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書庫キャンディーズJr.

美詞ちゃん,趣里ちゃんのことを書くページです。

もしかしたら,トライアングルのことも書くかも(期待薄)。
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京都人の密かな愉しみBlue修行中
第3弾「祇園さんの来はる夏」
8月17日21:00−2H
NHK BSプレミアム

過ちスクランブル
8月21日01:30ー一挙放送?
フジテレビTWO

千秋楽が終わったので、ネタバレ覚悟で感想など。

まず第一に言いたいのは、
一回しか見られなかったのが残念。
千秋楽の前日に見たので、
う一回見たい。と思っても
あと一回しかチャンスがない。
千秋楽のチケットは売り切れていると聞いていたので諦めていたが、当日になってネットを見たら
「当日券あります」
なんだって?!これから行っても間に合わない。
とっても残念であった。


さて、肝心の芝居である。

芝居のタイトルとなっている「ヒトハミナ、ヒトナミノ」を漢字に置き換えると「人は皆、人並みの」となる。
憲法的に言うと平等原則であり、芝居のストーリーに即して言えば、障がい者といえども、人並みの幸せを求め、そして、与えられる。という意味であろう。

この芝居は、分解すると4つのチャプターが、それぞれ絡まり合い紡ぎ出す一つのストーリーと言って良いだろうか。
一つ目は、介護現場というブラック企業の実態である。
2つ目は、障がい者の性という、なかなか光が当てられてこなかった問題である。
3つ目は、入所者押野さんのひとみさんに対する純愛である。
最後の4つ目は、この物語を一つにまとめ上げる役割をもつ、いわゆる狂言回し的なチャプター。入所者麻紀ちゃんの介護職員崎田に対する直線的な愛情である。
(もうひとつ、ど田舎、障害者施設という閉鎖社会におけるセクハラ、パワハラ問題。というテーマが隠されているのだが、解説しにくいのでカット)


舞台は、日本のどこか。田舎。
それもド田舎の障がい者介護施設「フラット」
舞台に障がい者は、押野さんと、麻紀ちゃんの2人しか登場しないが、入所者の特徴を代表する2人と言って良いだろう。

押野さんは、元鳶職で転落事故を起こし脊髄を損傷して車いす生活をしている障がい者。下半身が不自由以外には、目立つ障害はない。意識も鮮明だし、上半身は自由に動く。

他方、麻紀ちゃんは、おそらく脳性麻痺。
体も不自由で車いすを利用しているが、自分で車いすの操作はできる。発語も不自由であるが、知能レベルも低いと想像される。

麻紀ちゃんは、一か月前にフラットに転職してきた介護職員の崎田さんが大好きだ。
麻紀ちゃんが話す言葉の種類は、数少ない。
「いいねえ」
「可愛いねえ」
「崎田さん、可愛いねえ」
「崎田さん、結婚」
崎田さんが着任する前は、もしかすると「いいねえ」しか言えなかったのかも知れない。
麻紀ちゃんは、ストーリーのポイント、ポイントに登場して、崎田さんに求愛し続ける。

フラットでは、入所者のために軽作業を受注している。
障がい者も仕事をすることで社会と繋がることが良いことだ。という抽象的な意義は分かるが、なぜ、それが良いことなのか。理由は分からない。
障がい者に、自分も社会に役立っているという意識をもたせることなのか、社会の一員であるという自我を持たせるためなのか、リハビリ効果を期待しているのか、施設が利益を上げるためなのか、それらの解釈は観客に委ねられている。
とにかく、良いことなのだ。

しかし、対象は障がい者である。押野さんのように頭も上半身も健康なら、充分に役に立つが、逆に麻紀ちゃんには何も期待できない。
フラットは、大量に受注してしまい、納期に間に合いそうにない。
しかたなく、介護職員が軽作業を行い、納期に間に合わせようとする。
障がい者が作業することに意義があったはずなのに、職員がやったら無意味だ。
単に職員の仕事を増やし、ブラック企業化するだけだ。

崎田さんは一か月前に転職してきた。
言い換えると、一か月前に、元の職場をクビになったのである。
その理由は、崎田さんが、元の介護施設で障がい者の性処理のお手伝いをしていたからであった。
障がい者であっても性欲はある。セックスは無理でも、マスターベーションをしたくなることもある。考えてみれば、当たり前のことだ。ただ、健常者、介護者が目を背けてきただけのことである。


「障がい者の性」で思い出すのは(僕らの世代では)鶴田浩二主演、水谷豊助演「男たちの旅路」(車輪の一歩)である。ゲストの古尾谷雅人が車いすの青年を、斉藤とも子が車いすの少女を演じた。

古尾谷雅人は、障がいのため童貞だった。一度でいい。女性とセックスしてみたい。親に打ち明けて小遣いを貰い、トルコ風呂(当時の呼称。現在のソープランド)に行く。が、車いすであることを理由に入店を断られ、童貞喪失に失敗する。
仕方なく家に帰った古尾谷雅人だが、親には、障がいを理由に入店すらできなかったことを打ち明けられない。そんな内容のドラマだっだ。

このドラマシリーズ(墓場の島)の回、人気歌手役の根津甚八が、ライブステージ上でいきなり引退を宣言する。ドラマには、キャンディーズのステージシーンがちらっと挿入されている。番組の放送が、キャンディーズの解散宣言の日と近かったので、根津甚八の引退宣言とキャンディーズの解散宣言に関係性があるのか、と物議を醸した。


脱線から戻ろう。
崎田さんは男性障がい者の性処理を手伝っていた。
崎田さんではなく、女性に世話して欲しいという人を風俗店に連れて行くこともあった。崎田さんは、男性の性処理のことしか眼中になかった(依頼も男性からしかなかった)。

しかし、女性の障がい者にだって性欲はある。
あるとき、女性障がい者の母親から、娘を抱いて欲しいと懇願される。
初めて女性の性処理ということに気づく崎田さん。
麻紀ちゃんの「崎田さん、結婚」という言葉も、法律的な婚姻や、同居生活という一般的な結婚を求めているのではなく、崎田さんとの性交渉を求めた発言なのかも知れない。
悩んだあげく、母親の願いを聞き入れ、娘とセックスをした崎田さん。

それが、施設にバレてクビになる。
障がい者の性処理に一切関わらない、という約束でフラットに拾われる形で雇用されたのだ。

障がい者だって、普通に性欲を持って良い。
これが「ヒトハミナ、ヒトナミノ」の答えだろう。


しかし、現実にどうするか。
普通に恋愛し、自然と肉体関係を持てれば、それに越したことはない。
しかし、障がい者には、そういうチャンスは少ないだろうし、一生来ないかも知れない。
そういう場合に、誰が、どうやって支援するのか?
介護職員の(本来の)仕事でないことは明白だろう。
では、風俗嬢を定期的に呼ぶのか。それは不自然だし、倫理的な問題もあるだろう。
女性の障がい者の欲求はどうすればよいのか。
疑問は、次々に湧いてくるが、解答は一切浮かんでこない。
観客を困らせる題材だ。


崎田さんは休日の度に押野さんを連れ出して風俗街に行っていた。
これは、崎田さんが、また、例のお手伝いを始めたのではないか。と疑われても仕方ない状況である。
崎田さんの行動がフラットにバレた。クビになりかける崎田さん。

押野さんは、違うんだ。崎田さんには人捜しを手伝って貰っているんだ。とかばう。
客観的な証拠は揃っている。二人とも有罪だ。押野さんの弁解なんか、口から出まかせだろう。と思ったが、なにやら、本当のようだ。

押野さんには、ひとみさんという彼女がいた。
ひとみさんは一切登場しないし漢字も分からない。
でも、ぼくのイメージでは、瞳さんでも、仁美さんでもなく、ひとみさんである。
ひとみさんは風俗嬢だった。押野さんが風俗店に通う内に二人は恋仲になり、駆け落ちして新しい生活を始めた。
その矢先に、押野さんは転落事故で入院してしまう。しばらく意識が回復しなかった押野さん。転落事故のことなど知る由もないひとみさんは、家に帰らない押野さんに捨てられたと思ったことだろう。

押野さんが、二人のアパートに戻ってみると、ひとみさんは既に引越し、ひとみさんが大事にしていた大きな熊の縫いぐるみだけが残されていた。
ひとみさんは、人のことを疑わない純真な子だったと押野さんは言う。
事故から2年間、ひとみさんのことを心配し続けていた押野さんもまた純真な心の持ち主なのだろう。

ひとり思い悩んでいたところに、人の良い崎田さんが転勤してきた。
押野さんは、崎田さんに、ひとみさんのことを相談する。どうしても、ひとみさんを探し出して、幸せにしてやりたいと。
とは言っても、押野さん自身、下半身不随で、他人の面倒を見られる状況ではないのだが。

押野さんは、人の良いひとみさんのことだから、また、風俗街に連れ戻されているのではないか、と考えていた。
崎田さんの休日に、ふたりは示し合わせて繁華街に行き、風俗店を回ってひとみさんを探す。
車いすの押野さんの膝の上には、ひとみさんが気がつくように大きな熊の縫いぐるみが抱かれていた。
人捜しは本当のことだったのだ。

二人の純愛に心打たれたフラットの所長さんも、ひとみさん探しに尽力すると名乗り出てくれる。

後日、所長に呼び出される崎田。
崎田「所長、何の御用ですか」
所長「ひとみさんのことが分かった」
所長「発達障害だったらしい」
崎田(素直で優しくて、人の言うことを良く聞く素直な子。とはそういうことだったのか。風俗店を断れなかったのも、それだったのか)
所長「それから、もう一つ。順番が逆だったかな。彼女、一年前に死んでたよ。電車に飛び込んでな」
自殺の原因は、押田さんに捨てられたことではないか。これは観客の解釈に任されてる。
所長「押田君に、説明しておいてくれ」


押野さんに説明した崎田。
押野さんは「あれから2年も経つんだもんなあ」と独りごちる。
2年間も、俺の帰りを待っているはずなんかないのに、俺は何をしていたのか。
俺のせいでひとみさんは死んだのか?
もっと早く探してやれば良かったのに。おれは何故、もっと早く探さなかったんだ。
いろんな思いが渦巻くセリフである。

押野さんが立ち去った後、崎田さんは、結局押野さんに何もしてやれなかったと悲嘆に暮れる。

そこに現れる麻紀ちゃん。
いつものとおり車いすを操りながら「いいねえ」と言いながら入ってくる。
いつもの麻紀ちゃんなら、「いいねえ」の後に「可愛いね、崎田さん」「崎田さん、結婚」と言って、崎田さんに抱きつこうとしたはずだ。
でも、そのときの麻紀ちゃんは違った。
今まで発したことのない言葉が出てきた。

最初は、いつもの通り「いいねえ」と言った麻紀ちゃんだが、そーと崎田さんに近づくと、手をそっと握ってこう言ったのだ。
「可哀想ねえ」




  
下北沢駅前劇場で、美詞ちゃんの舞台を見てきた。
スゴく良っ買った。
明日が千秋楽。もうチケットはないそう。
もっと早く見て、2度3度と見たい舞台だった。
再演を期待したい。

ネタバレになるので、明日、千秋楽が終わってから詳しく。

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