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「 水音 」 5 比叡山 元三大師堂に 雪が降る。 空を灰色にして 絶え間なく 降る。 音がする。 さらさら さらさら 音が ささやく。 雪が 木の枝の葉に 絶え間なく 降り積る。 木の枝は 絶えられるだけの雪を乗せ、大きく垂れ下がり、雪を落とし す。 雪は 次から次へと 宙を駆け下りて 一粉一粉 それぞれの所に舞い 降りている。 雪が風に舞い、元三大師堂の縁先に振り込んで、座禅する男の肩に乗っ た。 6 竜安寺 石庭は、雨の音を聞いていた。 春の、早朝である。 雨は、今しがた、降り出したばかりのようである。 誰もいない。 雨は、砂を濡らし、苔に滲み込んでいく。 白い砂は、灰色に変わっていく。 苔は、水を吸って、ふんわりと膨らんでいく。 誰もいない。 何ごともない。 石庭は、ただ 雨の音を聞いている。 |
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2007年04月24日
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