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東電の原発賠償問題に焦点が当たり、原子力とその他エネルギーという構図が典型的に扱われつつも、一方で化石燃料への過度な依存については世の中的にも違和感があるようで、太陽光や風力といった所謂リニューアブルエネルギーについてもかなりの頻度でマスコミに取り上げられております。

リニューアブルエネルギーについては、その発電コストが高いことが問題視されておりますが、ブレイクダウンした内容は不勉強で確認していないものの、直感的に言えば、かなりの部分はランニングコストではなく初期設備投資コストなのではないでしょうか。

そうであるならば、政府が初期投資時に補助金という形で思いきったサンクコストを投じることは意味があると素人考え的には感じております。もちろん「ただでさえ財源がないのに、この財源はどうするのか?」という点が問題なわけですが、日銀副総裁であった岩田一政氏が日本経済研究センターのサイトで以下のような提言をしていましたので、今日はこれを紹介しておきたいと思います。

◆岩田一政の万理一空(4月22日 電力不足問題と復興税)
http://www.jcer.or.jp/column/iwata/index279.html

今夏に電力が関東・東北で、それぞれ800万〜1000万kW、330万kW不足すると予想されている(表)。東京電力の4月末の電力供給量は、4300万kWと見込まれる。電力不足の著しい関東では、夏の電力需要量は、5400万〜6000万kWである。酷暑の場合には、6000万kWに達する。

 東京電力は、火力発電所の稼働率を高めたり、ガスタービンを増設したり、自家発電分を活用することによって5000万〜5200万kWまで供給量を高めることが可能であるとしているが、酷暑になった場合には、やはり800万〜1000万kW不足する。

3月から4月にかけて実施された「計画停電」は、企業の生産活動にとって生産計画を立てることが不可能な、不都合な方法であった。企業にとっては、生産計画の立てやすい総量規制の方が、対応が容易であるとの議論も踏まえて、資源エネルギー庁は、電気事業法27条に基いて、今夏、東京電力の電力大口需要者については、25%の削減、小口需要者については20%、家計については15〜20%の削減を行うことを決定した。

 この量的規制の問題は、小口需要者、家計に関しては、節電を呼びかけることはできても、量的規制を強制することはできないことである。このため、供給不足による停電が発生しないかどうか確実でない。

 通常、財・サービスの供給不足に対しては、価格の上昇によって、すなわち、量的割り当てではなく、価格による割り当て(需要超過になる部分について価格を高めること)を活用する方が、資源配分の上でより効率的な結果をもたらすはずである。電力供給不足に対して電力料金を引き上げることは理に適った方法である。しかし、その一つの問題は、大震災・津波や原発の被害を受け、電力不足下にある東北、関東の人々のみが、電力料金の引き上げという追加的な負担を引き受けなければならないところにある。

 日本経済研究センターが、3月17日に公表した緊急政策提言では、総額10兆円を2回の補正予算で実施することを推奨した。1回目は、2011年度の歳出見直し(子ども手当、高速道路料金引き下げなどの凍結)で5兆円、2回目は、復興税(化石燃料税)で5兆円という内容である。

 2回目の復興税(化石燃料税)の狙いは2つある。まず、第1に、価格メカニズムを活用して、供給制約下の電力の効率的な配分を実現しようとするものである。同時に結果としての電力料金やガソリンなどの価格引き上げは、国民全体が負担する連帯税としての性格ももっている。

 この提案に対する批判は、経済活動が落ち込む時期に、増税はありえないというものである。しかし、電力の量的割り当てにもやはりコストがかかっているのである。燃料税の引き上げは、全国の電力料金を高めるが、量的割り当てのコストを価格の形で明確化し、そのコストを広く負担するに過ぎない。電力供給不足の解消には、いずれの方法でもコストがかかることを忘れてはならない。被害の著しい地域に関しては、電力は地域独占であるので、電力料金を据え置くことも可能である。

 第2に、中長期的にこれまでのような原子力発電に頼った電力供給が十分に行われず、しかも、緊急時はともかくとして、賦存量の限られた原油など化石燃料に大きく依存することはできない。化石燃料に対する課税は、太陽光、風力、地熱など代替エネルギーによる電力供給を促進する効果がある。中長期のエネルギー・電力供給の制約に対しては、価格シグナルを活用することが最も有効である。

 希少資源である原油価格の高騰によって、日本は、これまで大幅な交易条件悪化を通じて産油国への実質所得の移転を行ってきた(図)。04年半ばから07年夏にかけての原油価格の高騰時には、20兆〜25兆円規模の実質所得の移転があった。先行きについてもエネルギー供給を原油に依存した状態を続けるとすれば、より大規模な実質所得移転をしなければならない。

 2回目の補正予算において、5兆円の燃料税を課すことは、短期、中長期のいずれの観点からも日本経済の復興と整合性のある政策といえる。

これがベストの案なのか、私自身は何とも意見が固まらないのですが、岡田幹事長「通常の国債と区分した復興国債の発行が必要とし、償還財源は将来の増税によって確保すべき」との見解は、常識的なのでしょうね。

すぐに増税すると景気への影響が大きいので国債発行で凌ぐが、つまるところの財源は増税しかないので将来に行うということですね。


◆復興国債の発行必要、財源は増税で確保すべき=民主幹事長
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20659220110417
2011年 04月 17日 12:20 JST
[東京 17日 ロイター] 民主党の岡田克也幹事長は17日、NHKの番組に出演し、東日本大震災の復興に充てる2011年度第2次補正予算について、通常の国債と区分した復興国債の発行が必要とし、償還財源は将来の増税によって確保すべきとの見解を表明した。
 日本の財政状況は深刻と述べ、国債の償還が担保されなければ長期金利の上昇など市場が反応する可能性があることに警戒感を示した。

 岡田幹事長は、被災地のがれき処理や仮説住宅の建設などにあてる第1次補正予算について「4月中に国会に提出しなければならない。先送りは許されない」とし、財源は「マーケットがかなり反応しかねない」として追加の国債発行を回避する方針をあらためて示した。

 一方、相当規模に達することが見込まれる復興目的の2次補正予算では「2次補正以降は国債を出すことが必要と考えている」と述べるとともに、通常の国債と「区分」して対応すべきと表明。国債の償還財源については「税になると思うが、いつから入れるのか、どういう税でやるのか方向性を出した上で国債を発行すべき」とした上で、深刻な日本の財政状況を踏まえて「何もせず単に、例えば10、15兆円出してマーケットが持つのか。何かしらの担保が必要だ」と強調した。

 増税時期については「すぐにとは言っていない。将来の増税で、復興のための国債を返すという担保が必要」と繰り返し、増税する税目についても「消費税、所得税などいろいろ議論がある」と今後の議論とした。

 これに対し、自民党の石原伸晃幹事長は「その前に、それ(復興)を菅総理に任せることができるのか、という話が必ず政治論として出てくる」と菅直人首相の退陣論に言及。それが前提とした上で「復興のための国債の償還財源に消費税を充てることには反対だ。消費税は被災者も払うことになる」とし、「消費税は社会保障に充当し、年金・医療・介護で払った分が必ず戻ってくるという目的税にしていくことが私たちの基本的な考え」と語った。また、連立を組む国民新党の下地幹郎幹事長も「公債発行イコール増税という論議には決して賛成していない」としており、復興国債の発行、その償還財源の確保に向けた議論は紆余曲折が予想される。
本当は昨日にこの話を書こうと思っていたのですが、書こうと思った瞬間に余震が発生。東京在住の私ですが、怖くなってしまったので、昨日は布団を被って無理矢理寝ました。

というわけで、ニュースとしては1日遅れですが、以下のニュースを。

◆復興財源で国債増発も市中発行額の抑制可能−前倒し発行で10兆円余力
4月7日(ブルームバーグ):東日本大震災の復興財源確保へ向けた国債増発懸念が強まるなか、昨年度中に今年度発行予定の借換債を前倒して発行していたため、復興財源として10兆円程度の国債増発余力があり、今年度中に機関投資家に入札を通じて販売する市中発行額をある程度抑えることが可能なことが分かった。財務省が6日ブルームバーグ・ニュースの取材に明らかにした。 

  同省によると、昨年度中に発行した前倒し債は16兆9194億円で、今年度の国債発行計画に盛り込んでいる次年度分の前倒し債発行予定額6兆3893億円を差し引くと、10兆5301億円の発行余力ができる。政府関係者は「10兆円まではいかないが、数兆円の調整は可能」と指摘。同省は国債の追加発行額や市場の需給状況を見ながら、市中発行額の調整を進めることになる。 

  野田佳彦財務相は5日午前の閣議後会見で、大震災を受けた今年度第1次補正予算案の編成について、「赤字国債に頼らずにつくるという考え方だ」と言明した。復旧・復興事業には巨額な資金が必要なため、今年度だけでも2次、3次の補正予算が必要とされ、国債の増発は避けられないとの見方が強い。 

          補正総額は10兆円超 

  内閣府は先に、大震災の被害総額を16兆−25兆円とした試算を公表している。しかし、東京電力福島第一原子力発電所の被害などを含めれば、被害額がさらに膨れ上がるのは必至だ。阪神淡路大震災では3度にわたる補正予算で計3.2兆円の財政出動を余儀なくされたが、桜井充財務副大臣は先月31日の記者会見で「10兆円という額ではない」と述べ、10兆円を上回るとの認識を示した。 

  政府・与党は子ども手当などのマニフェスト(政権公約)案件の見直しや臨時増税などによる財源捻出も検討しているが、新規国債の追加増発は不可避との見方が根強い。野党の一部には、日銀による国債の直接引き受けを求める声も出ているが、日本銀行の白川方明総裁はもとより野田財務相も与謝野馨経済財政相もこれに否定的な見解を繰り返し表明している。 

  復興財源の一部に充てるための国債増発は、市場への影響が懸念されるが、今回の借換債の前倒し発行分を利用すれば、そうした懸念の一部は解消できるとの見方もある。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊債券ストラテジストは4日付のリポートで「数兆円程度の増発なら前倒し債の調整で、カレンダーベース発行額を増やさずに済む」と指摘、「補正財源の国債は需給悪化を過度に懸念する必要はない」との見方を示した。 

        先行き、市中消化額が増える可能性も 

  SMBC日興証券の末沢豪謙金融市場部長はブルームバーグ・ニュースに対し、「今年度中に来年度分の前倒し債をある程度出しておかないと、来年度以降がきつくなる。平準化してやらざるを得ない」と指摘。「結果的には2次補正の段階からカレンダーベースの市中発行額が増える可能性が高い」と述べた。 

  バークレイズ・キャピタル証券の森田長太郎チーフストラテジストは、必要とされる復興財源が前年度の前倒し発行分の余力で対応できるかどうかについて「それでカバーできる範囲に収まれば、それは今、マーケットがみているよりはましという感じ」としながらも、「さすがに足が出るのではないか」と述べ、財源確保には十分ではないとの見方を示した。 

  森田氏はその上で、「ざっくりしたイメージでは2次補正ぐらいまでは市中消化額を増やさなくても何とかなりそう」と予想。ただ、「3次補正ぐらいからは足が出そう」とし、「3次補正のイメージを財務省が持つのであれば、7−9月から増発を開始するということは十分あり得る」とみている。 

  2011年度の国債発行計画によると、機関投資家などへの入札を通じて11年度内に販売する国債のカレンダーベース(11年4月1日−12年3月31日)の市中発行額は、国債の発行総額169兆6000億円のうち144兆9000億に上る。このうち、借換債は111兆2963億円を発行する予定。 

  同省によると、昨年度発行予定の財投債15兆5000億円のうち、7兆1000億円分の発行が見送られたことなどから、今年度分の借換債の前倒し発行額が大幅に増えていた。 

よく分からないのが、なぜこのタイミングで財務省はこれをブルームバーグに話を入れたのかということ。日銀引受議論を鎮静化させたい気持ちはあるとして、財政健全化タカ派が主張しそうな増税議論にも牽制となります。これからプロが最善の方向を考えるから、政治家や自称経済学者といった素人は黙っておいてくれというメッセージなのでしょうかね。

なお、そもそも借換債って何?という方は、以下の財務省のURLをご参照ください。
http://www.mof.go.jp/jgbs/summary/what_is_jbgs/kokusai.html
市場の片隅からも遠ざかり、全く異なる環境で過ごしている最近でした。
 
このブログを本当に久々に更新をしてみようと思ったのは、復興財源に関する国債の日銀引受の議論。
 
経済学を不勉強で市場寄りな立ち位置の私としては、日銀引受は筋が悪いとのポジションを取ってしまいます。特に、ドサクサまぎれ的な自称リフレ派(というよりは上げ潮派ですかね)な方々の安直な物言いには、とても距離を置きたい。
 
ただ、それでも、日銀引受を捨てきれない第一感が私には残っていて、何が気になっているのかなぁと自分でも不思議です。国債増発に伴うクラウディングアウトを気にしているのだろうか。それも、自分の感覚とは少し違うような気がします。
 
簡単な話ではないので、ゆっくり考えてみようと思います。
 
なお、久々にここに書いてみたものの、継続的にブログ更新をしない可能性は多分にあります)。
注目されていた民主党の予算重点要望(民主党の文書では「予算重要要点」となっています。日本語に違和感がありますが、発表文書名がそうなので、本ブログのタイトルに書いてみました)が提出されました。内容は多岐に亘りますが、「ガソリン等暫定税率維持、ただし原油高騰時には見直しを可能とする」という要望については、個人的に納得感があります。

極めて普通の考え方だと思いますが、これまで政府税調等でこの手法が検討されているという報道を目にしていなかったので、不思議だなと感じていたところでございました(私が見落としていただけのような気がしますが)。

子ども手当の所得制限については、まぁ現実的な対応かとは思うのですが、これが恒久的であれば、ちょっとマニフェストの趣旨からずれてくるのかなと思います。ちなみに、この所得制限が来年度限定なのか恒久的なのか、気になったので民主党の発表文書を読んでみたのですが、私の解する日本語からは何とも判明しません。


なお、民主党の予算重要要点は以下で見ることができます。
http://www.dpj.or.jp/news/files/20091216.pdf

関連記事は以下のとおりです。


民主党:ガソリンなどの暫定税率維持−予算の重点要望提出 (Update1) 

12月16日(ブルームバーグ):民主党の小沢一郎幹事長は16日夕、官邸に鳩山由紀夫首相を訪ね、来年度予算の重点要望18項目を提出した。それによるとガソリンなどの暫定税率の原則維持や1兆円規模の地方交付金制度の創設を要求。子ども手当は所得制限を設ける一方で、地方への負担増は求めないよう要請している。 

  たばこ税の増税は重点要望項目から外れ、「予算編成において政府・与党の調整を要する課題」の中に盛り込まれた。 

  要望では暫定税率について「現在の租税水準を維持する」としながらも、「原油価格の異常高騰時には国民生活を守るために暫定税率の課税を停止することができるよう法的措置を構ずる」と明記。自動車重量税の暫定上乗せ分(2009年度約3600億円)のみ「環境のことも考えながら半分程度の減税を行うべき」としている。 

  一方で、環境税は「今後の検討課題とする」とのみ明記しており、来年度からの導入については先送りの方針を示した。 

  また、地方財源の拡充策として、所得税の税源移譲に伴い削減された交付税相当額1.1兆円を上回る規模の新たな交付金を国土交通省と農林水産省において創設するよう要望。既存の公共事業の直轄・補助事業を見直し、自治体が自由に使えるようにする。 

  要望の最初に明示された子ども手当はマニフェスト(政権公約) 通り、初年度に子ども1人当たり月額1万3000円を支給するとしながらも、所得制限の設定を求めた。限度額は予算編成過程において政府・与党で調整する。地方負担も求めないよう明記している。 

  マニフェスト案件ではこのほか公立高校の無償化や農業戸別補償制度の早期導入や高速道路無料化の段階的実施、租税特別措置の見直し−などを要望。また、診療報酬について「医療崩壊を防ぐため医療機関の診療報酬本体の引き上げが必要」とし、「大規模・中規模病院の経営環境改善のため格段の配慮を求める」としている。 

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