石の思い

ヤフーブログおわっちゃうんですね。あわててFC2にお引越しししました。

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    オーギュストはにっこりした。

   「人生は長い。あなたが考え深い人なら、笑い飛ばせるでしょう。
    
    あなたが感じやすい人なら、悲劇になります。私ですか?」


人生には、美食と、ミステリと、お色気が必要です。


「パンプルムース氏のおすすめ料理」マイケル・ボンド


元パリ警視庁の辣腕刑事パンプルムース氏と、彼の愛犬ポムフリットとのお色気ミステリ・コメディ。

引退した現在は、フランスで最も権威と伝統のあるグルメ・ガイドブック「ル・ギード」の覆面調査員であるパ氏。

彼は、3つ目の栄光の「赤銅印」獲得に邁進するホテル「ラ・ラングスティーヌ」の内密調査の為、同ホテルに愛犬・ポムフリットと共に滞在していた。

その夜、お待ちかねのディナーのメインは

『ブレス産雌鶏の膀胱包み(ブーラルド・ド・ブレス・アン・ヴェシー・ロワイヤル)』

豚の膀胱で包まれた、美味なる鶏とフォアグラ、コンソメと香辛料のコントラスト。

ナイフでふわり、風船状態の膀胱を切り開いた瞬間、パ氏の目に飛び込んできたのは、鶏でもフォアグラでもなく、な、なんと男の生首!

犯人の目的も狙いもわからず、つぎつぎと命を狙われるパ氏。
犯人の目的はいったい?

ラ・ラングスティーヌの商売敵?ジャンピエロの保険金狙いのマフィア?それともパ氏の「過去の華麗なる女性遍歴」に涙した男たちの復讐??


物語に彩りを添えるのは、事件を混乱させる要素のみをもって生まれたような、癖のある登場人物たち。

厨房とホテルに魂を捧げた、オーナーシェフのオーギュスト、

「スペイン軍艦の如く」、パ氏の貞操を猛然とねらうオーギュストの妻、マダム・ソフィー。

「不幸なる莫大な保険金」を手に入れた「鉤手の義手の男」ジャンピエロ、その妻にして冷徹・美貌の女、エヴァ。

「想像できる限りのありとあらゆる誤解を確信に転化する能力」と「間の悪さ」にはオリガミ付きのバニュル警部。(←この人が面白い!、実際いたらヤだけど・・・)

「いかなる意味においても、凡庸とは程遠い」パンプルムース夫人。

そして電話参加の《夢の人形館》店主・オスカル

彼は、お望みとあれば、「1km先からもそれと判別できるラベル付き『大人のオモチャ』」を修道院に気付けで届けるという商売熱心。(←別に望んでなくても、送ってくる)


その中でも(結果として)事件をさらに複雑にしてしまう、パ氏の奮闘は見事だ。

愛車・2CV(ドゥ・シュヴォー)のバッテリと南極2号でようよう「愛のバクダン」マダム・ソフィーの熱烈な求愛を凌ぎつつ、美食とワインに胃袋と心を潤おし、命を狙われつつも、けなげに、まったくけなげに、なまめかしいネグリジェで女装し、(時には全裸で)この不可解な事件の謎を解くべく、邁進する。

(ちなみに、2CV(ドゥ・シュヴォー)は我らが愛すべき怪盗「ルパン三世」の愛車でもあります。)

愛犬ポムフリットはそんなけなげなご主人がいとおしくて堪らないから、彼一流のやり方(←これもクセモノ)で、ご主人を影となり、日向となり、日向となり、日向となり・・・・、助けます・・・・。

作者は、「くまのパディントン」で有名な作家。マイケル・ボンド。
彼が始めて大人向けに書いたミステリ、だそうです。

そしてこのミステリのもうひとつの楽しみ。
そう、ディナーにはデザートが欠かせません。

木村博江氏の「訳者あとがき」と、村上貴史氏の「解説」!

木村氏が無駄なく、上品かつ簡潔に作者の経歴、作品の背景を纏めたかと思うと、
村上氏のふてくされ気味のチャーミングな解説。

この小説が「売れ行きが芳しくなかった」為、2冊の翻訳で日本国内での刊行が打ち止めになったことにフンガイして、唇を尖らせて「何が悪かったのか?」と原因究明にヤッキになる村上氏。

「お色気がいけないのだろうか?」「犬がいけないのだろうか?」「いやいや舞台であるフランスが・・・」

と、様々な問題提起を繰り広げつつ、終いには日本での犬の不当な扱いを嘆き、純国産ミステリ「三毛猫ホームズ」にまでインネンをつけるありさま(^^;)

巻末でここまで「売れない、売れない」と騒ぐ解説者にははじめてお目にかかりました。

チャーミングでユーモラス。

ここは是非とも彼のために一肌脱ぎたくなる事、(つまり二冊目を買う、ということ)ウケアイです。

そうやって、明日、私はマボロシの2作目を探しに、本屋へ出向くのでしょう、ね。



    「わたしですか?」

    「わたしは、このパイさえあればしあわせです!」




とても素敵な書評がowlgrass1965様のブログ「あざらし図書館」にありますので、ぜひご一読を。
 トラックバックさせて頂きましたぁ☆

☆☆☆

「パンプルムース氏のおすすめ料理」マイケル・ボンド著 木村博江 訳
  (創元推理文庫・630円)

追記:フランス語で「パンプルムース」は「グレープフルーツ」、
「ポムフリット」は「フライドポテト」ですって。

閉じる コメント(4)

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こんにちわ☆おもしろそうですね!お色気ミステリーコメディですか、私も探してみようかな♪

2005/8/5(金) 午後 6:55 [ pigs ]

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オススメです!登場人物がとってもチャーミングで憎めなくて☆ あと、イヌ好きにはたまりません(^^)

2005/8/6(土) 午後 0:10 ang*1jp

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こんにちは。トラックバックありがとうございます♪気に入っていただけて嬉しいですわ。暑さ負けで食欲不審の日々を送っておりましたが、ango様のブログを読ませていただいて元気が出ました。解説とあとがきに目を止められたとはさすがです!たしかに見事なデザート付きですね。

2005/8/8(月) 午後 2:36 [ - ]

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こちらこそ♪素敵な書評を読ませてもらって、世界が広がりました!ありがとうございます☆

2005/8/9(火) 午後 11:21 ang*1jp

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