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さて、先輩方との初のコラボレーションとなるショー当日が訪れた。 ところが、とんでもない事件が起きる。 夕方からの現場でのリハだったのだが、朝起きると身体が動かない。 頭痛と吐き気を併発していた。 どうやらここ最近のショー、バイト、練習等でのハードスケジュールで身体がおかしくなっていたようだ。 気持ちは現場に向かう為の準備をしたいのだが、どうしても身体が言う事をきいてくれない。 私はすぐにCHIZUKOに連絡を入れ、リハーサルの不参加を願い出た。 電話の向こうで「何時に来れる?」とだけ。 私は少し余裕を考えた時間を設定して、現場に向かった。 当時、ディスコとして有名だった六本木のシパンゴである。 現場に到着するまでの間に薬などの作用もあり、体調はだいぶ回復していた。 店内に入ると既にリハーサルは終了していた。 メンバー達に謝罪をした後、CHIZUKOに呼び出された。 彼女は重々しく口を開いた。 「GO、お前の代わりはいくらでもいるんだよ。 体調のせいにすれば許されるなんて、そんなにこの業界甘くないよ。 お前1人欠けたくらいでリハが出来ない事なんてないけど、お前はそれで良いの? 最近ショーの仕事も増えて、頑張ってるみたいだけど、自分の出来る範囲以上に請け負ってるんじゃない? 今回は私がフォローしたから良かったけど、こんな仕事の仕方をしていたらすぐに干されるよ。 自分の能力をもっと自覚してスケジューリングした方が良いんじゃない。」 ・・・・・・一切反論出来なかった。 以前、「ギャラを貰うからにはプロ」という意識が芽生え、自分の中で意識改革が起こったと思っていたが、 まだまだ甘かった。 全てが、彼女の言葉通り・・・ 「あれもやりたい、これもやりたい」になっていて、基本的な認識が甘かった。 色々な仕事の話をもらえるのは、全てがチャンスに繋がるので有難い事だ。 しかし、今回のように自覚しないうちに身体を酷使して、リハや本番に穴を空けた場合、チャンスどころか、信頼まで失う事になる。 信頼を失えば、確実に「次」は無くなる。 あらゆる面で自分自身を理解する事と、自分の器を越え過ぎる責任を負わない事を改めて思い知らされた。 過度なショー出演が、当時の我々のスキルを大きく超えている事を彼女は指摘してくれたのだ。 また、彼女の言葉は業界の厳しさを改めて私に訴えたモノだった。 言い訳は一切きかない。代わりはいくらでもいる。 そして理由はどうあれ、遅刻して自分だけリハに参加しない事は、何よりも先輩方に対して失礼な事であった。 彼女はまたしても、道を外しそうになっていた私を導いてくれたのだ。 当時もそう思ったが、今考えても本当に有難い言葉を貰った。 話が一通り終わった後、今度は彼女がにっこり笑って、 「よし、じゃあ説教はここまで!もう充分わかったんだろう? こっからは良いショーをやる為に、そっちに気持ちを持っていきなっ!体調は平気?」 私は、こんな人間になろうと思った。 ショー本番は、DATZの二人とCHIZUKOが上手くリードしてくれたのを憶えている。 今までのショータイムよりも、全てがスムーズに気持ち良く行われた。 本番においても、大きな「経験の差」というモノを感じた。 因みにこの時、もう1チームゲストダンサーが呼ばれていた。 このブログでも紹介した「DANCE DANCE DANCE」二回目の特番のチャンピオン YOHEI氏、SHIGE氏、ARAKAWA氏の「ソルジャー」だった。 ショーを始める前に、控え室でお互いを奮起させてるうちに彼らとも親密になっていった。 全てが終わった後、改めてこの日の出来事を出演者全員に謝罪した。 そして私は、改めて目標に向かっての進むべき道を再確認したのであった。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
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ショーやバイトに明け暮れていたある日、先輩であり仲間のCHIZUKOに「ショーに一緒に出ないか」と誘われた。 彼女からこのような誘いを受ける事は、当時の私にとって特別な事であった。 なんと我々JAZZ BOOのネタに参加するというのだ。しかも、補強のメンバーを入れたいと言っている。 当時、都内クラブでもレギュラーを持つほど活躍していたダンスグループ「DATZ」のメンバーである。 当然、先輩に当たる面々だ。 CHIZUKOはあるルートからショーの仕事の依頼を受けたのだが、JUNGLE脱退後、 グループらしいものは組んでおらず、我々とのコラボレーションが手っ取り早いと考えたのであろう。 とにかくこれは色々な意味で勉強になるし、幸運な事なので快諾した。 さて数日後に練習。リーサルの為にスタジオに入る。 この時出合ったのが、以後、私のダンス人生に最も大きく関与する人物であった。 当時ダンスチーム「DATZ」リーダーKAGI-BOこと鍵谷正氏だ。 この時は、もう1人のDATZメンバーEIJI氏も一緒に踊る事になっていた。 (JUNGLEのメンバーで私の地元の先輩であるEIJI氏とは別人である。) リハーサルを始めるとあまりにものスキルの違いに驚愕! 中途半端に自信を持ってダンスショーを廻っていた我々は完全に打ちのめされた。 彼らは、テレビやビデオで見てきたダンサー達とほぼ同等のスキルを有し、なんとも正確なダンスを踊っていた。 自分達の振り付けを踊ってもらうなど恐れ多い事であったが、彼らは快く振り写しを受け、あっという間に憶えてしまった。 今まで、多くのダンサー達と接して来たと思っていた私は、とんでもない勘違いに気付かされた。 恐ろしいほどのテクニシャンが自分達のすぐ身近で活動していたわけだ。 私がそれまでに見てきた世界は狭すぎた。 ショーの作りは、我々のネタがベースなのでJAZZ BOOがメインのCHIZUKO、KAGI-BO、EIJIがサブという形だが、明らかに我々が2軍、彼らが1軍にしか見えない状況。 しかし、負けず嫌いの私は虚勢を張って練習にも打ち込む。 今考えれば、どう見ても格下である私だが、そう見られる事が悔しかった。 自分だけではなく、チーム全体がそう見られたくなかったのだ。 だが、ビックリした事に彼らは一切先輩風を吹かせず、同等の仲間として我々に接してくれた。 勿論彼らから見て気になるダンスの基本やテクニック等は指摘を受けたが、これも親切丁寧に指導してくれたのだ。 ただその時の解決法だけではなく、その後の練習法まで自分達で実践しながら私達に本当に丁寧に説明してくれた。 押し付けではないその態度に、私はドンドン引き付けられ、リハーサルはスクールのようになってしまっていた。 彼らからの当時の指導法は、今でも私の中に大きく残っている。 そんな事をしているうちに、ショーネタは完成。 たった数時間のリハーサルであったが、我々にとってはとてつもなく充実した時間であった。 先輩に当たる面々と、ここまで本格的に踊る機会がなかった私達にとっては、全ての面で大きな経験をした。 数日後の本番に向けて今回教わった練習法を続け、少しでも彼らに引けを取らないダンスが出来るように努力を重ねた。 実は今回からのエピソードは、前回、前々回の少し前の話。 過去を振り返りながら書いているので、記憶が曖昧になってる部分が多少ある為に、今回のような事になってしまいました。 しかし、前回の話と一ヶ月もずれていない期間の話なんでほぼ同時期という事で、読んでください。 書きながら少しずつ思い出して来て、前後逆になってる事に気付きました。スイマセン。 KAGI-BO本文中でも紹介したように当時ダンスチーム「DATZ」(ダッツ)のリーダー。 1984年より、SAM氏、OUJI氏の元でブレイクダンスを始めた、 日本のストリートダンス創世期からのダンサーの1人。 後に、私とは数え切れない程の大きな接点を持つ事になるのだが、詳しくは今後紹介していく予定。 現在は東京目黒にてスタジオハーツのプロデューサーとして後進の育成や、 キャステイングプロダクション「キーズクリエイティブ」の代表として 彼自身も含め多くのダンサーや振付師を世に輩出している。 多分、私の大親友・・・?笑 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
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Taka-Q主催のコンテストに当時の自分達なりに万全を規して出向いた。 前回も記したように場所は覚えていない。 現場に到着して細かい手続きの後、流石氏に挨拶。 彼女の資料の出場者リストを見せてもらったが、知った名のチームはいない。 流石氏も出場ダンサー達の情報は持っていなく、我々に期待の言葉を掛けてくれた。 その後に出場ダンサーの控え室に。 中に入ると既に数名の出場者達の姿があったが、やはり知らない顔ばかりだ。 マイナーなコンテストだったので、当然だろうと思い、少し安心して優勝賞金獲得を期待しながら準備をした。 しばらくして、控え室のドアが開きどこかで見た事のある面々が入ってきた。 なんとCrazy-Aことアキラ氏、チノ氏、コージ氏の登場だ! そう、S.I.JOEでもショーを行っていたBフレッシュのダンサー達で、この頃はCRAZY-A&THE POSSEとして業界をリードする大御所中の大御所! 私が原宿で踊っていた頃から、第一線のダンサーとして活躍していた人物達だ。 彼らとも、JOE等で知らない顔ではなかったので挨拶に・・・。 GO「おはようございます!」 チノ「おはよう!今日出るの?」 GO「そうなんですよ。そっちは審査員で・・・?」 コージ「いや、出るの。」 アキラ「はっはっはっは」(大笑い) GO「・・・マジでぇ〜〜〜!!」(叫び) 一気にテンションが・・・↓ 後に彼らに聞いたのだが、当時ダンスブームに乗ってマイナーなダンスコンテストが多数行われていた。 しかも、ヒップホップ業界の人間が審査する訳でもなく、出場者達も「誰こいつ」状態。 が、人集めの為にどのコンテストもそこそこの賞金額を用意していた。 そんなコンテストで賞金を荒稼ぎしていたらしい・・・笑(半分シャレでね) いわゆるコンテストあらしだ。 彼らは素性がバレないように「ちゃんねるず」と言うふざけたグループ名で登録していた。 これじゃ分かるはずも無い・・・。 そして、コンテスト開始。 当たり前の事だが、ちゃんねるずの存在感は圧倒的だった。 勿論、彼らが優勝。見事優勝賞金をかっさらって行った。(確か10万円だったような・・・。) 当時の我々がどんなに小細工しようが、とてもかなう相手ではない。 我々のグループは補強要員で参加してくれたAKARIが個人賞を獲得。 しかし、結果を見れば惨敗だった。 世の中そんなに甘くない・・・。 しかし、これを期にアキラ氏、チノ氏、コージ氏それぞれとの交流が深くなる。 たまたま、一緒になったこの日だが、お互いに他に話せるような人物もいなく、色々と話をするようになった。 なんとも奇妙な出会いであったが、彼らとのこれからの交流も今後の私自身の成長に大きな影響を与えていくようになる。 CRAZY-A毎年代々木で行われるB-BOY PARKの発起人であり実行委員長。 世界に勝るとも劣らぬ日本のヒップホップ界を発展させた業界の最重要人物。 風見慎吾&ウェーブのメンバーとして日本全国にブレイクダンスブームを巻き起こす。 80年代日本を代表するブレイキングチーム、 東京B-BOYS代表。 90年代初期、『ZOO』オリジナルメンバーとして日本に新たなダンスシーンを確立する。 その後、日本初の本格ヒップホップユニット『CRAZY-A&THE POSSE』を結成。 ダンサーは当時若手ナンバーワンの「ちゃんねるず」(チノ&コージ)、DJはDJ BEAT。 この最強のCRAZY-A&THE POSSEは日本のヒップホップシーンに新たな革命を起こした。 後の『Rock Steady Crew Japan』の代表でもある。 ちゃんねるず後に、チノ氏、コージ氏がフジテレビ「DANCE DANCE DANCE」にちゃんねるずでコンテストに出場。勿論、圧倒的な力で優勝し、グランドチャンピオンに。 B-ROCK CREWの長いブレイキング時代を経てオリジナルスタイルを作り上げた2人組み。 以前よりヒップホップ業界に関与する人物達は、勿論彼らの存在を良く知っていたのだが、TVの中で演じるキャラクターが大人気になり、更なるファンを増やした。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
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我々JAZZ BOOは、下っ端ダンスチームにも関わらず、幸運にもショーや練習で忙しい毎日を送っていた。 そんな中、又しても私のダンス人生に大きな影響を与える幾つかの出会いを果たす事になる。 当時、どんなに忙しくなっても以前出演したフジテレビ「DANCE DANCE DANCE」の収録には、欠かさず足を運んでいた。 ある時、収録の合間に局の廊下で番組レギュラーの審査員として出演中の人物とすれ違った。 私はその時何を思ったか、それまで言葉を交わした事も無いその人物を呼び止めた。 南流石氏である。 彼女は当時、「鉄骨飲料」のCM振付で大ブレイクし、月間何十本ものCMを手掛ける業界きっての超大物振付師だ。 私は自分の存在をアピールしたかったのだろう(笑)・・・とにかく挨拶をした。 一回目の収録出演をした事など、自分の事を精一杯説明。 やはり、初回の収録の印象は強かったらしく、彼女はしっかりと私の事を覚えてくれていた。 その後、気さくな彼女と数分立ち話をして、何やら盛り上がった覚えがある。内容はさっぱりだが・・・。 収録終了後、なんと彼女が私の元に寄ってきて、今度は彼女から話しかけてきた。 ダンスコンテスト出場の誘いだった。 どうやら彼女が審査員として関わるダンスコンテストが近々あるらしいのだが、告知が行き届いてなく出場者が不足しているという。 何事にも精力的だった私は、この話を受けすぐに準備にかかった。 コンテストの主催はメンズファッションメーカーの「Taka-Q」。 他の出場者や審査員の情報などは一切無かった。 場所も覚えていない・・・笑 とにかく、営業とはいえ数々のダンスショーをこなしていた自分達は多少なりとも自信はあった。 しかし、万全を規すために臨時に女性メンバーを1人補強した。 当時、JOEで知り合ったダンサーの1人、AKARIだ。 そしてこの頃、ショータイムで踊りまくっていたパッケージをコンテスト仕様に時間を短くしたマイナーチェンジを用意して本番に臨む事にした。 南流石(みなみさすが)日本振付業界の大御所。 オリジナリティ溢れる個性的なダンスと世界観で、当時から多数のアーティストのコンサートやPVの振付や、ダンサーとして出演。 テレビCM業界でも、そのオリジナルの踊りが注目を浴び、振付師として約300本もの作品に参加、数々の賞を受賞。 現在もあらゆるジャンルのコンサート、PV、CM、舞台、ファッションショー等で、振付演出、ビジュアルプロデューサーとして活躍中。ちなみにヒップホップ業界とは畑違い。 クリエーターチーム「流石組」主宰。 流石組HP http://www.sasugagumi.com/ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
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S.I.JOEでのショーデビューは、思った以上の効果を我々に与えた。 まず、このショーを見た学生達から学園祭のゲスト出演の依頼が来た。 (この年は確か2〜3校の大学から依頼があった。) 当時は、ダンスサークルの存在もまだまだ少数で、ダンサーと一般人の垣根が高い時代。 一般学生にとっては学園祭を盛り上げる為のヒップホップのパフォーマンス等は外部発注が当たり前。 今回の件で約10分〜15分のショーパッケージを有した我々は、その恰好のターゲットになった訳だ。 同様にJOE以外の都内クラブからのゲストパフォーマーとしての依頼も来るようになる。 年末に向けて顧客確保の為、様々な店舗でイベントやパーティーが行われ、その出し物の一つとしてダンサーが必要であった。 元々、都内でもダンサーの巣窟として有名だったJOEに対して、横の繋がりでダンサーの紹介を頼んでくる他店舗は多かった。 そんな中、店のお抱えダンスチーム的存在の我々は使い易かったのであろう。(間接的にJOEの宣伝にも繋がるわけだ。) こうして我々JAZZ BOOは、秋の学園祭シーズンと各クラブのイベントの波に乗り、各方面で踊りまくった。 先方にとってタイミングも良ければ、ギャラの金額的にも妥当だったのであろう。 12月のクリスマス直前まで、今回のパッケージを何回踊ったか分からないくらいだ。 そして、これを期に私の中で大きな変化が起こる。 当時、セミプロという呼ばれ方をしていた我々だが、一回のショーにつき数万円のギャラを受け取るようになった。 「1円でも貰ったらプロとしての意識と責任を持たなければならない」 以前にプロダンサーとして活動していく決心を固めた私は、上記の気持ちを強く持っていた。 この時、自分達のダンスに金銭が発生しているという事実に、コレまでのただダンサーに憧れて踊っていた頃とは全く違うステップに上った事を認識したのだ。 毎回披露する我々のショーの、どの部分が受けるか、また逆にドコが間延びするのか等を初めて考えるようになり、チーム全員でそれらを良くする為に全力を尽くす。 よりシビアに、客観的に、様々な視点から自分達のダンスを研究するようになったのだ。 個人的なテクニックの向上は勿論、グループ全体としてのスキルアップや特徴を作る事なども考えるようになる。 当然のように練習量は、以前の2〜3倍に。 そして、プロダンサーという存在をより意識し、プロフェッショナルという責任を感じ始めた。 S.I.JOEのデビューから始まったこの営業の嵐が、本当の意味での私のプロとしてのスタート地点になったようだ。 ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□ ■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
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