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明け方NHKのラジオを聴きながら徹夜仕事をしていたとき、ラジオから緊迫したニュースが流れてきました。そう、例の9.11同時多発テロのニュースです。
なんとニューヨークの貿易センタービルにジャンボジェットが突っ込みビルが崩落?!何?何?いったい何が起こったの?!ラジオを聴きながら仕事をしていた僕は混乱しました。
これから世界はどうなるんだろう、ひょっとしてこのまま大規模な戦争が起こるんじゃないだろうか‥なんていう強烈な不安が、ベンツの絵をコリコリと描いていた自分に襲いかかってきました。
そして強烈な虚無感に包まれ始めました。
そのときは次の日が締め切りで、せっぱつまって頑張っていたのですが、もし大戦争が始まって世界中が大変なことになったとき、ボクの今やっている仕事なんてはたして意味があるのだろうか‥世の中のためにひとつもなってないこんな娯楽のための仕事なんてどんな意味があるというのか‥いや全然意味がない。明日締め切りではあるが、そんなもんどうだっていいや、今はそんなこと言っている場合じゃない!
「なんの役にも立ってない、世の中に不必要な仕事」感。
ま、こういう大事件が起こったときにはとくに強く感じることですが、普段からもぼんやりとは思うことがあります。必要か必要でないかといえば衣食住に関わる仕事や医療や教育関係の仕事などは、明らかに世の中に必要な仕事です。しかしボクらの仕事のような、とくに漫画のようなエンターテインメント、大衆娯楽の仕事は、べつに無くなったって世の中は困りません。そんなことを考えるとなんともいえず虚無感に襲われます。
そんなとき前述のアシスタントのU嬢がいみじくも言ってくれました。
「徳をつんでいる」と考えればいいんですよ‥と。
どういうことかというと、ボクが描いた作品を読んでくれた人がたとえ一人でもたとえ数分でも「面白い」と思ってくれる時間をすごせたならば、その分ボクは「徳をつんだ」ことになるのだそうです。
もしそれが、ボクの作品を読むことで「とても励まされた」とか思ってくれれば、それは「とても徳をつんだ」ことになるのだと。人の心に何か作用させることができた‥これが「徳をつむ」ということなのです。
ものは考えようといいますが、なるほどそう考えれば、これまで感じていた虚無感のようなものは感じなくなります。意味があるとかないとか考えるのじゃなく、徳をつんでいるかどうかです。
なんか自分がエライお坊さんになったような気分ですが、これからも徳をつんで「人徳あふれる」漫画家になりたいと考えております。
そういえば学生時代には、よく大学の近所にあった夜中までやっている「神徳温泉」という、まことにありがたい名前の銭湯に行き、露天風呂で友人と語り合ったのを思い出しました。つまりそのころから徳をつんでいたんですね!!
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