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前回のブログが中途半端に内容を投げ出す形となってしまい、お読みになられた方にご迷惑をかけてしまったのではないかと思い、金融工学の素人ではありますが、債券のコンベクシティについて、ご理解のヒントとなるようなことを書いてみたいと思います。 = ステップ1 おおざっぱな債券価格の決まり方について = 1.まず、債券のクーポンについては固定金利3%という前提をおきます。 2.その上で、説明を進めていくために、この債券を残存期間10年と致しましょう。また、リスクプレミアムの話を入れると面倒なので、この債券はリスクフリーの国債とします。 3.さて、この国債は世の中の10年物国債流通利回りが3%のとき、世の中で入手できる国債利回りと同率になりますので、このときにマーケットスクウェアな価格となります。この価格をパー価格と呼び、その価格値は100で表示されます。 4.さてこの債券をパーで入手した次の瞬間に、世の中の流通利回り(いわゆる市場金利です)が1bp(=0.01%)上昇したとします(すなわち、世の中の流通利回りは3.01%となります)。この場合、入手した債券は市場金利に比べ、クーポンが低い債券となってしまいます。この損する部分は、現在価値を無視すれば、1bp×10年分=10bp=0.1%です。 5.この分を価格で調整しなければ、この債券を市場で買ってもらえませんので、価格はパー価格100から0.1%分だけ下げなければいけません。したがって、価格は99.90になります。 = ステップ2 でも、実際は現在価値を考えなければならない = 1.上記では、現在価値を無視して、1bp×10年分=10bp=0.1%という価格調整を行いました。しかし、実際の債券の価格を計算するときは、必ず、現在価値を考えなければいけません。 2.現在価値はご存知の方も多いと思いますが、現在保有する1ドルと1年後に受領予定の1ドルは価値が違うという考え方です。簡単に言えば、現在保有する1ドルは1年間運用できるので、1年後に1ドルのみ受領するよりは、運用利息分だけ価値が高いということから、こう考えます。 3.さて、そうすると、10年間の利払い日ごとの1bpも1年後分と10年後分ではかなり価値が違うこととなります。したがって、各将来時点のクーポン目減り部分1bpは、各々、現在価値に割り引いて計算してあげて、実際の債券価格調整をしてあげなければいけません。 4.この現在価値への各時点での割引率をディスカウント・ファクターと呼びます。ディスカウント・ファクターの計算の仕方は、超大雑把にいうと、市場金利が高ければ大きく、市場金利が低ければ小さくなります。つまり、金利水準でディスカウント・ファクターは変動します。これは、上記2の運用利息に差があるからということとなります。 = ステップ3 このディスカウント・ファクターの変動こそがコンベクシティの典型 = 1.ディスカウント・ファクターが金利水準によって変動するということは、例えば、市場金利が3%のときに1bp金利変化があるときの債券価格変化と、市場金利が6%(7%でも8%でも、3%以外であれば何でもいいのですが)のときに1bp金利変化があるときの債券価格変化の変化幅が違うということを意味しております。 2.すなわち、金利をx軸、債券価格をy軸にとってグラフを書いても1次関数にならないということを意味します。したがって、このグラフの傾きがどのように変化していくか、把握していなければ、価格がいくらになっているか分からないこととなります。 3.というわけで、これが、コンベクシティです。すなわち、債券価格は、現在価値を無視すれば概ねステップ1で見たように、金利に対する変動について比例しますが(グラフで言えば、1次関数です)、現在価値を含める場合は、現在価値の決定要素であるディスカウントファクター自体が金利で変化する点を考慮しなければならないというわけです。 なんか、余計に混乱を招くだけのことを書いてしまったような気がしますが、自分で後で読み返すために、甚だ自分勝手ではありますが、アップさせていただきます。
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金融調べ物
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本記事をお読みいただくためにご留意いただきたい事項 本記事は、あくまで個人の趣味として記載するものであり、正確性について保証するものではありません。また、本記事が不正確な場合、ご迷惑をかけることは不本意ですので、大変申し訳ございませんが、本記事に限っては、転載はお断り申し上げます。最後に、当然のことながら、何ら、個別銘柄の売買に対する推奨を行う意図はありません。 リクエストを頂いたのがきっかけですが、なかなか面白い債券のようなが気がしましたので、タイトルにあるハイブリット債について、概要の把握を試みたいと思います。なお、最初にお断り申し上げますが、私、転換社債に明るいわけではありません。また、個別銘柄につき、友達等に内容を確認することも不適切かと思いましたので、自分の理解した範囲で書かせていただきたいと思います。 このハイブリット債は、平成20年2月28日にJFEホールディングスがプレスリリースで「第三者割当による取得条項付無担保転換社債型新株予約権付社債(劣後特約付)の発行に関するお知らせ」発表しているものです。 http://www.jfe-holdings.co.jp/release/2008/02/080228-01.pdf なお、プレスリリースにもあるとおり、3000億円の調達のうち、約1200億円は自社株買いの資金となりました。自社株は、他の資料から計算すると、平均5030円程度で行われたようです。ちなみに、先週末のJFEホールディングスの株価は2040円です。 さてさて、一体、どのような債券の発行条件なのかということですが、ネーミングの「取得条項付無担保転換社債型新株予約権付社債(劣後特約付)」がほぼ内容を的確に表現しております。 以下、順に債券内容を書いてみたいと思います。 1.発行額は3000億円です。株式転換価額は、発行当時の80%増しの8530円で設定されています。 2.債券は、市場調達とせず、メガ3行による第三者割当です。なぜ、第三者割当としているかについては、仕組みが複雑すぎるという表向きの理由もさることながら、金額が大きすぎるという点もあるかと思われます。さらに、以下のような見方もあるようです。 ☆株主選びに「本音」と「建前」JFE、銀行へ社債発行と自社株買い 「発行しながら買い付け」を考える・上 (NBオンライン) http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20080403/152108/ 3.期間は、一応、5年4か月です。ただし、本債券の一番の特徴である劣後特約が付されているので、満期後から55年の劣後債に切り替わる可能性がある債券です。 4.まず、当初5年は、通常の無担保転換社債に近いと思います(5年4か月ではなく、5年です。残りの4か月は後述します)。 一般論として、通常の転換社債型新株予約権付社債は、株式転換のオプションを発行体(ここでは、JFEホールディングス)が売ることとなるので、当該オプション料分見合いで、クーポン金利は、同年限の普通社債を発行する場合に比べて、低くなります(ちなみに、クーポンをゼロに設定するケースもよく見かけます)。 しかし、本債券は、JFEの当時の普通社債利回りを上回るレベルである年1.853%となっています。上記に書いた劣後特約のオプションを発行体が買っているため、オプション料が上乗せされているからです。 分解して書きますと、この金利は、おおまかには、以下の式で決定されたものと思われます。 (2月末のJFEの普通社債金利)+(流動性プレミアム等:後述)+(劣後特約のオプション料)+(繰上償還オプション料:後述)−(株式転換権のオプション料) 本件、市場流動性がないこと(実質、譲渡禁止)に加え、3000億円と巨額であることから、それなりの流動性プレミアム等が加算されていると思われます。 なお、強制繰上償還時に適用される割引率の調整として0.65%と書かれているので、(2月末のJFEの普通社債金利)+(流動性プレミアム等:後述)までの部分の仕上がりは、LIBOR+65bp(見合いのスワップ金利)と計算されている可能性が高いと思われます。当時の水準としては、妥当のような気もします。 また、プレスリリースによると、発行体が額面での繰上償還オプション(全額実施のみ可、一部は不可)を買っているので、このプレミアムも、多少、加算されていると思われます。ただし、当該繰上償還は、繰上償還日の以前6か月間に、本債券と同順位以下(当社普通株式、その他株式、同順位劣後債務)によるファイナンスを行わない限り、実施不可能という特約が付されているようです(プレスリリースの書き方がやや曖昧なので、断言はできませんが、他条件から考えると、おそらく特約は付されていると思います)。 なお、劣後性を確保するためだと思われますが、この5年と後述の4か月の金利は、一定の条件のもと、1年の支払い猶予が認められています(実際に発動されるとは思いづらいので、形式的な要件のような気がします)。 5.さて、上記4.で後述すると書いた5年4か月のうちの残り4か月ですが、上記4.の内容に加えて、株式交付による「現金決済条項」がついています。その意図は、プレスリリースによれば、「株価上昇時においても株式の希薄化を極力抑制することが可能なもの」ということです。 6.この期間後に、JFEは本債券を劣後債に切り替えるオプションを持っています。金額は同額の3000億円、期間55年、クーポン金利LIBOR+165bp(1年の支払い猶予は上記と同様)です。上述で65bpという数字が出てきたので、1%にこれを足しておこうという安易な設定が行われたように見えます(この安易さが下記7.の推論につながります)。 なお、LIBOR+165bpを高いと思うかどうかですが、個人的には、結構タイトな水準と感じます。いざというときの保険としては、悪くないのではないでしょうか。 7.最後に推論を。 この債券の発行時点では、株式転換が行われない株価水準で5年後を迎えた時は、同じような仕組みでリファイナンスされることが、JFEホールディングス、銀行側の双方で、期待されていたのではないかと感じています。しかし、金融危機を経て、5年後は、実際にどうなるでしょうか。
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コメント(16)
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結局、下記記事にあるとおり、物価変動国債(物国)の発行取り止めがあったのですが、何が物国の問題点であったかは、財務省主催の平成20年9月29日(月)国債投資家懇談会(第23回)議事要旨を見ると、少し分かってきたような気がします。 |
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物価変動国債については、よく理解していなかったので、ちょっと調べました。 |
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