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父の詩歌
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わたしは 心荒れた時 父の詩歌を その詩心の中を 覗いてみる 心乱れていても その片鱗をも見せないで いささかも ぶれない 魂の安定感 を 人間性や作詞技術の違いなのだろうから わたしは そんな 真似 なんかは できない でも だから 私は わたしの道を 行く 父が 還暦の頃に創った歌謡で、迫り来る 老いへの孤独感の感慨を 形式美に 託してある 『 秋の窓歌 』 父 1、 ただ ひとり ただ ひとり 秋の小窓に 身を寄せて 吹いてくれ 吹いてくれ やさしの風よ 秋風よ 2、 ほのぼのと ほのぼのと 幼いころの 思い出が ふっと浮かんで すぐ消える 鳴いてくれ 鳴いてくれ 庭の子猫よ 小雀よ 3、 露霜に 露霜に いたく たたかれ しんしん と 年は老けゆく 静けさよ 降ってくれ 降ってくれ いとしの雨よ 秋雨よ 4、 浮世をば 浮世をば そっと のがれて しみじみ と ひとり爪切る 爪の音 舞ってくれ 舞ってくれ 白蝶 黄蝶 ひらひら と |
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父が 残した 私の好きな 詩歌 から 思うこと 多し ー 日本の四季 それは 今でも あまりは 変わっていない の では と ー 『 秋の虫 』 父 1、 月夜の晩です 堤です 葦がゆれます 光ります 青い服着た 鈴虫さん 銀の小鈴を ふってます チロリン チロリン ふってます 2、 月夜の晩です 堤です 空ではきら星 光ってます 力自慢の 轡虫 馬の轡を 磨きます ガチャガチャ ガチャガチャ 磨きます 3、 月夜の晩です 堤です 熊笹小笹が ゆらぎます 誰を待つのか 松虫さん ひげをふりふり 鳴いてます リリリン リンリン 鳴いてます 4、 月夜の晩です 堤です 雲がゆらゆら ゆらぎます 友にはぐれた こほろぎさん ほろほろ涙で 鳴いてます コロコロ コロコロ 泣いてます 5、 月夜の晩です 堤です 風が荒れます 叫びます 歌の調子が 乱れます ガチャ コロ リンリン ギイス チョンチョン トンスイ スイトン 乱れます それだのに この時期 父の 短歌には ある 「 自殺せんと 秘かに策を廻らせど 妻は身篭る 春雨が降る 」 父 多感なのは いいことだけれど こんなもの 詠んだとしても 残す べきではない 胎教や その後に よくないと おもうよ うん! いずれの 詩歌 も 私が 母のお腹に いた頃の もの である |
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