした役割語が頻繁に登場するので、噺が大変わかりやすい。
===
 鉄腕アトムのお茶の水博士が「〜しておる」と言い、語尾がしばしば「〜のじゃ」となるのは「博士語」であって、現実の老人言葉ではなくフィクションの中の言葉だと先生は言う。
 
 フィクションとはつまり、現実に使われている言葉遣いというわけではなく、端的でわかりやすい人物設定の表徴(アイコン)に過ぎない、ということのようだ。つまりシンボル操作だ。
 
 ウイリアムスンの『広告の記号論』あたりで、広告対象物のイメージ設定について、シンボルとして何を持って来れば、受け手に狙い通りのイメージで受け入れられるかが語られている。
 
 上は、広告表現上、襟をきちっと閉めていれば理知的な化学者で、開けていればフェミニンなオフィスワーカーといったイメージを記号として利用するという。
 
 つまりフィクションというよりも、社会的通念を利用するシンボル操作に過ぎない。実態か虚構かという類別に聞こえたので、いささか奇異に感じた次第。
=== 
 ところで、特定メディアでは役割語として使われていたとしても、社会的にまだ定型化されていない、生きた言葉もあるのでは。たとえば「博士語」や「老人語」が、じつは人物設定以外に現実に使われているシーンはないのだろうか。
===
 ここでひとつ、現役時代の経験を思い出した。「〜じゃ」は岡山あたりのひとが、男女老若関係なく語尾につけるし、名古屋在勤時代には、地元の若者のなかには自分のことを、たしか「わし」と言っていた。
 
 現実に使われるケースがある以上、これらは役割語としては決めきれず、恣意的な使い方と言わざるを得ないだろう。
 
 その役割語が使われた場での制作者・著作者の年齢層や属性もかかわってくるかもしれない。
===
 わたしは、言葉の乱れは、アルバイト語のように、社会経験の浅い制作者の誤用による広告コピーによっても、拡散・定着化されると考えているので、その役割語が若者層の間でしか通用しないという事例がありはしないか、心配になります。
 
 実際に辞典を手に取らないで何を言うかと、お叱りを被るかもしれませんが、役割語が見直される時世になったかと、いいニュースだなと思っているので取り上げた次第。心配性の老人の繰り言でした。
イメージ 1

とうさん、かあさん

9月5日(木)                       
  時間があるので、昼間TVを見る機会が多い。昼間のドラマはたいていプライムタイムのリピートものだ。お蔭で見たことのない番組をずいぶん知ることになった。
===
   時間があると結構細かいことに気が付くもので、あることが気になりだした。ドラマの中で登場人物が父や母に呼びかける呼称が、なぜか判で押したように「とうさん、かあさん」なのだ。例外は思いつかない。そういえばCMでもそうだ。
 
  わたし自身は地元育ちなので、子どものころから「おとうさん、おかあさん」派だ。もっとも最近はかっこうをつけて「おふくろ殿」などと呼びかけたりするが。
 
  だから「とうさん、かあさん」がTVから聞こえてくると、それが乱暴な物言いのように聞こえて、気になってしかたがない。
 
  たしかに地域によっては「とうさん、かあさん」が呼びかけとしてあたりまえのところもあることは承知している。が、ドラマやCMの中では、たいてい呼びかけるとき「とうさん、かあさん」だ。
 
  この点にどうにも違和感を覚えるのだ。「おとうさん、おかあさん」がそんなに少数派とも思えないのだが。
 
   脚本家やコピーライターが怠惰なだけなのか、それとも呼びかけの記号として業界に定着してしまっているのか。
===
  人気番組「相棒」のセリフではないが、細かなところが気になる阿蒙です。
 
 

全8ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8]

[ 次のページ ]


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

いまならもらえる!ウィスパーWガード
薄いしモレを防ぐパンティライナー
話題の新製品を10,000名様にプレゼント
ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!
いまならもらえる!ウィスパーうすさら
薄いしモレを防ぐ尿ケアパッド
話題の新製品を10,000名様にプレゼント

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事